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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1597/2525

- C 472話 いざ、外洋へ 6 -

「辺境公だあ?! 兄貴、マジで言ってるんか!!!!!」

 現当主から、半ば強制的に幽閉されてた青年がようやく解放された。

 いや、すでに決まった事柄の事後報告である。

 で、烈火のごとくお怒りというわけだ。

「まあ、落ち着け」


「落ち着く? どこにだ。どこで落ち着かせようって話なんだあ?!」

 兄に掴み掛りに行って、

 いなされ、投げられた。

「もう、喧嘩っ早いなあ...誰に似たんだよ?」

 親戚中を見渡してた。

 武闘派の弟、農奴のような兄と比較対照されてた関係。

 その兄の株は急上昇中だ。


 武闘派の弟が腕っぷしでも叶わないのだから。

「ちくしょー」

 あとはもう、ふてくされるだけだ。

「そこ、そこでもっと食いついてくれば、お前の株は暴落しないっての。俺は兄とか弟とかそういうのはどうでもいい。土いじりが出来れば当主の座なんて、お前にくれてやると何度も言ってるだろ」


「いいや、その押しつけがましいトコが嫌いなんだ!! 兄貴はデキる奴じゃんよ?!」

 ま、最後は兄弟喧嘩にすげ変わってるんだけど。

 領主になる気が無いのに、取り付けてきた()()は大それたものだ。

 いわゆる、あやふやだった自治権を勝ち取ったのだ、この人は。

 それで株が上がらない筈は無い。

 親戚連中も、認めざる得ない。

「デキる、か...その評価は余計なんだよなあ。だって、これ続きがあるんだよ」



 ローンホール家は失態を招いた。

 愚弟のしでかしは見逃されなかったという話。

 ま、間接的にだけど魔王城を襲撃したのだから、謀反者だと思われても何も言えない。

 辺境公に封じられる代わりに...目に見える形で誠意を示さなくてはならない...とか。

「って事は、」

 床に寝てた弟が上体を起こし、

「あ、いや。それじゃあ、俺が納得しないだろ? 土いじりの大好きな俺が、天領へ出向して...」

 弟の目の色が変わる。

 ああ、きっと兄の話をちゃんと聞いてないんだろう。

「兄貴を差し出せってのか!!!」


「いや、だから...俺は天領の農業大学に行って、だな。農地改革の神髄を学んで来ようと。ま、確かに...出向期間は10年、体のいい人質政策なんだろうけどもだ。ただ、これはこれでいい条件だと思ったのさ」

 拍子抜けな弟がそこにある。

 この選択肢にはいくつかの提案があった。

 身内の誰かを差し出す他に、人質となる預け先の候補地だ。

 五領は言わずもがな、六領に七領、三領と一領も含まれてた――「行先は、決められますか? 出向者からでも...」と、質問して“天領”も加えられたという流れ。

 実に彼らしい。

 いや、生活費などの方は仕送りで工面する必要があるけども。

 大学への費用などは天領が持つ形となる。

「...ったく、兄貴らしいよ」


「分かってくれたか」

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