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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1935/2527

- C 808話 鬼将 河州王の野望 8 -

 王城に迫る城州王の兵は、後宮府内にある白服と共に呼応してた。

 最初の内はそれこそ()()()()()匂わせるような、電撃作戦だった。

 が、突如として攻勢に陰りが生じてしまった。


 城州王や、彼の叛意を知って尚も同志なんて仰いだ、陸軍少将・那岐など。

 彼らは自分たちが企図して、圧政に苦しむ民の代わりとして、立ち上がったものだと信じて。

 いや心酔してたところがあった。

 城州王本人に至ってはようやく。


 そう、ようやく自身の願望が叶うと、夢を見たところだ。

 マーカスから指揮をして。

 まるでフィクサーか、影の黒幕のように振舞っていると錯覚してた。

 那岐らが王都に入城するまで。

 全く誰かの意図に泳がされているとは、考えなかったのだ。



 ――で、白服たちによって駆り出された後宮軍。

 将校身分で元帥府の傘下にあった彼らは、宦官たちを率いて王城に迫る。

 数はこの際、兵力にも戦力にも成らないんだけど。

 ざっと1万人近く連れ出されてた。


 いや、最初は激しい抵抗があったんだ。

 だって徴兵されるために...まあ、痛い思いまでして後宮府に出仕したわけではない。

 男でも女でもない身体にされて。

 でも、その僅かなばかりの反抗も、職業軍人あがりの白服たちに鎮圧された。

 カビの生えてるかもしれない武器庫から。

 年代物の重火器を引っ張り出した宦官かれら。

 内またの、もたついたへっぴり腰で銃を構える。



 う~ん。

 同じ戦場に立つなら、こういう兵士の横にも後ろにも立ちたくはないな。

 だっていつ引き金に指を掛けるか。


 鈍い音が渇いた空に響く。

 ほら、ヤっちゃった。

 銃声――見れば、躓いた宦官が鳥銃をうっかり落としたらしい。

 マジで、何のために銃本体にベルトがあるのか理解して欲しい。

 で、銃床から落ちたライフルは衝撃で暴発したという。

「ぎゃあああああ」

 誰かの尻に当たったらしい。

 銃口が明後日を向いてたのも不幸。

 当たった宦官も不幸。

 訛りの弾丸に掘られたのも、不幸。

「や、あ、ご、ごめん!!」


「衛生へ~い!!」


「何なんだ、これは」

 呆れてるのは、いわずもがな。

 通信兵が背負うランドセル型無線機からは、各所に到着した“白服どうし”らの『CP、ブラボー11、所定位置に現着。次の指示まで待機する...送れ!』それぞれに送信してたりする。

 また、そうしたやり取りは、こう、プレッシャーめいた焦りを生じさせて。

 行軍中の細かい指示と声掛けを行っていれば。

 少なくとも、事故は最小限にとどまってたかも知れない。


「チャーリー10、こちらCP。報告が遅れてるようだが?」

 ほら、催促みたいに聞こえる()()が飛んできた。

 王城を包囲するために必要な戦力は、数合わせで1万必要だったから後宮から引っ張り出した宦官は、最終的に戦えなくても問題はない。兵糧なんかの類は都度、後宮から運び出してしまえばいいと考えてた。

 そんな乱暴な補給計画だから。

 元帥府の不良将兵たちに、兵糧米を横取りされてしまうんだよ。

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