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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1467/2521

- C 342話 侵略者たち 17 -

 天領の上陸部隊。

 取り残されて可哀そうなキルダを指揮官とする、彼らが実効支配し、橋頭保である港町は五領の海岸線で唯一の巨大交易都市だった。最盛期ともなれば、交易が結ばれた国々の航路から、日ペースで貨物船が1時間或いは30分おきに現れてた。


 が、それも輝きし...()()昔の話である。

 ま、そんな遠くってもんじゃあないけども。

 昔の話。


 だって、停泊する筈だったから軍艦用にスペースの確保で...

 交易船を寄り付かせなくさせてしまった。

 本来ならば...だ。

 年ベースの貿易収支は、黒字傾向で金貨数千枚に上る。

 内、国庫へと流れ込むのはその、20%であった。

「喰いきれないキノコは売ろうと思う!」

 レニーホールドはのたまう。

 おもちゃで使い果たしたものは、付加価値が別途に付くと...レンさん曰く『は~い、みんなあ!! こっちで写真撮影するよ~♪』随分と暢気な事だと言ってた、キルダも暗室で...セーラー服に着替えさせられて――渋い顔をしてたのは、思い出したくもない。

「あの撮影は?」


「付加価値に更なる効果を上げるためだ」

 引き攣る表情筋にキノコ汁。

 し、沁みる...

「大丈夫、大丈夫! プライバシーは守られるし、加工済みだから年齢としなんてバレない、バレない。こっちでさ、AI神絵師さんも使って色々とアレンジしてあるから、収入減アップは期待していいからね」

 だって。

 商魂たくましいけど、

 あれ? 叔母おねえちゃんは?

「セラフィムさんなら、ベックを迎えに行ってるよ」



 そうそう。

 そういう話もあった。

 確か、ヤウ公爵軍が港街に迫ってるという話。


 元々は...

 

 北方戦線に参加してた貴族たちが、だ。

 国家運営に対して身勝手に、税率への意見具申を行ったことに端を発する。 

 確かに中央平原での公爵は、地方太守みたいな権限がある。

 国難だったから最大で2年間の徴税率にやや、大目に見る約束したという――「ま、政策としては分からなくもない。どの地域も復興には内外から金が掛かるし、お役人に対して“ちょっと待ってください”ってのも、ね。でもさ、税率ゼロは無茶だわ」

 レンさんは説く。

 憤って立ってたキルダさんは、部下が用意してくれたクッションに沈む。

「あ、これ気持ちいい!」


「あざ~す」

 侍女の手製らしい。

 “カイコモドキダケ”ってキノコの繊維を利用して、編まれた敷布だけど座り心地は、低反発クッションっぽい雰囲気である。

 それ、売れるんじゃね?

「聞いてる?」


「ああ、うんうん...要するに、だ。免税という究極のサービスに味を占めたんだろ?!」


「まあ、そう」

 貴族たちが北方戦線を敷いた時には未だ、打算めいたものはなく。

 およそ純粋に“自分たちの国は自分たちで守る”感情があったのだろう。

 紆余曲折のなかで、貴族本来の狡賢さに。

 或いは、生存本能に目覚めたのかもしれない。


 貧乏貴族だっているだろう。

 真面目に家財道具のすべてを投げ売って、農兵、傭兵を率いて戦った者も少なくはない。

 そうした者たちにとって荒れ果てた...

 我が領地を前に膝が折れるのは当然。

 ならば、と。

 侯爵は善意で動いた――

「その行動の結果が、反逆者に仕立て上げられた」


「しょーっく!!」

 キノコ汁が不味いと、横に倒れるキルダさん。

「それ汁じゃなくて、キルダさんの匂い付け中...もう、自分の出した潮吸って不味いとか...やめてよ施術したくなるよ、たぶん...」

 キルダは、咳き込んでた。

 え? わたしのー!!

 って反応は、まあ予測できる。

 彼女にかまわず、

「セラフィムさんは、ベック君と会談が出来るよう、差配してもらう予定だから。今んとこ、あっちは全権委ねて...るってトコかな」

 とりま、これで()()()()()の升目からは脱出した。

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