異世界へ
「ナギサ姫ありがとうございました!それではこちらへ」
「どこ行くんだ?」
「まずは着替えてもらいます。そのお召し物では姫らしくないですからね」
それは確かにそうだ。
なんせ俺が着ているのは上下グレーのスウェット。
サイズが合わなくなってしまったから、捲ってその場を凌いでいる。
男の時からそんなに大きい方ではなかったとはいえ、流石に女の子にはぶかぶかだ。
「分かった」
「では私も一緒に」
ナオが当然のようについてこようとしている。
「いえ、貴方様はこちらへ」
「え、ちょっと!」
すぐさま従者達に囲まれ、別の部屋に連れて行かれた。
その様子を見届け、俺はカイの後ろをついていく。
「こちらの部屋です」
カイはそう言うと、部屋に入ろうとせず立ち止まる。
「ここからはこの子らに任せておりますので」
この言葉を合図にカイの後ろから顔を出す2人の少女。
「私達に任せてね!」
「大船に乗ったつもりで!」
とても自信満々なのが逆に怖い。
「そういえばお前ら名前何て言うんだ?」
すっかり聞くタイミングを逃していた。
「私はヒナ!」
目の下にほくろがある方が言った。
「私はマツリ!」
口の下にほくろがある方が言った。
「なんて覚えやすい…」
この世界にひな祭りなんてなかろう…偶然の産物か…。
「それでは任せたぞ、ヒナ、マツリ」
カイはそう言って立ち去った。
「じゃあじゃあ早速!」
「着替えましょう!」
ヒナがドアを開け、マツリが後ろから俺を押して部屋に入れる。
そこにあったのは、予想を遥かに超えた量のドレスの数々。
「これを俺が…」




