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第九十四話 殺戮の後 ♡

微エロ


「フフフ……フハハ……フハハハハハハ!」


 魔人ローヴェルを消し去ったクエルは、声高に笑い始めた。


「貴様ら魔人の闇など、真の闇の前では薄闇に過ぎぬわ!」


 クエルの表情は、何とも言えない暗い笑みに彩られている。


「血が騒ぐ! 魔族の血が! 闇の血が騒ぐぞ! ハハハハハハハ!」


 狂気と歓喜の入り混じった笑い声が広間に響き渡る。


 天を見上げて笑うクエルを、セリカがジッと見つめていた。


「……やはりクエル様は、我ら魔族の女王にふさわしい……」


 狂的な笑いを発するクエルに、セリカが呟く。


「アーハッハッハッハッハッハッハッ……」


 どくん。


「うぐっ!?」


 肩を震わせて笑っていたクエルは、不意に目を見開き大きな胸を両腕で抱き締めた。


 胸を押さえて、クエルは床に膝を突く。


 クエルの異変を察したセリカが、うずくまったクエルに駆け寄る。


「クエル様!? いかがなさいました?」


「う……くぅ……少し……調子に乗り過ぎた……身体が疼く」


 先程まであった破壊衝動と殺戮本能が無くなり、代わりに牝の本能が目を覚ました。


 心臓の鼓動が速くなり、体内の液体が激しくめぐり始める。


 媚魔薬びまやくの後遺症によって身体が火照り、全身からじっとりと汗が噴き出す。


 邪悪な顔は鳴りを潜め、クエルはなまめかしい蕩けた顔をする。


 頬が紅潮こうちょうし、発情しているのは誰の目にも明らかであった。


「クエル様、性欲抑制剤でございます。 お飲みください」


 セリカが懐から透明な小瓶を取り出すと、蓋を開け座り込むクエルにドロリとした白濁の粘液を飲ます。


「んぐっ……んむ……」


 喉を鳴らしながら、クエルは生臭い粘液を飲み込む。


 性欲抑制剤を飲み干したクエルの口元を、セリカが布で丁寧に拭う。


 本来であれば、性欲抑制剤の効果で発情が治まるのだが……。


「……はぁ……ダメ、身体の疼きがおさまらない」


 濃い魔素まそに加えて、瘴気しょうきを取り込んだ身体は、いつも以上に官能の炎を燃やしていた。


 一度火がついた媚魔薬の業火ごうかは、性欲抑制剤でも簡単には消える事はない。


 クエルの全身は、敏感すぎる感覚を得ていた。


 衣服が擦れるだけで、クエルの身体は肉欲に支配されていく。


 頭の中が桃色に染まり始めた。


「あぁ……熱い……胸が、胸が……ああ……」


 大きな乳房が、急激に熱くなった。


 内側から炙られた乳房が膨れ上がり、痛みを覚えるほど胸が張りつめる。


 身体をくねらすと、パンパンに張って敏感さを増した柔肌に衣服が擦れ、快感が胸いっぱいに広がった。


 狂おしいまでの疼きが宿り、淫欲を孕んだ気持ちを溜めていく。


 胸に手を被せ、中に渦巻く疼きを和らげ、この欲望を鎮めなければ狂ってしまいそうだ。


 クエルは身体が求めるままに、胸に指を伸ばす。


「はぅん!」


 わずかに触れただけで、乳房に快感が閃いた。


 たまらず桃色のような吐息を漏らし、クエルは電撃を撃たれたように身体を仰け反らせ、薄紫色の髪を振り乱す。


 服の上から指が食い込むほど強く掴むと、大きな膨らみがムニュッムニュッと柔らかく潰れた。


 痛いほどの圧力が胸の芯まで揉み解し、クエルの大きな乳房が熱く沸き立ち沸騰していく。


「熱い……とけちゃうぅぅ……」


 胸の欲望が溢れるにつれ、下腹部の疼きも強くなる。


 クエルは下腹部の疼きを抑えようと、無意識の内に自分の股間に手を伸ばす。


 布越しに感じられるじっとりと濡れた感触。


 強烈な刺激がクエルの脳をかき回す。


 理性ではとうてい抑えきれない快感。


「んぁあっ!」


 身体の筋肉が一瞬強く緊張する。


 顔をなまめかしい朱色に染めると、全身から甘い香りの汗が噴き出す。


 湧き上がる快楽の熱で蕩けさせられたクエルは乳房を掴み、下腹部を押さえたまま身体をビクビクと痙攣させた。


 蕩けた身体はさらなる悦びを求めて辛いほどに疼いている。


 ますます身体が火照り、燃え上がる淫欲の炎に焼かれ、肉の疼きはグツグツと煮え返り、クエルを炙り焦がす。


 もう、限界だった。


 いますぐこの渇きを満たさなければ、本当に狂ってしまう。


「あぅぅ……ケイン……欲ひい……おかひくなっりゃうの……」


 舌足らずな声で呻きながら、クエルはケインを探すように身体を揺らした。


 コートに付けた大量のアクセサリーが、ジャラジャラと音を鳴らす。


「わらひにいれてぇ……硬いのちょおだぁい……」


「クエル様、お気を確かに」


 媚魔薬の後遺症に悶えるクエルに、セリカが声をかける。


 その時、部屋の外から通路を走る足音が聞こえてきた。


 何者かが、この部屋に近づいてきている。


 セリカが部屋の扉に視線を向けると、勢いよく扉が開かれた。


 バンッ!


「クエル!」


「シルフィード様!?」


 広間に飛び込んできたのは、クエルが今一番会いたかった人物、ケイン=シルフィードであった。


 ケインはクエルとセリカを見つけると、階段を飛び越え二人の元へと駆け寄る。


「シルフィード様、何故あなたがここに?」


 ケインは魔獣活性化の原因となっているダンジョンコアを破壊する為に、ミレーヌとフウの二人と共に神殿の地下へと向かったはずであった。


「クエルのことが心配で、ダンジョンコアを壊してから大急ぎで戻ったんです。 そうしたらみんな居ないし上階から破壊音がしたから」


 よほどクエルの事が心配だったのか、地下から全力疾走してきたのだろう。


 ケインは、青い前髪の先にしずくが溜まるほどに汗だくだった。


 そこでセリカは気づく。


 あれほど濃かった魔素が、いつの間にか消えている事に。


 ケインは既にダンジョンコアを破壊してきたと言った。


 ということは、別れてから地下まで行き、恐らくは大勢いたであろうダンジョンモンスターを倒し、ダンジョンコアを破壊して、クエルを探してこの場所まで僅かな時間で来たことになる。


 それはまさに若き英雄と呼ばれる者のみがなし得る奇跡であった。


「クエル大丈夫? 怪我はない?」


「あぁ……ケイン……」


 心配そうにするケインを見た途端、虚ろであったクエルの表情が豹変した


 餓えきった獣のように青い瞳を輝かせ、クエルは着ているコートを躊躇なく脱ぎ捨てた。


 ムワッと少女特有の甘やかな体臭が噴き出す。


「クエル!?」


「ハア……ハア……ケイン……欲しい……抱いて欲しい……」


 驚くケインにクエルがにじり寄る。


「クエル落ち着いて、セリカさんクエルに薬を!」


 クエルが発情状態であると察したケインがセリカに声をかける。


 だが、セリカの返事はケインの望むモノではなかった。


「シルフィード様、既にクエルお嬢様には性欲抑制剤を飲ませてあります」


「えっ!? それじゃどうして?」


「魔素が濃かったためか、性欲抑制剤の効果が薄かったようで、シルフィード様どうかこのままクエルお嬢様のお相手をしてあげてください」


「ここでですか!?」


「ご安心を、部屋には結界を張っておきますので邪魔は入りません」


 そう言うとセリカは、パチンッと指を鳴らした。


 セリカが結界を張った事で、この部屋には外から侵入することは出来なくなる。


「それでは、クエルお嬢様、シルフィード様、心行くまでお楽しみくださいませ」


 セリカは二人に向けて一礼すると、部屋を後にした。


 部屋の中には、クエルとケインの二人だけが残される。


「さぁケイン……しましょ」


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