- C 1306話 敢えて名付けよう、其は 1 -
この島は生きている――
かつて島大陸を作り、これを覆い隠して。
いつか人種族とともに同じ世界で生きていけるようにと、祈った魔女は星の内海から力を分けて貰えるような仕掛けが整えられた。
契約なのか、楔なのか、呪いなのか。
その時点では、ひと滴の力だったようだけども。
口伝はかく語り。
やがて力は結晶へと変貌する――
星の内海に繋がる精霊石だ。
アヴァロンの動力源であるともいえるし。
生命の源と言ってもいい。
これが放出するのがマナで、魔女の計画ではある一定のサイクルでマナは薄まって。
消失するはずだった。
その時には、地表の人々の手からも魔法が消えていると予測してたからだが。
これはあっさりと否定された。
いや、魔女の千里眼が違う世界を見ていた可能性がある。
精度の問題か、角度、或いはポンコツだったからか。
いずれにせよ。
魔法という便利な力と、マナという生命の源は島を変出させるのに十分な力があった。
もっともエルフ達にとっては濃度が薄かったから、不死にちかかった肉体が100年程度で寿命を迎えるという変質に繋がった。
この流れに抗う事態も起こる。
戴冠式に行う、精霊契約だ。
これはそもそも根源に遡って、自らの魂に問う議式なので――妖精だった時の、マナを取り込み不老の耐性獲得に一枚貢献してしまってた。
古い儀式を引っ張り出してまでも、エルフはエルフであり続けたかったらしい。
魔女の想いを裏切ってまで。
王族は市民にとって、種族の象徴というか。
不老で長命であるというのは矜持のようなものらしい。
「そういう考え方があるよって、こと」
女王のきさくな発言。
王族は生まれた直前にも精霊が舞い降りて、仮契約を結んでいく。
戴冠式ではその仮契約が正規のものになるってことだ。
「それも、精霊石の力ってこと?」
「精霊石の存在が知られてるとして、」
王国市民は御伽話として自らに刻み込んでいるわけで。
マーガレットさんがソレを知ってるレベルとして...
「見てみようと思ったりしなかったのかな?」
うん。
「ボクがマーガレットの立場だとしたら、見なくても肌感覚で実在は分かると思う。そのあとで、何をするかが重要だと思うよ!!? 壊し方、壊したらどうなるか、んにゃ、もっと大きくしようとするか...」
マルが腕を組む。
頬をリスのように膨らませて、
深く、深ーく考えこむ。
で、
寝た。
ああ、吐息を立てて寝ちゃったなあ。
おーい。




