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帰還率99.8%のダンジョン救助隊  作者: ゆる弥


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10/20

10.救助と崩壊の始まり

 突如として、魔物で溢れたボス部屋。

 そこの中心部分に位置するところで取り残されていたパーティがいた。


「この結界本当に大丈夫なんだろうなぁ⁉」


 狭い空間にギュウギュウに詰められた五人の男。


「救助隊の人が大丈夫っていうんだから、きっと大丈夫!」


「っていうか、信じるしかない」


「どのくらいの時間もつんだろうなぁ?」


「んー。わかんない」


 彼らにとっては、救助要請を出して結界を張ってから数十分が経っている。

 その間、生きた心地がしなかっただろう。

 周りは大小のオーガで溢れている。


 こちらを攻撃してくる魔物もいるため、ビクビクしながら待っていた。

 なんだか攻撃されるたびに結界が軋んでいる気がする。

 しかも、装置が点滅してきた。


「えっ? これ、なんで点滅してんの?」


「おい。もしかして結界切れるんじゃないよな?」


「まずいって……」


「あぁぁ。死ぬのかぁ。短い人生だったなぁ」


「切れても諦めるなって。戦うんだ」


「この数だぞ?」


「救助隊の人が言ってただろう? 諦めるなって。生きろって」


「そうだけどさぁ」


 装置の点滅は早くなっていき、しまいには結界が消え始めた。


「結界が消える……」


「諦めるな。そう言ってたけど……」


「これは、さすがに」


 絶望の淵に追いやられていた五人。

 結界は、遂に消えた。


「うおぉぉぉぉ!」


 盾士がなんとか抑え込む。

 剣士が攻撃。

 魔法士も応戦する。


「まだだ! まだ諦めるなぁ!」


「うわぁ!」


 盾士がやられた。


「魔力切れ!」


 魔法士も魔力切れ。


 あとは、僕だけだ。


 懸命に剣を振う。

 だが、傷が増えていくばかり。


「だぁぁ! 多すぎる。ダメだぁぁ……」


 もう死という文字が見えた。


 ──ビシッ


 天井にヒビが走った。


「ん?」


 ──バガァァァァンッ


 天井から、金髪のポニテ男子が落ちて来た。


「おいおい! 結界切れてんじゃねぇかよぉ! 技術部に苦情だなぁ! 雷神槍らいじんそう 迅雷じんらい!」


 周囲のオーガ達は一気に黒焦げになった。

 雷はうまく僕たちを避けて行った。

 

 この人、講習会で怒鳴っていた人だ。

 一番隊とか言ってた。

 助けに来てくれたんだ!


 なんだか、安心からか目が滲む。


「おまえら、こいつら保護! 残党を狩れ! オレぁダンジョンコアを叩く!」


「「「おう!」」」


 部屋の奥へと駆けていく金髪の人。

 たしか、黄虎って言ってた。

 槍を一振りするごとに魔物は吹き飛んでいく。


 救助隊の人って、こんなにすげぇんだ。


 ──ズンッ


 なんか、ダンジョンが揺れた。


「黄虎さんがダンジョンコアを破壊したみたいだな」


「時間測れよぉ。三十分で崩壊始まるぞぉ。後で時間は伝達な」


 隊員の人が不穏な言葉を言っている。

 崩壊とはどういうことだろうか。

 ダンジョンが崩れるの?


「よしっ! お前ら戻るぞ! けが人はいるか?」


「骨折一人、後は軽傷です」


「わかった。一人ずつ抱えて上がるぞ!」


「「「おう!」」」


 僕たちは、こうして救助された。

 

◇◆◇


 各支部の端末にダンジョンの地図が届いた。

 若葉がしっかりと働いてくれている。


「すごいだべさ。こんな情報があるんだな」


 北海道支部が感心している。

 こういうのもないと他に説明できないからな。

 本部の救助は時間がない。


「ダンジョンコアが破壊されたので、これから三十分後に崩壊が始まります。それまでに救助を終わらせます」


「なんやて⁉ 崩壊するんか⁉ っつうか、ホンマに破壊したんか⁉」


「たぶんそろそろ……」


 ダンジョン入口が騒がしい。

 来たな。


「二十層の要救助者保護してきましたわ」

 

「黄虎。よくやった」


「後で話があるっすー。結界についてと……コアについて」


 何かあったんだな。

 だが、今はそれどころじゃない。

 急がねぇとな。


「わかった。十九層は空野が行ってる。十八層頼めるか? 応援はいるか?」


「来れる奴いるなら、十八層に二パーティいるじゃねぇすか。人数多いんで手伝い用意しておいて欲しいっすねぇ」


「用意しておく」


 黄虎はそれだけいうとまた部隊を引き連れて戻って行った。

 本当に頼りになるな。

 さすがだ。


 続いて、戻って来た空野。


「十九層、救助完了しました」


「ご苦労。空野、十八層に黄虎がいるから応援に行って貰えるか?」


「了解」


 要救助者を置いてすぐに次の救助に行く。


 それらを舌を巻いて見ていたのは、支部長たち。


「救助が早すぎるでごあす……」


「これが……本部かい。よっしゃぁ、負けてられへんでぇ! お前らも救助行くぞ!」


「「「おう!」」」


 歩き出した関西支部。

 担架を担いでいるところをみると、自分たちのやり方でやるようだ。


「せっかく穴があるんや。階段作ったれ!」


「はい! 迷宮魔法……螺旋階段!」


 各層までの緩やかな螺旋階段が姿を現した。

 こんなことができるのか。

 さすがは、技術の関西支部。


「おいらたちも続くべさ!」


 恰幅のいい男たちがダンジョンへと入って行く。


「おいらたちは、滑っていくべさ!」


「氷結魔法……アイススライド!」


 なんだか楽しそうな魔法だな。

 北海道は氷結魔法が有名だもんな。

 どうやって上がってくるのかわからねぇが、なんか考えてるんだろう。


「おいどんたちは、崩れるのを遅くするために、ダンジョンの補強をするんだな」


「鉄壁魔法……剛壁創造」


 あれが、鉄壁の九州か。

 帰還率は、俺たちに次ぐ。

 こうやって要救助者を守りながら救助しているんだろう。


 ぞくぞくと要救助者が運ばれてくる。

 もうすぐ、ダンジョンコアを壊してから三十分たつ。


「もうすぐ崩壊が始まるっすよぉ。みんな帰って来てっかぁ?」


 黄虎が声を掛ける。

 

 北海道支部、関西支部。救助に出た支部は戻ってきているな。

 一番隊、二番隊、四番隊、五番隊……。

 ん? そういやぁ。


 三番隊はどうしたっけ?

 要救助者の救助報告は受けたよな?

 もう三十分経つってのに……。


「桃瀬どうした?」


「あいつ、要救助者は連れてきましたよね? その後から、姿を見てませんね……」


 俺としたことが、何かあったのかもしれない。

 戻って来たか確認してなかった。

 何やってんだ俺はぁ!


 ──ゴゴゴゴゴゴォォォ


「崩壊が始まったな。入口に人を近づけるなよ!」


「異黒さんは?」


「桃瀬たちを助けに行く!」


 頼む。間に合ってくれよ。

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