- C 1305話 真実を知った今、 5 -
マルの親友の残滓。
マルから殴られ、わたしは瀕死。
帝国の魔女マーガレット・イクリンガス。
果たして彼女は何を望むのか。
いあ、もう何となく彼女の苛立ちが分かるような気がする。
市民革命によって祖国を追われた彼女の目にヒト種族がどう映ったのかが問題だ。
その後も、様々な形で見たり体験したりもしたのだろう。
だが、それは。
廃位された皇帝は、すべての罪を己が身に集まるようにした。
そういう風に見えるよう宮廷魔法使いたる彼女に堅く約束させて、断頭台に上がった。
市民革命はその炎を後宮に向けた。
皇帝との約束もすぐに反故にされて――幼い王子、公主に縁戚に連なる大貴族までもが。
市民の持つ憎悪と悪意と行き過ぎる暴力によって、消えた。
元貴族でも、元為政者だからという然したる理由もなくだ。
魔女は国を出る――
帝国の顔だった彼女が狙われないはずはない。
最初の半世紀は魔女を怖がって付け回すようなことはなかったが。
1世紀も過ぎると、人は傲慢になった。
魔女狩りもブームとなって、各地で力の大小にかかわらず。
ほとんど大人しい、良い魔女が連れまわされ、突き出されて、少額の報奨金の為だけに命を散らした。
それは惨たらしく。
炎で痛々しい惨劇。
肉が焼ける匂いは刑場の場で当たり前になる。
マーガレットも。
大人しく森にいたら、エルフってだけで引き回されてた同胞に出会う。
これがきっかけで。
彼女は世界を恨んだという。
これは、癇癪か。
嫌になったから、全部壊す。
できうる手段があるから到達する答えかもしれない。
◇
わたしたちなら。
女王は唸って、侍女長の腕の中にもぐりこんだ。
「一方的に責める事はできないわね。この世に憎しみだけ感じ取ったのだとしたら、いくら其のあとに喜びとか、優しさの上書を感じられるシーンに遭遇しても、元の心証が強烈すぎて薄まりはしても消えることはないのでしょうね」
たまに癒される場面もある。
それはまあ奇跡の話なのだろう。
彼女にはソレがなかった。
訪れなかった。
「でも、同胞の私たちと戦って何の意味が?」
確かにね。
何の意味が?
「星の内海がって、なんか言ってなかった?」
マル、お手柄です。




