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特等席のぬくもりと、耳元の「ふーふー」

休日の穏やかな午後。窓から差し込む柔らかな日差しが、畳の上に長い影を落としている。

ご主人様が座椅子でうとうとしていると、隣でそわそわしていた鬼宮さんが、意を決したように膝をパシパシと叩いた。

「あのぉ……ご主人様ぁ。もしよろしければ……お耳、お掃除させてくれませんかぁ?」

お盆の上には、丁寧に手入れされた竹の耳かきと、ふわふわの梵天。

ご主人様が「お願いしようかな」と答えると、鬼宮さんの顔はぱあっと明るくなり、すぐさま自分の膝を差し出した。

「えへへ、嬉しいですぅ……。さあ、どうぞぉ。ここ、特等席ですよぉ?」

促されるまま、ご主人様はその柔らかい膝に頭を預ける。

ふわりと漂う、お日様のような、石鹸のような、彼女特有の優しい香りに包まれた。

「……失礼しますねぇ。痛かったら、すぐ言ってくださいぃ……」

鬼宮さんの細い指先が、慎重に、けれど慈しむようにご主人様の耳に触れる。

カリ、カリ……と、耳かきが心地よい音を立てる。彼女は舌を少しだけ覗かせながら、宝物を扱うような真剣な眼差しで手元を見つめていた。

「ふふ……ご主人様のお耳、とっても綺麗ですぅ。でも……こうしてお世話できるの、私、すっごく幸せなんですぅ……」

時折、耳元で彼女の「ふわふわ〜」とした吐息が聞こえる。

仕上げの梵天が耳の中をくすぐるたび、全身の力が抜けていくような心地よさに襲われた。

「あ……動いちゃダメですよぉ?……ふー、ふーっ。……えへへ、くすぐったいですかぁ?」

顔を覗き込んできた彼女の瞳には、隠しきれないほどの愛情が満ちている。

鬼宮さんは満足げに微笑むと、そのままご主人様の髪をそっと撫で始めた。

「ご主人様……大好きですぅ。このまま、ずっと……こうしていてもいいですかぁ……?」

耳掃除が終わっても、彼女の膝という名の「特等席」から離れるのは、もう少し先になりそうだった。

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