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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1596/2524

- C 471話 いざ、外洋へ 5 -

 五領の南方地域上空を飛ぶ――

 眼下に広がる樹海が切れると、とてつもない大きさの農地が広がってた。

 ここが、例のマヌア荘っていう。

 実態を知らない五領王と、枢機卿に...

「この航空写真をジンに送り付けてやろうか?!」

 って、また余計なことを口走るウナちゃん。

 セラフィムが処理した()()()()()を反故にしたい模様。

「こっちの仕事増やすな、し」

 セラフィムから、優しく撫でられるウナ。

 怯える彼女は、まだセラフィムの怖さが分かってない。


 どうぞ、可愛がってください。

 あ、こっちにはこないで......いいからね。



 マヌアの規模はもう、荘園というには大きすぎて。

 五領の南方が、どの魔王領とも交差しないからか...或いは、未開拓地だからか。

 その上空に来るとその尋常じゃない()()()に胸が躍った。

「この地域はこれからどんどん発展していくね!」


「だが、一筋縄じゃない」

 うん。

 マヌア協定の骨格は、現在4つある辺境公の枠をもうひとつ創設し、マヌアにはその重責を背負わせるものだ。爵位が与えられ、軍事と経済の権限が与えられる辺境公制度。

 外から見れば、ローンホール家は躍進したように映り、内から見れば足枷が付いたようにも見える。

 ま、当主代行の青年も苦笑いを浮かべてたという。

 後者の方として納得した。

「六領にちょっかいを出した青年は、()()()()()“マヌア代王”だと名乗ったそうじゃないか。要するに、だ! 荘園を発展させてきたローンホール家と、それを支えてきた連中にとっては...五領とその魔王は身内でも何でもないって話。いや、それよりも敵くらいに思ってるだろ?」

 巨乳姫は、腕を組みながら仰け反ってる。

 ブリッジの板ガラスに反射した彼女の四肢が、だ。

 ウサギちゃんには癇に障るというか...

 自分の姿を振り返る。


 ああ、艦長席にはよじ登って座った。

 その後は地につかない足をぶらぶら揺らしてる始末――こいつなら、なんの苦も無く“かっこよく”座るんだろうなあって――僻みが湧いてた。

「なあ、ウサギ」

 愛称だと思ってたけど...これ、名前でした。

「あん?!」


「顔が怖いぞ?! 可愛いんだから、そんなに眉間...シワ、つくんなって」

 女の子にとっての“かわいい”は魔法である。

 ちょっと怖い顔をしてても、綻ぶ魔法。

「ば、ばかサル!! か、かわ...もう!!」


「ま、サルは余計だが。マヌアを束ねるのは本当に、どっちだったのかねえ...いや、代王を名乗る青年とそのシンパにとっては今回の協定は、到底受け入れがたいものがある。仮にも王を自称したんだ、魔王と一戦交えた訳じゃないにしても、そういう状況になったとも聞く。いや、聞いた限りでは五領と総力戦になってた()()くらいのやらかしようだろ?」


「うん。セラフィムさんの手応えだと、家族が勝手に暴走しまして~なんて言い訳してたらしいけど。征伐が無ければ、五領王はもっと怒れたと思うって...」

 征伐の前に。

 そもそも魔王ジンが魔界を出なければ、その武力は損なわれなかった。

 そういう隙を見せたのだ。

「そっか、五領王は怒れないか...と、なると...この協定は、彼らにとってデメリットではないのかもね」


「と、いうと?」

 ぶらぶらする足が気になる。

 腕によって支えられる脂肪の塊からも目が離せない、ウサギちゃんがあるように。

 同期のお互いが、お互いに気になるところがあってチラチラ見ていたりする。

 そんなのをクルーたちに見せつけて...

《そんなに気になるなら...》

 って、気を使わせてた。

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