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ヒロインなんですが誰も攻略してくれません!~誰か攻略してください~  作者: minori
第九章 楽しい日々が帰ってきたと思ったのに……

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98.ヒロインなんですが、また眠ってしまいました


 ロベリアンに消せと言われて試みるも、出したつもりもないものを解除できるはずもなく、少しの試行錯誤を経て焦りながらロベリアンに魔法の解除方法について尋ねた。


「ちょっと! どうやったらアレしまえるんですか!」

「そんなもん普通に解除すりゃ良いだろうが!」

「だから、その普通がわからないから教えて下さいって言ってるんです! ロベリアン様いつもそうなんだから!」

「だから、こう……ぷしゅ〜って感じだよ」

「その擬音語で教えるのもうやめてくださいよ! 天才の感覚は分かりません!」


 そうこうバタバタとしていても、魔法が消える事はない。

 皆から色々助言をもらうも魔法は消えなかった。

 だから出したものはちゃんとしまいなさい、って母ちゃんによく言われるんだろ! とヴィオレも混乱して意味がわからない事を言い出してしまった頃に、どっと疲れが襲ってきてしまう。頭がクラクラとし、足元が覚束なくなる。

 私の様子が変わった事に気が付いたローランが、さっと支えてくれた。


「あ、なんかクラクラしてきた……」

「アイリス….…ロベリアン様、何か方法はないんですか」


 私を支えながらローランがロベリアンにそう聞く。


「仕方ねぇな。あんまり勉強にもならねぇから本当はやりたくねぇんだが」


 ロベリアンが私に向かって指を向ける。

 その内、急な眠気に襲われた。


「強制的に終わらせる、お前はそのまま寝てろ」


 そう言われた後、すぐさま私の意識は無くなった。


***


 ゆっくりと瞼を開けると、そこにはとんでもない金髪のイケメンがいました。


「て、え!? 殿下!?」

「良かった、アイリス。ようやく目を覚ましたんだね」


 心配そうな顔をした殿下が私が目を開けた瞬間にほっと安堵の顔を見せた。

 目を覚ましたのは学園の保健室だった。保健医の先生もおらず、室内にいたのは生徒会メンバーだけだったけど。

 白いベッドから上体をゆっくりと起こす。

 目の前がぐわんと歪み、くらくらと視点が定まらない感覚が一瞬あったが、それも少しして消えた。

 また随分と眠ってしまっていたのだろうか。


 ローランの様子から、前に畑に魔法を使ったときのように寝入ってしまったのだろうか、とおずおずと尋ねる。


「……私どのくらい眠ってしまっていたんですか?」

「ちょうど1時間くらいかな?」

「ちょうど良い!」


 思いの外ちょうど良い睡眠時間に、思わず声を上げた。


「でも、大変だったんだぞ。その1時間も。ローランがクロトンを使って大司教様を呼ばせて」


 セージがため息をつきながらそう言う。


「大教会まで飛ぶのは良いんだけど、大司教様との相乗りの馬車はなかなか緊張したよ」


 疲労感たっぷりの顔でクロトンが弱々しく笑った。

 申し訳なくて、あははと苦笑しながらごめんねと小さく謝罪をする。


「あれ、でもなんでティアーユ様を」

「ちょっと心配だったし、使った魔法の事もあるからね。アイリスの様子を見て貰おうと思って」


 そうか、ティアーユ様に祝福をしてもらう必要が出るかと思ったのかローランは。

 ティアーユ様の祝福は私が小さい頃に魔法を使い過ぎて倒れた際に授けてくださって、なんとかなったという話を聞いた事があった。


 たしかに光の壁なんていう魔法を使った上で倒れたら、必要だなんて思うかも。


 私がローランの言葉にそんな事を考えていると、ため息をつきながらセージがローランを嗜めた。


「少し大袈裟だぞ、ローラン」

「でも何かが起こる前に手立てを考えた方が良いだろう」


 ローランがそう言うと、セージはまたため息をついて黙り込んだ。

 ローランの取った手段が行き過ぎている、とも言えないから黙り込んでしまったのだろう。でも、1時間程度で起き上がる事が出来てよかった。


 少しぼんやりとしていると、ヴィオレがベッドに座って少し心配そうな顔で私を見つめる。


「なぁ、おい。本当に大丈夫か? だるいとか、しんどいとか……」


 前世で私が風邪で寝込んだ時と同じ顔だ。

 そんな弟の不器用な優しさが滲む表情に、思わず顔が綻んだ。


「うん、大丈夫。心配かけてごめんね。それにしても、せっかくティアーユ様に来て頂いたのに当の本人の私がこんなんでなんか申し訳ないな。もうお帰りになられました?」

「ここにいるよ」


 天蓋で見えなくなっている奥から声が聞こえた。

 上体を起こした状態から少し前のめりになってみると、奥のソファでロベリアン様とジュースを飲んでいるティアーユ様が見えた。

 片手でジュースを飲みながら、にこにことこちらに手を振ってくださっている。


 ジュースをテーブルに置いて、ぴょんっとソファから飛び降りる。

 子どもにしか見えない姿なのに、とても穏やかな老年のオーラを出していた。相変わらず慣れない。不思議な圧倒感に私はぼんやりとティアーユ様を見つめた。


読んで頂きましてありがとうございました。

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