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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1628/2525

- C 502話 カラクム塹壕戦 7 -

 阿武隈は、戦車掩体壕をいくつか配置して――

 脆弱な足回りから、新型戦車を解放させていた。

 しかも、メーカーの口上をうのみにすれば、だ。

 カタログスペック上では、タイル型増加装甲が車台の側面にあって、増えたシルエット面積の不都合さを()()()()()()とやらで乗務員の命が守られるという話だった。

 が、蓋を開ければ...このザマだ。


 何がと言えば、舗装道路での最高時速は、公試記録の半分とみたず。

 不整地踏破能力では、馬力が足らずなんて貧相な結果になったから、現地部隊によってその“増加装甲”が取り払われてしまった。いや、取り払われたものが()()()()()に押し付けられたのだ。


 司令部にある主計局あたりは、この押し付けられた()()()を...

 歩兵力の火力補完と宣ったというわけだ。

「えっと、カタログ上は車台、砲塔ともに55度傾斜の側面50ミリ相当であると?」

 彼の後輩の声がスピーカーから流れてきた。

 やや、雑音が聞こえる。

「要するに、メーカーのカタログなんてのは信用できんってことだ」


「実際は、どんなもんなんです?」

 傾斜のついた装甲を外したら、ほぼ垂直で貧相な姿がそこにあったという。

 身の丈に合わない鎧を着ていたって感じだろうか。

 ただし、ここまでして...

 戦車的には肌着に近い。


 そうまでしても、75ミリ42口径の対戦車砲が重たかったという。

 ケチ臭い訳じゃないけど、携行弾数だってカタログの半分しか調達されてない。

 どうやったらこんな設計になるのか。

「携行弾数は砲塔に30発...」


「だから意味が無いと」


「何で、です?」

 最前線でドンパチが始まった、砲撃戦だけど。

 林や、幌の他に空き家などに敷設した、東洋の戦車たちの砲撃はまるで一撃必中のような慎重さがあった。

 つまり携行弾数が、規定よりも少ないことを意味する。

「お前の乗車している()()のバスケットを見ろ! 見てみろ!!」

 後輩が砲塔内を覗き込む。

 装填手と目が合って、彼は上官に会釈してた。

「きっちり入ってるみたいです!?」


「...っ、30もないだろ。そのラックには、さ」

 喉頭マイクだけど、阿武隈のため息が聞こえた。

 装填手からも、

「砲塔には、20発くらいっすね。車台の方にもう10発あるんですけど...これ、どうやって取るの? くらいの知恵が必要です。ま、気を付けないと...空の真鍮で脚か頭をぶつけかねやしないかって」

 これは不安じゃなくて、主砲にある機構上の問題。

「――だ、そうです阿武隈先輩!」


「ああ、ありがとう。お前んとこの装填手にお礼を言っとけよ。まず、俺らは専門家じゃない...これだって、野戦砲科の連中からレクチャーしてもらったものを応用したに過ぎない。だからこそ、だ!! 司令おやじの判断で戦車こいつらを捨てるか否かって...ま、仮に長期戦になったら」

 長大な補給線が仇になる。

 これは、前々から問題視されてた。



「着だーん!!!!」

 無線越しだけど、鋭く響いた声が全員の鼓膜を食い破ったような静けさになって。

 2段列目の掩体壕に張られた、保護色の幌が衝撃波とともに()に飛ばされた。

「今のは狙撃か?!」


 砲塔の全面装甲は、傾斜11度で100ミリもある。

 掩体壕には砲塔だけしか出していないんだけど。

 マグレだとしても、当てられるのは不可能に近いほどのシルエットである。

「8号車です。首を振ったので、致命傷にはならんでした!!」

 っていう、安否報告が来た。

 その後も似た砲弾が飛んできたけど...




 結果的には直弾するものは無かった。

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