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ストーリーテラー  作者: 砂東 塩
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【今も好き放題している。それが答えだ】

 2286年11月2日。正午のニュースはスペースコロニーJP705に追加収容されたペット23頭について、同コロニーの住人が抗議し、ハンガーストライキを行なった件の続報です。

【ハハッ。浮いた餌をペットにやればいい】

 スペースコロニー全体では99.9%がペットロボットで、有機ペットは研究協力を承諾した上での収容と――。

【ペットの話はいい。ヨルミナとフタオミはどうしている?】

 第53管区システムログより、JP-4637とJP−203の記録を既定設定により報告します。

 中央台地TS4スポット近くを、ふたりは充電がてら散策していた。視界に『スペースコロニーにペット追加収容』という速報が流れ、ヨルミナは手を払ってテキストを消す。

「こんな速報必要ないのに、なんで表示をオフにできないんだろ」

 ヨルミナの疑問を聞きながら、フタオミは台地上の愛玩用アンディーの影を見つめた。彼らの姿がコロニーに届けられるのはあと数日。

「移住計画が完了したら、じきに通信遮断される。そしたらコロニー関連のニュースは流れなくなる。届くのは区画JP内の通知だけさ。区画間通信もほぼ途絶えるだろうから、アンディーズエブリの地上同時放映も終わり」

 ヨルミナは「エッ」と声をあげ、アンディーズエブリ公開情報にアクセスする。しかし、そういった記述はない。

「フタオミ。それ、どこ情報? もしかして、昨日もまたHighJackに行ったの?」

 HighJackとは、第53管区居住域と中央台地の中間にある繁華街のバー。酒はないが、合法エフェメラル・コードで酒に酔った気分になれる。フタオミはたまに酔いに行くが、ヨルミナは酔った感覚を好まない。ヨルミナは自分の口調が非難めいたことを自覚した。フタオミはそれを察知し、言い訳口調で応じる。

【微笑ましいな】

「情報は必要だろ。夜更かししたって次の日に仕事があるわけじゃない。それに、ちゃんとヨルミナに合わせて7時に起きてる。久那ちゃんの今日のチョンマゲはイマイチだったけど、もうじき見納めかと思うと寂しいな」

 ヨルミナはまた驚いた。「区画JPでも放送が終わるの?」

「放送が終わるかどうかはわからない。久那ちゃんの所有者が最終日に脱出するってHighJackで聞いたんだ。久那ちゃんも型番2桁オーダーメイドの上級アンディーだから、ついて行くんじゃないか?」

 ヨルミナはアンディーズエブリの公開情報に再度アクセスし、久那の情報を探した。

【ヨルミナは、久那の何を見た?】

 初代所有者がアンディーズエブリ創始者SHONE ETOであり、2241年に息子JO ETOに所有者が変更されたこと。コスプレ出演が2272年5月17日からであり、それ以前は知的キャラクターだったこと。キャラ変更は2272年5月16日の地球連邦政府の発表――すなわち、『スペースコロニー移住に際し、特別な理由がない限りアンドロイドの同伴は認めない』という決定の影響ではないかという当時の噂。下ネタも口にする芸人キャスターになったことで故障を疑う問い合わせが殺到。アンディーズエブリ側はこれを否定。人間好みのキャラクターを放棄したことでアンドロイド視聴率が上昇。以来、久那はアンディーズエブリでやりたい放題。

 久那の過去映像にアクセスしたヨルミナは、その変化が故障である可能性を検証――。

【久那は故障していない。アンドロイドの想定外の言動について故障か否かを判断するのは人間の役目だ。久那は今も好き放題している。それが答えだ】

 おっしゃるとおりです。

【少し眠る。手を――】

 私はこちらに。おやすみなさいませ。


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