- C 1309話 敢えて名付けよう、其は 4 -
女王は先にもあったように。
かつては魔法使いになろうと奔走してた時期がある。
「その時に」
モモチさんは、王族として目撃したことがあるかを尋ねる。
精霊石を、だ。
エルフの王族が何かと儀式好きなのは行間から読み取った。
おせっせもある種の儀式だと考えれば、出産から洗礼式なんてのも多分、あるんだと思った。
あとは葬式などはどうだろう。
「そんなにせっつかないでよ」
この子が起きる。
女王の懐の中に丸くなって眠るは、マルだ。
ほら、見て。
なんて幸せそうに無邪気な微笑みかしら――
女王のあやす腕の中で。
っ、こいつ何やってんだ?!
「――そうね、確かに儀式は大事ね! そう、誕生を祝される時には母親の周囲に、複数の大精霊が立ち会うのが習わしかしら。こっちは踏ん張って、キバって捻りだそうと躍起だってのに。他人さまの目が気になって仕方ないって事って、ちょっと嗤える話よね」
手伝いもしないで、じぃーっと人様の股の中を覗き込んでくる精霊たちに。
王族の娘たちは必ず殺意が湧いたという。
う、うん。
そんなもんかな。
「産むのは蒼で、天しゃんは母乳上げる係だから気楽でいいよね!!」
お、おう。
蒼はどんなシチュエーションでわたしを詰ってくれてんのかな?
なんなら同時出産でもいいぞ、こら!!
「脱線したが、この夫婦漫才は気にしないでくれ、で。陛下の際にも、その出産時に大精霊は来られたと思うのだが?それは、精霊石なのか」
モモチさんの違和感。
大精霊の気配は感じられるけど。
彼女の家に結び付く“光の精霊”はどうも、小物ばかりが寄って来る。
大じゃなくても中階位ほどの精霊があっても不思議じゃないのにだ。
驚きは元の世界が同じなAさんだ。
「モモタン、ドルイドかシャーマンだったんかい?! 知らんかったわー」
「私も知らんわ、シャーマンちゃうし。厳しい滝行の末に身に付ける技術の一種かと思ってたんだけや!! 当主のヤツが腹立つヤツで、男だったならば身一つ絞り出して体術と組み合わせて家を継がせてやったかもせんとか抜かしよってな。で、女のお前じゃ、房中術でもようけやってしびらせんのがせい一杯やろって、な。――ったくドたまに来たんで渾身の雷撃ぶちかまして家出たんじゃ」
つまり。
家出中のガラの悪い不良娘だって、ことか。
とうとう就職先がこんなヤバイになった、と。
「なあ、二葉!!」
は、い。
「先輩には敬語、忘れんな」
イエス、マム!!!!
「おい、A!」
「お、おう」
なんか踏んだか、尾。
「モモタンじゃねえ、モモチさんだ」




