表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインなんですが誰も攻略してくれません!~誰か攻略してください~  作者: minori
第九章 楽しい日々が帰ってきたと思ったのに……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
102/121

97.ヒロインなんですが、出したものはしまえません


 クロトン達の元へ行くと、ようやく無事に過ごせることが分かった二人は盛大に愛を分かち合っているようで、背景には赤いハートがたくさん見えるようだった。

 そんな二人の様子にヴィオレと顔を見合わせて苦笑する。


 私たちの様子に気が付いたクロトンとエリオントが私を見た。

 私は手を小さく振りながら二人に近づく。

 

「エリオントはどう? 元気? 大丈夫そう?」

「うん。人間はこんなにもボロボロなのにね、すごい元気だよ」


 クロトンが苦笑しながらエリオントを撫でつつ、そう答える。

 エリオントは嬉しそうにクロトンに顔を擦り付けている。


 ちょうど事態が落ち着いたのかローランとセージもこちらへやってきた。


「お疲れ様。こちらもひと段落ついたよ。それにしても、なんでエリオントは逃げ出してきちゃったんだろうね。飼育場所のお引越しも今回が初めてって訳じゃないらしいし、いつもは良い子らしい。だからこそ、多少油断もあったらしいんだけど……」


 ローランが落ち着いた様子を見せているエリオントを見ながらそう言うと、エリオントは目を伏せ、クロトンの腕の当たりを鼻で小突いた。

 クロトンは、あぁと察しがついたようだ。


「あぁ、怪我を心配してきたのか……馬鹿だなぁ、大丈夫だって言ったのに。それに、ほら。お前を守ってくれたアイリスが僕の傷も治してくれたんだよ」


 クロトンがそう言ってエリオントの前に腕を見せた。

 エリオントはまじまじとクロトンの腕を見ると、次に私の方へを顔を向けた。そして、のそのそと大きな体を動かしながら私の目の前まで来る。

 近くに居たローランが私に近付き、肩を抱きながら少し前に立ちはだかった。


 しかし、エリオントは目を瞑り、ぐっと私に向かって頭を下げるだけだ。

 予想外の反応に驚いていると、私の頬をペロペロと舐めてきて、思わず悲鳴を上げてしまった。


「あはは、エリオントがアイリスに懐いたみたいだ!頭を下げたのは服従のポーズで、舐めたのは親愛の印なんだって。僕以外にやってるのは初めて見たな」


 クロトンが高らかに笑いながら、エリオントのお腹あたりを撫でながら説明する。

 どうやら、私にようやく懐いてくれたみたいだ。


 私の髪をチリチリにしたあの生意気なドラゴンとは思えない。私は恐る恐る頭を撫でてみた。

 キュウと甘えるような小さい声を上げている。


「……なんか、懐かれると可愛いね」

「だろ?」


 私がそう言うと、クロトンが誇らしげに胸を張る。立派な親バカなようだ。


 しかし……これは、とてもヒロインらしいんじゃない?

 ドラゴンに懐かれるヒロイン、まさに私が思い描いていたあの姿。

 ものすごく大変だったけど、これは必要なイベントだったのかもしれない……いや、ゲームで起こってないかつ大変なイベントなんてもうごりごりなんだけど。

 しかし、私が通常のヒロインアイリスらしくないからと言って、ここまで話の流れって変わっちゃうものなのかな。


 そんな事を考えていた時、上空から「おぉ、すげぇ!」と声が聞こえた。

 なんだ? と皆で顔を上げると、ロベリアンが上空で学園を見下ろしながらそう感嘆の声を上げているようだった。

 私達を見つけるなり、ロベリアンはさっと降りてきて私の隣に立つ。


「ロベリアン様、どうしてここに?」

「学園から事情聞いて様子を見に来たんだよ。本当にすげぇ事になってるな」

「来るのが遅いですよ、ロベリアン様がいたらもっと早くに安全に肩がついただろうに」

「今日は学園にいく予定じゃなかったんだよ、仕方ないだろ。それより、あれ!」


 ロベリアンが未だに残っている光の壁を嬉しそうに指差した。


「光の壁だろ、お前あんな魔法出せたんだな。いやー、文献でしか見た事なかった。お前もようやく光魔法を使いこなせるようになってきたか。良い指導者のおかげだな、感謝しろ」


 ロベリアンは、腕を組みながら満足そうな顔で何度も頷きながらそんな事を言っている。


「そんな魔法……あったっけ」


 小さく呟く。

 光魔法は回復以外にも光を矢に見立てた攻撃もあったが、光の壁なんてそんな技はプレイして出てきた事がなかった。

 ストーリー重視でアクションはそこまでやりこんだ訳じゃなかったから、もしかしたらあったのかもしれないけど。


「ところでお前、いつまでアレ出してんだ?」

「え? ……あぁ、アレどうやってしまうんですかね」

「は? 出したくせに魔法の解除の仕方も分からず、そのまま出しっぱなしにしてたっていうのか? ばーか! 魔力切れ起こすぞ! さっさと消せ!」


 ロベリアンが今まで見たことのないような焦った口調で私を怒鳴りつける。

 そんな大変な事態だなんて思いもしなかった私は、ピシっと体を硬直させた。

 チラリと見た光の壁は、未だに神々しい光を放ちながら分厚く、そびえ立っている。


読んで頂きましてありがとうございました。

良ければリアクションやブクマ、評価、感想をいただけるととっても嬉しいです!励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ