- C 359話 天領始末記 3 -
ハナ姉の駆る粘土巨兵には、
パーソナルコードってのがあって...
個人別の特異な武装パックが用意されてた。
例えば、
NPCのラルさんの場合は“格闘戦”主体。
NPCの西さんには“中長距離射撃戦”主体。
ハナ姉には“近接格闘戦”が施されてた。
右腕の手甲にアダマンタイト製ブレードが仕込まれてて、鋼鉄をもバターのように切り落とすことが可能だったり、左腕にマウントできるシールドに口径40ミリ連装のガトリング砲が、オプションで用意されてたり。
あとは、頭部の右こめかみ附近。
ここに12.7ミリの機銃もあるんだけど...
姉に対して盛り過ぎか。
ま、こんな感じでもっさもっさ、武装を施してたから――魔狼の戦士を鷲掴みにすると、掴んだ肩をぐちゃぐちゃに握り潰して、切り刻んでしまってた。ま、確かに傍目から見ても、遣り過ぎな感じはしたけど、彼らも死に物狂いで襲ってくるし。
天領のパワードスーツ隊だって尋常じゃない戦死者をだした。
助力するとは言ったけどさ。
全部、こっちに丸投げってのも変な話だったし。
戦後処理だって、今も、巨乳姫とウサギちゃんら首脳陣は、城塞の執務室から戻ってきてない。
ハナ姉らが先行して、だ。
うっかり置き忘れてた、
キルダさんらを回収しに来たのである。
◇
粘土巨兵が落下傘降下出来る事は、いつかの時間軸で立証済みで。
ボクの記憶の中にうっすらと見えてはいた。
それが出来る装備もあったはず、だけど...
「天領軍に対する敵対勢力と判断!! 速やかに殲滅する。わたし麾下のパワードスーツ隊は、本機を中心に左右で展開しこれの掃討を開始せよ!!!」
ってヘッドセット越しに、いつの間にか天領の空挺部隊を指揮してた。
いや、彼らとは助け、助けられの中で仲間意識が高まったようで...
ボクの中のハナ姉ならば、だ。
常にどこかで軍の指揮をしている、そんな才能があった。
「ラジャー!!」
空から米粒みたいなのが降りてくる。
パワードスーツ隊は“芽吹きタマネギ”ちゃんズなんて愛称のある、人型の全高4~5メートルくらいの大きさだから。
ハナ姉のと比較すると、同じ高さで降下しても小さく見えた。
上空には飛竜ゴーレム1機に、怪鳥ゴーレムが2機で飛来してた。
降下した“芽吹きタマネギ”がひとつ近寄ってくる。
これから撤退戦を演じるタイミングのキルダ側陣地にだ――
「お怪我はありませんか? キルダ閣下!!!」
怪我も何も、
いやいや、木偶人形としか戦ってないから数千人の兵は無傷である。
「えっと、その...敵いあ、ヤウ公爵軍は?」
タマネギに搭載された望遠を用いて、
「ハナ隊長による爆撃が功を奏し、敵軍首魁の陣地が燃えていますね!!」
彼らは事情を知らない。
ま、百歩譲って...
いや、どこまで譲れば、彼らは赦してくれるのだろうか。
本陣が燃え落ちたとなれば、死傷者の数は悠長に数えて居られるとは思えないし。
いやいや、彼らには未だのこりの豪族との戦いが残ってた。
「...くぅ、計画が台無しだ」
「???」
そりゃ、そうだろう。
彼らはその計画自体を知らない。
USBランチャーをドカドカ打ち込んでるし、
「ちょ、ちょっと仕切り直せない?」
引き攣るキルダに、宥める賢者。
それ以前に公爵軍が戦列を本陣にまで下げて――ひとたび休戦となる。
にらみ合いに戻った、感じだ。
◇
実行支配下にある港町に“ゴーレム”を置いたハナ姉ら一行は、
キルダさんから一発、殴られてた。
「えっと、コレは何の懲罰だ?」
ハナ姉からすると、
コトの次第では殴り返すが、その覚悟はあるんだろうなあ的な、返しがあったという。
「ヤウ公爵軍とは密談があり、彼らに“わざと”負ける代わりに国外退去への算段を付けてもらう予定だった...が、たった先刻でその話は反故になった。ああ、いい...君らは知らなかった! それは理解できる。だが、しかしだ!!!!!」
ここの語気が極めて強く、強調されてた。
「しかしだ!!!! 攻撃を仕掛ける前にぃ! いやさ、降下する前に状況の把握と確認くらいするのが、っ軍人hじゃないのか、キサマら!!!!!!!!!!」
ぎゅっと握った拳で殴り掛からんとする、キルダを張り手で返すハナ姉。
「アホか!」




