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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1212/2523

- C 159話 機動艦隊とクァンガイ航空隊 5 -

 クァンガイ航空隊の襲撃は、海南島守備隊にも届けられた。

 直掩80器からの攻撃に晒された、爆撃器の少女たちの内1割だけ辛うじて基地上空へ到達。

 していたのだが、爆弾を落とす前に投降するという珍事件が起こる。

 これらの野暮用もあって――基地守備隊は、やや遅れはしたものの「クァンガイ領飛行師団に協力を求む」という手配が出されたようだ。


 これで、グラスノザルツの飛び地領は“友好国の救援を行う”という大義を得た訳だ。

 遠回りな話だけども、大義名分を得たので、義勇兵として戦えることになったらしい。


 ここにクエスト“ハイフォン防衛線”が正式に発布されるわけだ。



 クエストの発布は速やかに傭兵ギルドにて公開される。

 攻撃は現在進行形の形だけども、物資補給の支援クエストや、局地海戦による海域の治安維持、あとはまあ攻撃側、守備側の旗取り合戦などが趨勢を握るところだろうか。

 報酬は守備側が分がいい。

 戦功と勲功は、後の今シーズンの個人戦績に大きく影響するので、分の良いところで捕っておくのが“吉”とでる。

 これは、2シーズン通してきた経験者から語られた貴重な情報だ。

 公式でも平等性を期すために、公開されたもののひとつだったので、隠すよりもオープンにした。


 ノワール艦長も、このクエストには目を通している。

 が、当のギルド長の首が縦に振られない。

「懸賞金の話は立ち消えていないし、ま、確かにイベントが進行している最中に狙われることは無い。が、フレンドファイヤーも存在するから絶対とも、な」

 フレンドファイヤー=つまり、友軍が故意にしろ事故にしろ、同陣営の艦艇から攻撃されるという現象である。今のところペナルティもなく、ダメージも通るので“FF”行為はモラル上、コミュニティ内で禁止されているだけに過ぎず。

 時々、そうした違反行為をするクズがいる。

 皆がジェントルマンという訳ではない証だ。


 ギルド長は仲間を想い、そこまで心配している。

「人付き合い悪い方だけど...ありがとう」

 ノワールさんは照れながら両手で彼の手を取った。

 慣れないウィンクを返して、

「でも大丈夫、だって私の新マイホームは...戦艦だよ」

 って微笑んだ。

 いくつか増加装甲を加えて、舷側の防御力を増したいところだし。

 生存性は高めておきたい。

 シルエット的には、やや箱型が増す雰囲気がある。

 でも、甲板側も少しは要塞化させたいんだよなあ。

「じゃ、クエストは何を選ぶ?!」

 旗の取り合いは未だ解放されてない。

 彼女は、治安維持のチケットを千切ってた。

 三白眼エルフの副長は無表情。

 ギルド長の視線が彼に向いていても、

「これでいい?」


「ああ、登録しておく」

 台州のドックにて修理中の“ラ・ロシェル”が再び、海上に浮けば出航の話が届くだろう。

 それまでには、ノワールさんの手配書を取り下げられれば、ボクたちの勝ちだ。

 ボクは、その為にウナちゃんらと接触したのだから。



 東洋の機動艦隊は一時的に、ルソン島まで後退している。

 クエストが発生したからだ。

「海南島攻略および、ハイフォン防衛線...ってマジか?!」

 司令は飲みかけのワインを、ボトルごと壁に叩き付けて割った。

 常軌を逸してたと証言されても致し方のない行動だ。

「本国からは?」


「増援は見込めない。いやむしろ、陸軍に対して秘密裏に動いてたんだ...陛下も大変ご立腹と、くそ、どうしてだ! 何故、我らの行動が」

 問いかけた将校を人睨みして、司令は殴りかかりそうな雰囲気がある。

「他国の魔法士に嗅ぎつけられたのでしょう」

 幕僚の大佐が告げた。

 東洋の海軍は増長しているといった、他国の評価には耳が痛くとも目を通してきた経緯がある。

 それにきて南方戦略案という南洋王国との戦争を匂わせた作戦案があると噂されれば、普段から疎遠の国は否が応でも警戒するというものだ。

 およそ、海軍上層部も見たいものと、聴きたいものしか目にしてこなかったのだろう。

 これは上奏する参謀部の失態ともいえる。

 最早、参謀という助言者の仕事ていを為していない。

「嗅ぎ? 大佐おまえは何を言っている」


「参謀本部の怠慢です。幕僚としての私の諫言も至らなかったのでしょう...閣下、疎遠だった各国では、我が国の動向を探っている旨の報告が上がっておりました。我々は警戒されていたのです」

 と、深々と首を垂れた。

 革張りの椅子に浅く座っている司令の目は憔悴しきっている。

 力が無く、どことなく儚げのような。

 生気さえもない雰囲気だ。

「この行動は読まれて...いたのか?」


「いえ、偶然に見つかったものと思われます」

 艦隊が南下しているだけだ。

 無線封鎖、無灯火行動の怪しさは残る。

 が、この陣容を見たところで戦を始めるとは到底思えないだろう。

 これは偶然の重なった事故。

 大佐はそう読んだ。

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