- C 1321話 騎士王と獅子王、仮面の王 1 -
自称・騎士王アーサー卿のほかに。
自称・獅子王オラニエ伯ってのがいて。
こいつは始祖王家スポンスハイム大公の親戚って立場の入り婿なわけでね。
中央貴族の伯爵家に転がり込んだ、元子爵の6男坊。
冒険者してたんだが、家の指図は素直に従うのが沁み込んでるわけだ。
スポンスハイムの一族は、宗家第一主義でもあるからねえ。
この他に、
仮面王チヨダ卿ってのがあった。
鉄仮面とかそっちの仮面じゃなくて――
仮面舞踏会かなにかで目元だけを隠してる、あんな感じの仮面。
怪しいんだけど、社交界ではなかなかに人気のある。
たぶんどこかの貴族のご落胤じゃないかって陰のある話さ。
ちょっと無粋ですかね。
詮索しちゃだめよ、とか。
今、王都ではこの手の夜のアブナイ噂が流行ってた。
◇
マルが聞かされてるのは、その手の噂噺。
彼女の場合はだね。
魔術書とゴーレム技術と食べ物があれば、あとはどーでもいい事でしかない。
例の精霊石問題も、だ。
魔女絡みというのでやる気にはなったけど。
精霊石の廟みたいなトコで躓いた。
どーしたかって?!
こいつはどうこう出来る代物じゃなかった。
結論から言おう。
攻略が出来なかった。
女王を含めたハイエルフの重魔法使いを後衛に置いて。
モモチさんと蒼の他、傭兵団屈しのアタッカーが前衛にあって連弾を叩き込む。
しかし、敵対するエネミーが尋常ではない硬さだったんだよね。
制限時間内に4本のHPブレイクに成功するも、残り11本が溶けない。
無敵防御貫通に、属性弱体化なんてバフも使ってるのに。
相手からすると。
複数属性の攻防が1:1になるような状態異常をフィールドに付与できるらしく。
こちらの戦力が著しく消耗させられた。
手持ちの復活石が枯渇したころ、戦闘が強制終了し。
『残念、またのお越しをお待ちしてます』
と、エネミーは告げて廟に戻って行った。
悔しい。
めっちゃ悔しい。
HPが100あるバーが1本。
鑑定スキルによる、バフ特攻攻撃ならHPブレイクが起きる条件下で、強制フィールドバフが掛かる。
与ダメ1だぞ、1。
出力ダウンに底があったからいいけど、さ。
アタッカー組にバフを乗せてようやく2ターン目以降からクリティカルで10。
1本崩したと思ったら、2本目からHPが1000になりやがった。
マジで、死にゲーだったな。
いあな。
入口に『ご自由にお持ちください、ただし“ひとり”5個までです』なんて張り紙があって、言われるままにポケットに収納したらコレだよ。致命的攻撃を喰らったら復活したんだな、これが。
デスペナなしの復活。
調子に乗って沼にハメる手だったんだろ。
アレにはもう。
で、相手が誰だったかは察しが付くだろ。
廟の主人は伝説の魔法使い――世界を灼いた魔女そのものだった。
たぶん残滓だ。




