- C 1320話 騎士王とポンコツな円卓 5 -
王国の継承がそつなく片付くのは、嫡男継承以外に道がない。
これは女王が3人も立った今日までの悲願である。
と、考えてるのが少数で。
ハイランド王家の血統が絶えなければ、だ。
誰が接ぎ木しても一向にかまわないと思う、血統主義者の方が大勢であるということ。
「さてポンコツな円卓の騎士たちよ!」
アーサー卿は今日も元気。
「誰がポンコツだ、誰が」
ウナさんは卓上にある書類、いち枚いち枚に目を通す。
見落としや見なかったで素通りさせると、まあ、ほとんどの処で不都合を現場が背負うことになる。
現実、ハナさんが被ったので。
「アーサー卿以外はみんな働いてるんだよ!! 傭兵団に食客として居候してんなら、こっち基準で働いてくれないかなあ? とりあえずは魔獣狩りとか...」
「ふむ、それは騎士王の仕事か」
同じ立場のガウェイン卿は一宿一飯の恩に報いろうと、害獣駆除に出かけている。
そのご褒美がウナさん特性のウナサンドである。
この地域特有の丸々太った天然ウナギが白焼きで挟んであった。
「――なるほど、ウナサンドか馳走になろう膳を持て」
「お前がな!!」
いや。
その前に働けよ。
「それは...」
「ただの騎士な、王を名乗るなら、いやいい。これは魔術師さんから怒ってもらいたい」
アーサー卿の表情に曇りが。
いささか不機嫌そうに。
「アレを召喚ぶのか?! 余は今、喧嘩中なのだが」
知らねえよ。
あきれてる面を見て渋々に。
なんかこう魔法的な何かでコールするのかと思いきや。
『メッセージ:魔術師宛て、アーサーから発信。『騎士王の前に参じる許可を与える』以上」
短っ。
いや、宛てとか発信とか、軍隊か!!!?
今日び軍隊でもマシなコールがあるか。
◇
聖櫃騎士団が総出で、辺境伯領に乗り込んできたのは陽の傾きから夕方頃。
ポンコツ騎士王がコールしてから2時間後のことだ。
ダンジョンのRTA配信と編集が終わったころで。
手が空いたので呼ばれたわけだが。
指定座標は寄りにもよって練兵場。
呼び出した本人は留守で、ハナさんの振り下ろした手斧の刃先に総長メルリヌスさんがポン出。
セーフティエリアだったのが幸いして絶命には至らなかったが。
即死を体験したところだ。
小動物のように使徒騎士の中で身を震わせて小さくなっている。
「ごめんて~ ごめん」
「躊躇いなくバッサリはこちらの肝も冷える」
その文句は騎士王へ。
「で、うちのアーサーは?」
「ウナちゃんにサンド作ってもらうのだと、食堂に籠城してるっぽい」
魔獣駆除はボイコットし、カエデをポンコツな円卓の騎士と呼ぶに至る経緯を説明。
魔術師は大きなため息とともに項垂れながら謝罪した。
「うちのポンコツ騎士が迷惑を」
しかもふたりも世話になってると。
さらに頭が下げられた。
「いあ、ガウェイン卿は働き者なので給金を上げたいくらいだよ」




