異世界へ
「そんなに悲しそうな声出さなくても」
「いつでも見られるんですから」
そう言われればそうか…。
というか今更ながらこんな幼い女の子の前で何やってんだろうな俺。
「ドレスはおまかせでいいです?」
「そうだな、任せるわ」
「どれでも似合うと思うのですがー」
マツリは少しだけ悩み、一着のドレスを持ってきた。
「これしましょー!」
それはほのかなピンクを基調とした、いかにもな姫様ドレスであった。
早速着替えに取り掛かるヒナとマツリ。
俺は姿見の前で突っ立っているだけ。
「おいおい確かに可愛いが、こんなの俺が着たって…」
「「できましたー!」」
「可愛いなぁおい!」
そりゃそうだよ素材がいいもの。
これは何を着ても可愛いパターンのやつだ。
「すんげぇ力だな全く。こっちだとこのレベルの魔法は普通なのか…」
「性別変換は超上級魔法ですよ!」
「習得しているのは私達くらいです!」
「へ?」
「あ!信じてませんねー!」
「見てください!ここ!」
マツリが広辞苑並に分厚い魔導書を開き、指を指す。
示された箇所にはこう書かれていた。
【性別変換】変化系の最上級に位置する魔法の一つ。習得には極めて高い魔力と素質が必要。
「まじか」
「私達これでも結構すごいんです!」
「変化系の魔法なら最強です!」
キリッとした顔つきで真剣に言い放つ2人。
どうやらこの幼女たち、本当に凄いらしい。
「分かってくれたらいいです!」
「さあそろそろ行きますよ!」
ヒナとマツリに不意に両手を引かれる。
思わず踏み出した1歩は思い切りドレスの裾。
「うわあああ!」
盛大に滑り、前のめりにビタンと倒れる。
「ごごごごごごごめんなさいいい!」
「だだだだだだ大丈夫ですかあああ!」
「この姿に慣れるのには時間かかりそうだ…」




