- C 1307話 敢えて名付けよう、其は 2 -
肝心のマルが寝た。
モモチさん曰く――「お昼寝の時間だ」
めっちゃ、シリアスな。
深刻そうな表情までつくって、そんなアホなセリフを吐く。
こいつバカだろって。
殴りたくなったのを――
蒼の恐ろしいまでの腕力で押さえつけられた。
忘れてたが。
地味な風貌なメガネ・オタク娘は、拳が凶器の武闘家だったことを。
これがギャップ萌えってなのだが。
安易に喜んじゃダメなパターンだよな。
じゃれてる間に落とされるし。
いいや。
このままではダメだ。
わたしが動かねば。
◇
わたしの意識が戻ったのは、1時間後。
マルの肌がツヤツヤに輝いて見えた。
「天ちゃんもお昼寝したのー?」
なんて能天気なセリフがあたしをくすぐって行った。
は?
は? じゃねえよ。
「蒼、お前!!」
このメガネ娘は。
わたしを堕としやがった。
おいっ
「暴力、ハンタイ!!」
ヘンタイ?!
「ヘンタイ違う、ハンタイ」
「じゃれんな鬱陶しい。ささ、マルから、どうぞ」
なんだこの流れは。
嗤いを堪える侍女長と陛下の方が楽しそうだが。
「マルちゃんは思い至った!!」
とうとう自分呼びしやがったな。
まあ、どう変化するかは知らんが。
可愛いとは思わんぞ、決してだ。
「精霊石の暴走は、星のサイクルを乱す行為になるかもしれない!」
つまり――
星が風邪をひくって事だ。
惑星が一個の生命体だって考えは、昔からある考え方の一つだ。
超自然的な力に説明が付けられなかった頃に、そう表現したとも言う。
ま。
ぶっちゃけると。
生きてるんだと考えた方が納得がいってしまうとこもある。
「そっか、暴走か」
陛下が呟いて、唸る。
ぐぅー。
「あ、ソレ。今のマルちゃんの腹の音で」
は?
◇
茶会のお菓子をひとりで平らげ。
昼食まで喰って、3時のおやつまで所望した小悪魔――マル。
小さなモンスター。
司馬丸恵、恐るべし。
いや、いや、いや...
こいつに遠慮は無いのか。
「子供はさ、これぐらい図々しいのが良いんだよ、いや、ほんと」
命拾いする。
女王陛下が子供に甘くて助かった、た?
いあ、いや。
マルは幼児では。
「あれ違うの? いあ、でもいいよ。朕、こういう子好きだから」
やっぱり寛大だ。
助かったけど。
「えー、なになに。怖いよ天ちゃん、にへへ」
緊張感持てよ、マルぅー。




