表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

一枚の毛布と、甘い心音

「ひゃあ……っ、急に冷え込んできましたねぇ……。ご主人様、お風邪、引いてませんかぁ?」

夜が更けるにつれ、部屋の空気はしんしんと冷え切っていく。

鬼宮さんは心配そうに、自分の宝物である厚手の毛布を抱えてご主人様の隣にやってきた。

「あのぉ……ご主人様ぁ。もしよろしければ……この毛布、一緒に使いませんかぁ? 一人より、二人の方が……きっと、あったかいですよぉ……」

おずおずと差し出された毛布の中に、ご主人様が招き入れる。

「……失礼しますぅ」と小さく呟いて、彼女は隣に滑り込んできた。

最初は遠慮して、拳一つ分ほど開けて座っていた鬼宮さん。けれど、肩が触れ合うたびに「あぅ……」と小さく声を漏らし、顔を赤らめている。

「……あのぉ、ご主人様ぁ。……もっと、近くに行っても……いいですかぁ? その、寒いのは……身体に悪いですからぁ……」

もっともらしい理由をつけながら、彼女は少しずつ、少しずつ距離を詰めてくる。

やがて、彼女の細い肩がご主人様の腕にぴったりと密着した。

「……ふふ、あったかいですぅ……。ご主人様の匂い、すっごく落ち着きますぅ……」

毛布の中は、二人の体温でみるみるうちに熱を帯びていく。

鬼宮さんは我慢できなくなったのか、ご主人様の腕をぎゅっと抱きしめ、そのまま肩に頭を預けてきた。

「……ねぇ、ご主人様。聞こえますかぁ……? 私の心臓、さっきから……すっごく、トクトク言ってるんですぅ……」

至近距離で見上げる彼女の瞳は、潤んでいて、熱っぽい。

「ふわふわ〜」とした吐息が首筋をかすめるたび、ご主人様の心音も彼女に呼応するように速くなっていく。

「……私、ご主人様とこうしているだけで……胸がいっぱいになっちゃいますぅ。……あのぉ、明日も、明後日も……ずっとこうして、温めてくれますかぁ……?」

毛布の端をぎゅっと握りしめた彼女は、幸せの余韻に浸るように、トロンとした目でご主人様を真っ直ぐに見つめ続けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ