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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1468/2525

- C 343話 侵略者たち 18 -

 交易都市“ドゥーラン”。

 碧色の海と、真っ青な空が水平線で交わるような、幻想的な光景がみえる観光の名所としても――五領だけに留まらずで有名な、都市まちである。

 天領軍キルダらは、市庁舎に一部の兵を残して大半が野営している為。

 市民も気兼ねなく日常を過ごしてた。


 結果、港湾施設が閉鎖的でも。

 陸路での交易路がより活発に機能する形で、多くの物資が最盛期の半分以下でも、マーケットの賑わいは健在と言えた。

 だからこそ、レンのキノコ裁きも成功するのだ。

 ピンク色に彩られたムフフな天幕へと客を招き込んで、さらにムフフな商品が客のポッケに仕舞われる。その客が捨て台詞のように...

「賢者もワルよのう~」


「いえいえ、お代官きゃくさんもなかなか...」

 って、少々芝居じみてはいるけども。

 コンテナいっぱいに運び込まれたキノコを見た時は、皆が卒倒しかけた。

 これで漸く、はけたところである。



 さて、交易都市“ドゥーラン”に迫る影――ヤウ公爵軍だが。

 どういう訳か、都市とは目と鼻の先で停止した。

 六領軍と五領本陣との方で、一段落ついたのもあるし。

 ヤウ自身の体調不良もあった。


「出来たみたい」

 ――が引き金だった。

 咳払いをする公爵陣営。

 それに囲まれ肩身の狭いベックという不思議な構図。

 一応、医師による診察中なので、本人に事情も聞く事が出来なかった。

「さて、勇者殿...いや、ベック殿は如何、責任を果たされるのでしょうか?!!!」

 ってのは、彼女の教育係である老人であった。

 ヤウが嫁ぐまで“ジイ”が傍に居りますぞと、政務全般にまで手を広げてた臣下だ。

 彼女の父の代から、過保護に育ててきた者。

「はあ、はあああああ...」

 煮えきらーん!!!で、吠えられた。

 まっすぐ不動に立つと、

「せ、せ、せせせせせせ...せ、責任はああああああ」


「とるのか、とらぬのか?!」

 いや、その...確かにゴムは付けませんでしたが...って、聞いてもない事を口走りながら、彼は及び腰のまま俯き、仰ぎ、明後日へと視線が泳ぐ。

「みなさん」

 医師が天幕の奥から、すっと現れる。

 彼の下へ駆け寄ったのはベックだった――「先生、アレの勘違いですよね!!!」――は、随分と失礼な話ではあるんだけど。

 医師はベックの手を解いて...

「おめでとうございます。公爵閣下はご懐妊いたしました!!」

 だって。

 ベックの人生にまた新たなページが増える事に成る。

 で、軍の侵攻もここまでとなった。



 セラフィムからの遣いというのが公爵駐留軍に寄る。

 ああ、ご懐妊の話は未だ表立っていない。

 まったく当人が逃げ腰なので、シングルで育てる可能性さえ、視野に入れなくてはならない状態となってやや、たぼうの極みとなりつつあった。特に教育係のジジイと勇者の一騎打ちは、関係者としても目が離せない。

「あの...」


「何者だ? いや、今それどころではないのじゃ」

 使者は咳ばらいを吐く。

 しかも、気の障る感じのを何回もだ。

「っ、やっかましいと!!」


「我らは天領軍である!! こちらも子供の遣いではないのだ、それ相応の持て成しくらいはあるだろう?」

 強気で切り出してた。

 都市との交換で、怪鳥ゴーレムを都合付けてもらうという交渉が控える前段階だったから、下出に出るような気が前もあった。が、それも半日待たされたら()()()()いこうかなって人の気持ちなんて消し飛ぶようだ。

「て、天領?!」


「使者の相手をした兵士は、幕僚の下に奔っていった」

《あれ? ...今のは下っ端であったか》

 それは大人気の無い事をしたと、反省してた。

 その数分後。

 やっぱり怒髪天になってた頃、

「えっと、天領のどなた様ん?」

 随分軽そうな巨大な虎が現れる。

 使者を見下ろすような大きさだ。

 その使者も、腹から胸板、太い首を見て顔へ――もう見上げるような巨漢ぶりだったのは覚えている。

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