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ヒロインなんですが誰も攻略してくれません!~誰か攻略してください~  作者: minori
第九章 楽しい日々が帰ってきたと思ったのに……

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106.ヒロインなんですが、お泊りイベントは楽しめなさそうです


 食事が始まり、最初は堅かった雰囲気の父と母も陛下がユーモアを交えた会話をしたり、ローズ様がよく笑いながら話をしているもので、雰囲気もかなり良くなった。

 そのうちに、フェスタンではどのように農業を行っているか。食糧の備蓄や保存方法、備蓄している食材等多岐にわたり会話が進んでいった。


 私とヴィオレにも、フェスタンでのリズ事件の話やリズの美味しさ等の話が振られ、セージやローランが話しやすいように割って入ってくれたりと、終始和やかに話が進んでいった。


 でも……なんかお泊りイベントっていうかアレだな。思ったよりただの外交だな……。

 

 期待していた展開と違うまま進んでいく晩餐会。

 その和やかな雰囲気のまま、ついに食事も終わった。


 母がお腹を摩りながら、にこやかに陛下たちにお礼を言う。


「とても美味しいお料理でした、このような素敵な席を設けてくださってありがとうございます」

「お口に合ったようで良かったですわ。ここには夜でも美しい庭園がございますの。お腹も落ち着きますし、良ければいかがでしょうか」

「まぁ、それは是非伺ってみたいですわ」

「では、僕達が案内しましょう」


 嬉しそうに顔を輝かせる母に、ローランがそうにこやかに微笑んで立ち上がった。

 セージも同様に立ち上がり、セージは父の椅子を引き、ローランは母の椅子を引く。


 そして、ローランは母に手を差し出した。

 急にイケメンにエスコートされる母は頬を赤らめて、まぁまぁと口に手を当てながらも恐る恐るその手を取った。


 そして、ローランの後に続いて私たちも続いていく。

 陛下や衛兵たちと離れて、私たちだけとなった空間でそっとローランが母に話した。


「急に王との食事では、少し肩が凝ったでしょう。でも、ご夫妻はソレイユにとって大切なお客様です。どうか肩の力を抜いてお過ごしいただければと思います」

「まぁ、そんな。お気遣いいただいてありがとうございます」


 母は後ろ姿でもわかるほど、照れた様子で嬉しそうに話している。

 相変わらず顔の良い人が好きなんだから、とヴィオレとこっそり顔を見合わせて苦笑した。


 王城をしばらく歩いていると、外と隣接した列柱廊が現れた。夜にしては少し明るい場所が見えてくる。

 そして外へと出るとそこには、バラ園に小さな光が数多に輝く庭園が現れた。

 まるで地上に現れた星空だ。その中に、美しい花々が輝いている様子に、目を奪われて私達は足を止める。


「まぁ、なんて綺麗なの。こんなの初めて見たわ、ねぇお父さん」

「あぁ、こりゃたまげた……」


 ローランとセージがそっと離れて、父と母をさりげなく並ばせる。

 ローランが私の隣に立った為、この庭園について伺ってみた。


「殿下、これってもしかして星輝石ですか?」

「うん、綺麗だろ? ここはいつでも光り輝いているんだよ、星輝祭の時みたいに」


 そう言って微笑むローラン。

 視界いっぱいにローランとこの美しい庭園が映り、あの星輝祭のことを思い出して顔が熱くなる。


 あの奇跡みたいに美しい時から強制的に時間が空いて、エリオントが大暴れした事で頭から吹き飛んでいた。

 私がまた口を開こうとした時に肩にあたたかなものがかけられる。振り向くと、すぐ後ろにセージが居た。


「冷えるだろう」


 セージが着ていた上着をそっと羽織らせてくれたようだ。シャツ一枚となったセージの姿は冬の夜空の下ではあまりに寒そうだ。


「あ、まだ寒くないよ。大丈夫、セージが寒くなっちゃうよ」

「私は暑がりだから大丈夫だ、着ておけ」

「そう……? じゃあ、ありがたくお借りするね、ありがとう」


 私がそう言いながら貸してもらった上着に手を通すと、ローランが何故か小さく吹き出して笑っているのが視界の端に見える。

 なんでこんなに笑っているんだろうか、と思っているとヴィオレが自分の上着を脱いで母と父の元に小走りで駆け寄った。


「かぁ……あ、いや俺火属性で暑がりだから、これ貸してやるよ」


 母ちゃんと呼ぼうとしたのをぐっと飲み込み、そう言って上着を差し出すと母は嬉しそうに受け取った。


 そのまま私達が少しの間庭園を歩いていたところで、遠くから何やらごちゃごちゃとした声が聞こえてくる。

 何の騒ぎだろう、と母と父とヴィオレ以外が少し戻って列柱廊の方を見に行くと、聞き慣れた声が聞こえた。


「アイリス〜〜〜!!!」


 声は確実にこちらへ向かってきている。

 この声を聞いた私とヴィオレは顔を青ざめさせた。

読んで頂きましてありがとうございました。

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