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ヒロインなんですが誰も攻略してくれません!~誰か攻略してください~  作者: minori
第九章 楽しい日々が帰ってきたと思ったのに……

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101.ヒロインなんですが、またハプニングが続きそうです


 今日はいよいよ登校日。

 あのエリオント襲来事件から2週間ほど経った頃だった。


 瓦礫も撤去され、安全が確保された状態での再開となるそうで、壊された建物自体はまだ建て直しをしている最中とのこと。

 とんでもない速さで建て直しが進んでいると冬期休暇延長中にコルザとやり取りした手紙の中に書いてあったのだけど、朝に通りがかったら確かに手際も良い上に動くのが早くて凄まじい。


 どうやら豪邸にプールの建設を1ヶ月で完了させた凄腕の大工達、との話だったけど……それって、もしかして……。

 私がそんなことを考えながら、大工達の仕事ぶりを見ながら生徒会室に向かって歩いていると、私の姿を見つけた大工の1人がパァッと顔を明るくした。


「あぁ! フルール公爵邸のお嬢さん! その節はどうもありがとうございました」


 やっぱりうちにプールを作ってくださった大工さんだった。

 お父様の無理難題で苦労をかけてしまって申し訳ない、私は大工達にかけ寄り、思いきり頭を下げた。


「その節はありがとうございました、そして父の無理な発注にご対応頂いてすみません!」


 頭を下げる私を見て、大工達はきょとんとした顔で顔を見合わせて大笑いする。

 なんでこんなに笑ってるんだろう、と頭を上げると大工達は冬の朝陽に照らされてキラキラと額と頭を輝かせながらニッと笑った。


「フルール公爵様のプール建設を受注してから、早さと正確さが評判になってむしろ助かってるんですよ。こんな早くにちゃんとしたもん建てられる大工なんて早々いねぇから」

「やればできるってんだな!」

「おかげであれからよく儲かって」


 大工達はそう口々に言いながら嬉しそうに笑っている。

 良かった、災い転じて福となしたパターンだった。

 

 大工達のそんな朗らかで明るく、豪快な姿に朝の思い出せない変な夢の事も吹っ飛んでいくような明るい気持ちになる。

 大工達の明るい様子に笑っていると、棟梁らしき人が声を上げた。


「おっと、早さが売りの俺たちが油を売ってちゃダメだな。アイリス様、フルール公爵様にもよろしくお伝えください。学園もこんなもんパッパパッパ建てちまいますからね! 楽しみに待っていてください」

「あ、ありがとうございます。よろしくお願いします」


 大工達はにこやかな笑顔で小さく頭を下げて、走ってまた現場で大きく声をかけ合いながら持ち場に戻る。

 私も頭を下げて、私も油売ってちゃダメだったと小走りで生徒会室に向かった。



***



 生徒会室に行くと、もう既に皆集まって会議用の長テーブルに座って話をしていた。


「おはよう。ごめんなさい、待たせちゃって」

「おはようアイリス、いや時間通りだよ」


 私が慌ててテーブルに行くと、ローランがそうにこやかに笑う。

 クロトンが立ち、自分の隣にある空いた椅子を引いて私が座るように促してくれた。

 ありがとう、とお礼を言ってその椅子に座る。

 クロトンはにこやかに笑い、私が椅子に座ると、自分もすぐに隣の席に着いた。


 ローランが席に着くなり、いつもの穏やかで優しい口調で問いかける。


「アイリス、あれから体調はどうだい?」

「ご心配おかけしてすみません、この通りとっても元気です」

「無理はするなよ、何かあったらすぐに言え」


 両拳をぐっと握って元気な事を表現すると、ぶっきらぼうな口調でセージがそう言う。

 私がお礼を言うと、ふんっと鼻を鳴らしてまた沈黙した。いつも通り眉間に深い皺を寄せながら言っているけど、優しさで言ってくれる事は分かっている。


 いつもの生徒会だな、と久々の生徒会の雰囲気に安心してくすくす笑っていると、なんだか自分以外の皆の空気が悪い事に気がつく。

 なんだか困っているような、そんな顔だ。


「あの、新学期早々どうしたんですか?」


 私がそう言うと、ローランとヴィオレとセージは難しい顔をして顔を見合わせた。

 横にいるクロトンをチラリと見ると、こちらも眉を下げながら困ったように笑うばかりだ。


 首を傾げながら、再びローラン達を見ると、一番最初にヴィオレが口を開いた。


「いや、これは生徒会でもどうしようもないんだけどな……」


 ヴィオレが困ったようにそう言う。

 新学期早々ドラゴンに校舎の一つを半壊させられても勇ましく立ち向かっていた面々を困らせる案件とは一体なんだろう。


 ローランが険しい顔のまま、静かに口を開いた。


「実はね……」


 いつになく険しい顔のローランを見て、ゴクリと唾を飲み込んだ。

読んで頂きましてありがとうございました。

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