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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1939/2524

- C 812話 王都の戦い 2 -

 王都に潜ませてた甲蛾衆から、ボクたちの下に雑音交じりの念話が飛んできた。

 魔法による通信技術は未だに未知数なところがある。

 マナの量が十分足りているのに、通信強度や距離、精度に偏りが出る。

 惑星の上だからという物理法則はこの際、全く無視して貰って構わない。


 で、今のところ。

 距離が長くなると、糸電話の一方通行みたいな効果があった。

 機能面からすると物足りないけども。

 ラジオみたいなものだと考えると、受信できるだけで十分である。

 そのセキュリティレベルは念話なので...

 傍受はされにくい。


 ただ。

 距離の限界に挑んでいるからなのか。

 雑音というかノイズがよく目立っていた。

「で、なんと?」

 念話の宛先はウナ・クールに向けられてた。

 念話の内容が知りたい首脳陣たちは、小さな女の子を壁際まで追い詰めてるところだ。

 彼女も彼女で気の毒だ。


 丁度、トイレでリキんでたところだった。

 ふつか目の便秘とのことで、深刻な悩み。

 個室に籠って2時間、もしや?! なんて淡い期待の中――背筋から電気が奔ったのだという。

 念話特有の現象の一つ。

 たま~にそういう事があって、これは個人差があった。

「王都で」

 上を見上げた、ウナが恐縮してた。

 怖いんだ、魔術師やその、摂州王の部下たちが。



 話しやすいハナ姉は、未だ。

 布哇浮島の鎮圧作業から戻ってきてない――思いの外、手こずってるようで。

 兎に角、助っ人に行ったアロガンスと、エサ子もしばらくは返りそうにない。

 そうなると、彼女の目は誰となくボクを探すのだけど。


 残念。

 ボクはメルリヌスの玩具にされてるとこ。

 いあ、ゴーレムの研修とかいう名目で、放して貰えていない。

 そんなトコで。

 泉州王さんにもマル吸いって言われて、お腹を吸われてた。

 みんな吸ってくけど。

 実際のトコ、どんな効果と匂いな訳?

 自分自身じゃ、落ち着くくらいしかわからないんだけど。



 布哇浮島は大きく、大雑把に区画を分けると。

 地下3区、地上4区の規模だ。

 地下の3区画は、層で別れて――モルドレッド卿は、最下層の監獄の前上に陣取ってた。

 蜂起した連中の大半が、監獄区から湧いている状態だから。

 直上の区画と挟まれた形に、苦しい防御陣地を構築してた。


 正面から当たられると、バリケードは脆い。

 催涙ガスなどにも対処しないといけないから、狭い通路の攻防戦は守備側に難があった。

 医務室が本拠地ではあるけど。

 彼女が振り返ると、やや不安そうな兵士たちがある。

 士気は高い。


 でも。

《気休めで兵が動くのもここまでかな》

 陣取る場所の選択を間違えたかな、とも過った。

 しかし、動かせない重傷者を応急処置ではない処置が出来る場所は、ここしかなく。

 叛徒たちに医薬品を押収させるのも癪に障ったし。


 その時では必然だった。

『(聖櫃の腕章を通路角から振る者あり)おーい! 生きて居るか』

 目にとめた出島の兵が、医務室の中にある卿を呼ぶ。

 装うなら聖堂騎士らの衣類を着てくるだろう。

 が、それは角から腕章を振っていた。

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