異世界へ
「それでは早速」
いつの間にやら着席しているナオは、右手でフォークを握り、お肉に向けている。
「ならば俺も…」
ナオの隣に座り、フォークを持ち、お肉にぶっ刺し、口に運ぼうとしていると、カイが渋い顔をして俺を見ていた。
「お二人共テーブルマナーがひどい」
絵に描いたような落胆具合である。
ぐるるるるるる。
俺の腹が悲鳴をあげる。
「マナーは後々しっかり学んでもらいます。今日は許しますから、お好きにお食べください」
「じゃあ遠慮なく…」
謎の肉、見たこともない魚、なんだか分からない料理の品々をひたすらに食べた。
どれを食べても美味しかった。
貧乏舌に定評のある俺でも違いが分かるほどに。
「はぁ…食った食った」
空腹の反動からお腹いっぱい食べてしまった。
食べるのに夢中だったので気づかなかったが、ナオは俺の10倍食べていてちょっと引いた。
「満足頂けましたか?」
「めちゃくちゃ美味かった」
「それは良かったです。今日はもうお疲れだと思いますので、お風呂入ってお休みください」
お風呂か…スーパー銭湯の大浴場くらいあるのかな…。
ん?お風呂?
ふと冷静になる。
そうだ、俺いま女じゃん。
お風呂?結構難易度高くね?
「ナギサ、お風呂行こう」
「まじか」
「入らないのか?」
「いや入るけど…一緒か…」
「私とは嫌か…?」
「え、いやそういうわけじゃないんだが、なんかこう申しわけないというか…その」
「嫌じゃないなら行こう!」
ナオが俺の手を握り、わくわくに満ち溢れた目で見つめてくる。
「わ、わかった…」




