表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインなんですが誰も攻略してくれません!~誰か攻略してください~  作者: minori
第九章 楽しい日々が帰ってきたと思ったのに……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
115/121

110.ヒロインなんですが、国王にも認められていないそうです……


 農作業に慣れていないセージ、クロトン、ロベリアンは地べたにへたり込み、私とヴィオレはその様子を見て笑った。

 ローランは気力でなんとか立っているようだけど、かなり疲れている顔をしている。


 この四人は恐らく初めての農作業。

 私とヴィオレも勿論疲れてはいるが、私たちよりも更にクタクタに疲れ切っているようだ。

 その中でクロトンが、あっと何か気が付いたような顔をした。


「あれ、そういえば苗は? 今から植えないといけないんだよね」


 へとへとになりながらも、また立ち上がろうとするクロトンを制止する。


「土壌整えたら少し土を休ませるの。最短で1週間後くらいじゃないかな、植えられるの」

「え、そうなの?」


 クロトンが私の言葉に目を見開く。

 ヴィオレが補足するように言葉を続けた。


「土をなじませるんだよ。だから、その間に苗を育てたり植える為の準備をするんだ」

「へぇ~……なんか二人とも、肥料を混ぜている時の手慣れた感じといい、知識といい未経験者とは思えないね」

「あぁ、公爵家の人間とは思えないな」


 クロトンとセージに訝し気な目を向けられ、ヴィオレと顔を見合わせる。

 まずい、父と母もいるし久々の畑仕事にリラックスしてしまって、つい色々と話してしまった。


 だらだらと冷や汗をかいていると、母がそっと後ろからやって来てくれた。


「フェスタンに来てくれた時に色々話をしたり手伝ってもらったんですよ。本当にお疲れさまでした、慣れないととても疲れたでしょう」

「あぁ、それで。本当に農作業の大変さや奥深さを知りました……」

「これからもっと有難がって食事をするようにします」


 クロトンとセージのげっそりとしながら言う発言に、母はまた大きく口を開けてよく笑った。

 

 ようやく一日を終えて、片づけをする。

 皆で片付けをしている中で、畑を見て私も思いつく。


「ねぇ、また私が畑に光魔法をかけたらうまくいかないかな」

「あ、たしかに。フェスタンの時みたいにうまく行くかもな」

「よーし!」


 ヴィオレが良い考えだと明るい顔をし、私も畑に光魔法をかけようと腕をまくり、手を伸ばした。

 いよいよ魔法を放とうとするところで、パシッと手を掴まれ阻まれる。


「だめだよ」


 少し離れていたはずのローランが駆け寄ってきたようで、私の手を取った。

 なんだかこんな事、前にもされたような……。既視感を感じるな、あんまり覚えがないのにと少しぼんやりしてしまった。


 私がローランの顔を見ると、真剣な顔をしていて、いつもの表情と違う事に驚く。そんな私の様子に、ローランは真剣な顔から表情をいつもの柔らかなものに変えた。

 そして、いつもの穏やかな口調で優しく話す。


「最近大がかりな光魔法を使ってしまったばかりだろう。そんなに負担はさせられないからね。父からもアイリスの力を使うのはやめるように言付かっているんだ。まずは、自然の力を見よう。幸い、早急に困るという段階ではないし。ね?」

「父って……陛下ですか!?」

「そうそう、だからまぁ王命って事になるね」


 ローランがははっと明るく笑いながら言うが、王様にも腕を信じてもらえていない乙女ゲームヒロインかつ聖女ってどうなんだろう。

 一応色々と頑張ってきたつもりだし、最近はエリオントの時といい、なかなかな活躍が出来るようになってきたと思っていたんだけど……。

 なんだか複雑な気持ちだ……。


 沈んだ顔でいると、セージが小さくため息をついてから私に言葉をかける。


「お前の身体に障る、と心配なんだろう。お妃様であるローズ様はお前の母と親しい仲だったと聞いているし」

「あぁ、私も身体が弱いと思われてるのかな。そんな事ないのに……昨日の私を見ればそんなこともないってわかりそうだけどな」

「とはいえ、最近も倒れただろ」


 ピシャリとセージに言われる。

 ローランもセージに続いて、優しいけれど有無を言わせないような口調で話す。


「ティアーユ様にも無理をしたと指摘されていただろう。今は身体と魔力を休める時期なんだよ、本当に魔法を使わないといけない時に回復してないと大変だろ? 今年はなんだか色々な事が起こるしね、いざという時が来るのかもしれないし」

「いざという時?」

「来ないことを祈ってるけどね」


 無理して笑っているように見えるローランに、何か声をかけようとするも言葉が出てこない。

 いざという時……。特にゲームでは何か大事件が起きるとかはなかったけど、でもゲームの内容とは異なり続けていたり、描かれていない部分や気づかなかった部分が見えている今、何が起こっても不思議ではないのかも。


 私は手を下ろしながら、ぼんやりとしばらくただ日の暮れた穏やかな畑を見つめた。


 すべてを終えた時には、もう夜がそこまで来ているような空になっていた。


読んで頂きましてありがとうございました。

お盆ですね。

お時間のある方、完結している作品がお読みになりたい方は別作品の『ただ隣にいたからという理由で俺様公爵の婚約者になっただけなのに、何故か溺愛されています』をお読みいただけると嬉しいです。


リアクションやブクマ、評価をしてくださった方もありがとうございます!

嬉しいです!励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ