- C 1316話 騎士王とポンコツな円卓 1 -
クレイル辺境公主の陣営がここ最近の王国新聞の一面を飾るようになった。
エルフの王国は島の半分くらいしか公式に領地と宣言していない。
いや、広大過ぎて守れないのだ。
前にも島は生きていると説明した。
街道の整備は領地経営に欠かせない重大な事業のひとつで。
目を離した瞬間に飛び地が緑の海に呑まれる事もあった。
エルフが文明を築いて数百年。
島の暴力に消えた村や町は数知れず、だ。
ちょっと大げさだけど。
そういうこと。
国軍の存在意義はまさに。
緑の海に呑み込まれる可能性のある飛び地を救うことにある。
決して、アップルクロス辺境伯の領地に橋頭保を構えた、人類が相手ではない。
とは、言ってみたものの。
遠出してた国民が攻撃されたのは事実だ。
最初に手を出したのは人類からだった。
これがエルフ側の公式見解である。
◇
開拓地域の人類にはそんな記録は無い。
そりゃ改竄されてるからね。
執政官らの手によって、入念に細工された開拓街の歴史は『エルフが悪』だってことだ。
彼らに手を貸すエルフは良き隣人。
と、1世紀で置換させた。
マジ、凄い。
この話を臓腑に落とし込んだクレイル辺境公主は、納得したかのように頷いて。
スプリングの利いたソファーに沈み込んだ。
落胆と共にだ。
「それじゃあ、話も聞いてもらえないわね」
言葉を介せば通じるのではないかと考えたことがある。
これまで試みはしても実践するほどの勇気も機会にも巡り合わなかったのだが。
「私たちにとっても100年はもう希少な時間になったから、ヒト種族の憎悪がなんとなく分かる気がするわ。どちらかが仕掛けたかなんてもう意味がない、それをシた事実があって100年の内に謝罪がないのだから、でしょ?」
騎士王アーサーが皆を代表して頷いてたが。
少し、変な空気が流れた。
「ねえ、この煌びやかな騎士は... 誰?!」
公主と謁見しているのはウナさんと、ハナさんだ。
エサちゃんと末王子とその他は。
陸上戦艦の中で楽しいお茶会の最中である。
「アーサー卿です」
「騎士王だ! 騎士王と呼べ! 赦す」
「ただの騎士です」




