- C 338話 侵略者たち 13 -
「くまなく探せよ、どこかに潜んでいるかもしれない!!!」
って声は、森の奥にまでよーく届いてた。
追われている側にすれば、恐怖と常に、だから――まるで耳元で囁かれたように、腹の底、
臓腑でもかき回され、心臓でも鷲掴みされたように捉えてただろう。
怪我さえしてなければっていう兵士も、ある。
時々、木々の間から光が差す。
サーチライトのだ。
魔法飛行士らの捜索も継続中。
黒い巨大な鳥が飛んでいる。
「ちくしょー、聖櫃らに騙されたんじゃねえか?!」
聖櫃騎士団は、求められた言葉に応じて、わりと正確に応えている。
例えば四領の軍事施設と、装備などをだ。
が、聞かれもしなかったことには、答えていない――だって、放す義理は彼らには、ない。
いい性格してるよ、あいつら。
お人好しなふりをした、悪人。
ボクはそう、聖櫃らを括る事にした。
◇
四領の現状況は、ほぼどこも似たものだ。
各地へ散った残りの4000人たちも、苦戦を強いられてた。
三領の国境へと逃れた連中もある。
千人将らは、豹人族の森に入ってた。
そこは、“ニャーナ”荘という猫の神様を祀ってる、旧き獣人の土地らしい。
三領内でも行商が立ち寄るのは、広大な荘園の入り口にある“エグイ”って名の玄関街である。
“エグイ”は、統一王朝の言語で聞き取れた言葉で、実のところなんて呼んでるのかは...さっぱり分からない。
もっと違う名の街名なのかもしれないけど...
今更、正す気にもなれないので、そのまま使われてた。
「ここまで来れば...」
千人将は、空爆から逃れた兵と市民らの点呼を取る。
只ならぬ雰囲気のある森だけども、四領からの攻撃は止んでた。
「閣下、生存確認は700人を割りました」
重傷者も一応は、その中に入っている。
ただし、その者たちが音もなく姿を消している事実は知らない。
副官の目の前から、千人将の姿が消えた。
報告し終え、
少なくとも2、3の言葉を交わしてたところでの失踪。
「戦士たち! 臨戦態勢!!!!」
副官の声に武器を取る兵士たちがある。
3人、5人と背中合わせに組となるも、神隠しは続く――「無駄なあがきだ!」
緑の深い森から聞こえてきた。
「何者だ!!!?」
失笑が聞こえてくる。
木々のこすれ合うものかもしれないけど。
やっぱり声だ。
『知らずして足を向けるとは、...増して不運な者たちよ!! 旧き神々はその血を捧げよと、仰せにある。故に我らは汝らを狩る者である!!!!! 卑しきオオカミども』
大地が赤く染まる。
森が紅く染まる。
上空にある“カイザー・ヴィルト”から眼下の森を眺める騎士があった。
聖櫃の導師として王城にあったものだ。
「玩具がひとつ、壊れちゃいましたねえ...ま、こっちも魔法飛行士の可能性を見せつける事が出来たんで...良しといたしましょう」
親指の爪を甘噛みしながら、
気怠そうに微笑んでた。
◆
シーラビット族の“ウサギ”ちゃんと、
シーモンキー族の“巨乳姫”の相性は最悪じゃない、最強のタッグ。
そこへ放り込まれる、
シーキャット族のノワールさんが、肩を竦めながら...
「えっと、なんで私が呼ばれちゃったの...かな?」
片や代将、片や艦隊提督。
ふたりとも高級将校で在る。
そこへ乗りての少ない巡洋艦を割り与えられた、ノワールさんです――副長じゃないけど胃がキリキリするような幻痛を感じていた。もう、幻覚でもないかもしれない痛みがある。
「おう! 来たか、親友!!!」
巨乳姫に当てつけるよう、ウサギちゃんはノワールさんを重用した。
実際に、そういう駆け引きが水面下で行われてる。
《ほう、ウサギちゃん...ついに同族を手に入れたか》
眉間に皴が寄り、あからさまに嫌悪丸出しのノワールさんを迎え入れ、
ウサギちゃんは得意げに。
「見よ、仲良しなのだ!!」
何が?
何で?
「小さい!」
代将がNGワードに首を振る。
その形相、鬼のごとし...
「この艦隊は、物見遊山なの?」
ノワールさんの曇った表情が晴れていく――
ボクもその場に居たならば、
たぶん、同じように接してたかもしれない。
あ、違うな...
ハナ姉がボクを迎えて、吸ってるんだ。




