- C 1304話 真実を知った今、 4 -
ケーニヒスベルク伯マーガレット・イクリンガス。
対峙する人によっては、宮廷魔法使いにして賢者。
或いは、戦場の若き雌獅子王。
いや、
最も有名なのは『帝国の魔女』と呼ばれたことの方が多い。
数十万もの軍団を指揮し、数多くの戦場に赴き常勝無敗の大将軍だったこともある。
ある時間帯では信念を曲げて、皇帝を廃位に追い込み市民革命に貢献し。
また別の時間帯では帝国が、悪の根源と戦うなんてのもあった。
まあ。
結局、彼女の仕えた国は市民革命を経て、魔女狩りなんて愚考へと走っていく。
しかし皮肉にも。
魔女と魔法使いに再びスポットライトが当たり、かの国は、少年・少女を動員して魔法士航空隊なんてのがつくられるのだが。
そんな時代に至る以前は、だ。
魔力もちの子も、親も、市民でさえ虐殺の対象へ至った血の歴史。
魔女が落ち延びるとしても。
人払いの霧の先ってのは皮肉なんだろうねえ。
◇
かつて帝国の魔女と呼称された、少女は。
マルの弟子だった時がある。
「いあ、まだ友達だと思うんだよね」
と歯切れが悪い。
いや、いや。
歯切れが悪いのは、ちょっと悲しい出来事があったからだ。
マーガレットはAIだ。
生前、AIに人格の転写実験が行われた時からの被験者で、巨大な繭型医療ポッドに入ってた。
患者の一人。
不治の病で、数か月前に亡くなった。
今はデータとして残るは片身だけ。
彼女の面影や、性格などが精緻に受け継がれた人工物。
まあ、ユニークな存在ではある。
「ユニーク? こういう時のユニークって、余りいい表現じゃないよね?」
わたしの問に。
ここはモモチさんが答えてくれた。
「そうだな。何でもそつなくプレイしてしまうマルに倣い、彼女もセンスが良かった。いあ、マルよりも数段キレのある教え子と言ったところか。自身もセーブしないと、師匠を追い抜きかねないので、いいコンビだったよ。エサちゃんと揃うとな、手が付けられない暴れん坊っぷりでな」
思い出しながら、
涙ぐんで、
そして嗤ってた。
モモチさんも好きだった?
「ああ。タンクの前で、宴会とか、茶会とか、イベントは楽しかったな。...彼女が魔女、帝国の魔女なら手強いぞ!! 島の暴走も、彼女の仕業だと考えると...」
これまでは壮大な実験だという事だ。
島はこれまでに考えられないほどの大きなダメージを蓄積している。
星の内海からエネルギーを得て、島自身が生命のサイクルに乗っていた。
怪我をしたら傷が治るような仕組み。
島の上の戦争は酷いばい菌による肌荒れのようなものだろうか。
うっわ、痛そう。




