- C 812話 王都の戦い 2 -
王都に潜ませてた甲蛾衆から、ボクたちの下に雑音交じりの念話が飛んできた。
魔法による通信技術は未だに未知数なところがある。
マナの量が十分足りているのに、通信強度や距離、精度に偏りが出る。
惑星の上だからという物理法則はこの際、全く無視して貰って構わない。
で、今のところ。
距離が長くなると、糸電話の一方通行みたいな効果があった。
機能面からすると物足りないけども。
ラジオみたいなものだと考えると、受信できるだけで十分である。
そのセキュリティレベルは念話なので...
傍受はされにくい。
ただ。
距離の限界に挑んでいるからなのか。
雑音というかノイズがよく目立っていた。
「で、なんと?」
念話の宛先はウナ・クールに向けられてた。
念話の内容が知りたい首脳陣たちは、小さな女の子を壁際まで追い詰めてるところだ。
彼女も彼女で気の毒だ。
丁度、トイレで力んでたところだった。
ふつか目の便秘とのことで、深刻な悩み。
個室に籠って2時間、もしや?! なんて淡い期待の中――背筋から電気が奔ったのだという。
念話特有の現象の一つ。
たま~にそういう事があって、これは個人差があった。
「王都で」
上を見上げた、ウナが恐縮してた。
怖いんだ、魔術師やその、摂州王の部下たちが。
◇
話しやすいハナ姉は、未だ。
布哇浮島の鎮圧作業から戻ってきてない――思いの外、手こずってるようで。
兎に角、助っ人に行ったアロガンスと、エサ子もしばらくは返りそうにない。
そうなると、彼女の目は誰となくボクを探すのだけど。
残念。
ボクはメルリヌスの玩具にされてるとこ。
いあ、ゴーレムの研修とかいう名目で、放して貰えていない。
そんなトコで。
泉州王さんにもマル吸いって言われて、お腹を吸われてた。
みんな吸ってくけど。
実際のトコ、どんな効果と匂いな訳?
自分自身じゃ、落ち着くくらいしかわからないんだけど。
◇
布哇浮島は大きく、大雑把に区画を分けると。
地下3区、地上4区の規模だ。
地下の3区画は、層で別れて――モルドレッド卿は、最下層の監獄の前上に陣取ってた。
蜂起した連中の大半が、監獄区から湧いている状態だから。
直上の区画と挟まれた形に、苦しい防御陣地を構築してた。
正面から当たられると、バリケードは脆い。
催涙ガスなどにも対処しないといけないから、狭い通路の攻防戦は守備側に難があった。
医務室が本拠地ではあるけど。
彼女が振り返ると、やや不安そうな兵士たちがある。
士気は高い。
でも。
《気休めで兵が動くのもここまでかな》
陣取る場所の選択を間違えたかな、とも過った。
しかし、動かせない重傷者を応急処置ではない処置が出来る場所は、ここしかなく。
叛徒たちに医薬品を押収させるのも癪に障ったし。
その時では必然だった。
『(聖櫃の腕章を通路角から振る者あり)おーい! 生きて居るか』
目にとめた出島の兵が、医務室の中にある卿を呼ぶ。
装うなら聖堂騎士らの衣類を着てくるだろう。
が、それは角から腕章を振っていた。




