第十二章 「あなたのことをはなしたい」
目覚めたばかりのぼんやりとした意識のまま、あたりを見回す。
ここは、アヴニール教会の霊園。あの女神像の足元だ。
――こうなると思っていた。
「お姉ちゃん」
幼い声音の抗えない響き。そちらに振り向く。リアがいた。
はじめて姉と呼んでくれた、あの日と同じ姿で、伏し目がちにこちらを見ている。
――あの日と違うのは、わたしだけ……
十七歳のルーティは、立ち上がって、リアと向き合う。
「お姉ちゃん!」リアの目から涙がこぼれる。「本当にさよならしちゃうの?」
「うん……」
「いやだよ……なんで、さよならしなきゃいけないの? ずっといっしょに居ようよ」幼い手が上着の裾を握りしめる。「はなれたくないよ」
「わたしも……」涙で視界がゆらぐ。ふるえる喉でつづけた。「ずっと、いっしょに居たい。でも、はなれないといけないって思うんだ。こんなに辛いままじゃ、リアのことを大切にできないし、キャメロットや那由多のみんなも大切にできない」
「どうして? あの三人が言ったから? あの人たちは、あたしとお姉ちゃんのつながりを断ったんだよ? お姉ちゃんは、それが許せなくて、空港であの人たちを襲ったんでしょ? どうしてそんな人たちの言うことを聞くの!?」
「そう、だね……」
「あたしとお姉ちゃんは、二人だけの特別な家族でしょ? どれだけ特別なのか、キャメロットや那由多のみんなにわかるわけないよ! だから、お姉ちゃんをそそのかすんだよ!」
ルーティは、リアを優しくさとすように、自分を納得させるように、告げた。
「キャメロットや那由多のみんなは、わからないんじゃなくて、一生懸命わかろうとしてくれる人たちだって信じてる。だから、わたしはリアのことを話したいの。わたしを支えてくれた特別で大切な家族のことを。それに――」
そう言って、手を胸にあてる。心の底を覗き込み、沈んでいる想いに向けて手を伸ばす。
「はなれたいって思うのは……ちゃんと、わたしの言葉だよ」
リアの頬が涙で濡れそぼつ。
「あたしたち以外に誰もわからない。だから、いっしょに大切にしないといけないんだよ!」
「はなれても、大切にできる」
「お姉ちゃんとあたしは家族なのに……? はなれたら、あたしもお姉ちゃんもまた独りになっちゃうんだよ。そんなのいやでしょ? はなれるなんて絶対ダメだよ!」
「そう、だね……独りだ……」
ルーティの頬にも涙が伝う。
リアは両手で目元を拭うが、どれだけぬぐっても、涙がとめどなく流れてくる。
「やだよぉ……どうして、なんでぇ……お姉ちゃん、あたしのことをはなさないで。放さないで! 話さないで……」
リアのお願いにゆっくりと首を振って、彼女としっかり向き合う。
「わたしは、あなたのことをはなしたい。話して、放したい」
そう告げた瞬間。幼い少女の慟哭が、ルーティの聖杯の中を嵐のようにかき乱した。
荒れ狂う感情の中で、ルーティは、じっと夜が明けるのを待つ。
長い夜だった。
次の日の早朝。ルーティたち四人は、旅館と門前町の間にある、あのコスモス畑に向かっていた。東の空が白みはじめたくらいでまだ薄暗い。
となりを歩く伊奈がルーティの顔を覗きこむ。
「昨日はよく眠れましたか?」
「……うん、眠れた。伊奈は?」
「はい! こんなに早起きはひさしぶりですけど、気持ちいいですね!」
はっ、と伊奈が何かに気づいた。
「そういえば、コスモス畑の管理人さんは、こんなに朝早く大丈夫なんでしょうか!?」
前を歩く環が後ろに振り向いて言った。
「あのあと、ジュリアさんに連絡取ったんよ。ライブできる場所が、この近くにないかって。そしたら『なんとかしよう』言われて……ほんで、朝起きたら端末に指示が入ってて、びっくりしたわ。いろいろ無理、通してくれはったんやな。全部終わったら、お礼言わなあかんな」
「そうですね」ルーティが応える。
今度は、環の前を歩く甲斐から声が掛かった。
「見えてきた」
薄闇の中、少し先の野原で、コスモスの花がおぼろげに浮かんでいる。
胸に手を当て、ルーティは覚悟を決める。
――彼女に、ちゃんと伝えよう。
東の空から朝日が昇る。
赤、白、ピンク、オレンジ。彩とりどりの花を鮮やかに照らす。
ルーティたち四人は、花畑に囲まれた広場、その中央に立っていた。
「ほな、どないしよか?」
環が三人に向かって切り出す。周囲をぐるりと見まわした甲斐と伊奈が添えた。
「周囲に人影も住居もありません」
「なんでもお手伝いします!」
「ありがとう。甲斐、伊奈」ルーティは三人と向き合う。「これから、わたしの聖杯の中にいるものを確かめます」
「方法は? うちの朧雲なら、あんたの聖杯を診ることはできるけど……」
「試したいことがあるんです」
ルーティは右手を胸に当てる。陽の光に負けないくらいの青い光が胸からあふれる。右腕を横に払い、輝化を宣言した。
「輝け」
蒼の輝きが、騎士甲冑に凝縮される。右手に杖。左の腰当に六本の杭。サーコートがルーティの体を包み込んだ。
左の腰当に杖をマウントして、ルーティが「試み」を説明する。
「空港のライブで、わたしはいつもと違う方法でスキルを発動しました。その結果、頭から六本の糸が現れて」ルーティが左の腰当に触れる。「この六本の杭につながりました」
「そのあと、杭がひとりでに動いて、ルーティさんを糸でぐるぐる巻きにして……」
伊奈の言葉にうなずいて、ルーティがつづける。
「『蜘蛛』となって……我を忘れて、三人を襲ってしまいました」
「あれは、手ごわかったわぁ。せやけど……それがどうしたん?」
目をつむって、「蜘蛛」となったときの感覚を思い出しながら、環の問いに答える。
「あのとき、三人がどこにいて、何をしようとしているか。五感だけでなく、アドミレーションの励起、集束、発散、流れさえも、手に取るようにはっきりわかっていたんです」
「あのとき、青い糸で体を拘束されて、顔もほとんど糸で覆われていた。それなのに?」
今度は、甲斐の疑問と向き合う。
「わたしの感覚の代わりを担っていたのが、その青い糸とこの杭だったの。六本の杭と糸が、六つのプローブとなって、周辺の情報を収集し、聖杯へ送っていた」
胸の前で右手をにぎる。ルーティは決意を込めて宣言した。
「これから、その力をわたし自身に作用させます。わたしの体や聖杯にイドラが潜んでいたとして……このコンクエストスキルなら捕捉できるかもしれない」
那由多の三人がゆっくりとうなずく。ルーティがつづける。
「今から空港のときと同じようにスキルを発動します。もし、また暴走したら――」
「そんなことにならないって信じてる」
甲斐の頼もしい言葉に、「私もです!」と伊奈がつづく。
「うちが朧雲でサポートするよ。念のための人払いもして、あんたの身体と聖杯を診ておく。なんか異変あったら、すぐ対処できるようにしとくさかい」
「ありがとうございます。環さん」
那由多の三人も輝化を宣言した。三者三様の輝化防具をまとう。
環の身体から白い霧が噴き出し、あっという間にこの広場を覆いつくした。
大きく深呼吸して、告げる。
「発動します」
ルーティは瞳を閉じて、聖杯を意識する。
――わたしのコンクエストスキル……
通常は、脳内に無数の微細な聖杯連結を張り巡らせて、ニューロンの働きを強化、仲介、補助し、情報処理を加速させる「コンセントレイト」だ。
そして、この特殊な発動は、六つのプローブを具現化して、自身の五感やアドミレーションの感応力を増大させる。
――プローブ、探針、探索……いや、観察?
物事の真の姿を間違いなく理解しようとよく見る。
――わたしの新たな力は「オブザーブ」だ。
頭部にアドミレーションが集束したと感じたとき、視界の端に透きとおった青い糸が映った。見えずとも、両側の側頭部から二本ずつ、後頭部から二本、合計六本の青い糸が身長よりも長く伸びていることを感覚している。
前回とは違い、痛みは一切なく、静かに発動が完了した。六本の糸は地に垂れることなく、静かに浮かんでいる。
――暴れない……?
ルーティは、左の腰当にある六本の杭を順に起動する。いつもと同じように、杭は青い粒子を噴き出しながら宙を浮き、自律機動をはじめる。そして、伝えた意思どおり、六本の杭それぞれが青い糸とつながった。
向き合う那由多の三人に、緊張が走る。
少し離れているのに、彼女たちの感情の変化がすぐに読み取れた。表情。身体の動作。アドミレーションの励起。それらの情報から、彼女たちが緊張していると判断できる。
自分の意思を放つように、広げた右手を突き出す。
杭が青い糸を伸ばしながら、周囲六方向へ円状に展開し、杭先をルーティに向ける。
(大丈夫です。安定しています)
三人に向けて聖杯連結で伝える。彼女たちの不安が少し落ち着いたことを感覚した。
「はじめます」ルーティは観察を開始した。
杭先にアドミレーションを集束する。そこから穏やかで淡い青色のレーザーを放った。六本のまっすぐな光が、ルーティを刺し貫く。しかし、この光に殺傷力はない。
六本の杭が、ルーティを中心にした半球上を行き交う。レーザー光が、何度も複雑に交差を繰り返しながら、体をくまなく走査する。
やがて、一本の杭が宙に浮いたまま動きを止めた。
――捕らえた。
残り五本の杭も走査の範囲を狭める。六本のレーザーが一点で交わった。右胸だ。ルーティの探し求める「何か」を、その光で捕らえた。
六本の杭は、何かを拘束したまま水平に移動する。そして、ルーティの目の前二メートルほどのところで静止した。那由多の三人の目の前でもある。
レーザー光が途切れ、六本の杭がルーティのもとに戻ってくる。杭先は、警戒するようにさっきまで捕えていたものの方を向いていた。
何も見えなかったその空間に、黒い点が現れ、瞬く間に膨張する。
那由多の三人の驚きが伝わってくる。
黒い塊とルーティの左胸が細い糸でつながっていた。よく見ると、ルーティ側の十数センチほどは青いが、それより先の糸は黒く変色している。じわじわと、黒く染まっているようだ。
黒い塊が人の形に変わる。造形され、彩色され、出来上がったのは――
「お姉ちゃん!」
幼いままの姿と声で、思い出が現実にあらわれた。
「いやだよっ、ひとりになりたくない! あたしをはなさないで! おねがい!」
悲痛な声で彼女が必死に訴える。
「あなたは――」
ルーティは、六本のプローブをリアに差し向けた。
「お姉ちゃん! こんなことしなくてもわかるでしょ? あたしはリアだよ!!」
青いレーザー光が、目の前にいる彼女の身体を隅々まで走査する。
――ああ、そうか……
彼女の中に疑似聖杯があった。
妖精型イドラ「フーア」。
聖杯に侵入し、寄生するイドラだ。侵入先の知覚情報を主に届け、主の命に従って、侵入先の聖杯に対して思考の誘導や行動の強制を行い、意のままに操ることができる。
普段であれば、侵入されても重症化する前に察知できただろう。しかし、大切な人を亡くすという人生最大のストレスと向き合っている状態では難しいはずだ。
――リアは、もういないんだ……
固く握りしめていたものが、なくなった。ルーティの頬に、涙がひとすじこぼれる。
「――イドラだ」
左胸につながる糸が、さらに黒く染まる。青い部分は残り数センチ。
ルーティは、左の腰当にマウントしていた杖の上半分を、まるで刀を抜くように引き抜いた。
折れた先から氷の刃を現わす。それを糸に当てた。
「お姉ちゃん! やめて!!」
イドラが必死に懇願をつづける。しかし、
「その顔で、その声で……もうしゃべらないで」
ぷつん。氷刀から感じた手ごたえは、あまりにもあっけなかった。
つながりが断たれた瞬間、イドラが喚くのをやめる。代わりに、早送り再生のような奇妙で甲高い声が、少女の形をした黒い塊から発せられた。
「カワイソウナ、リア。アタシガ、カワリニ、ルーティヲ、ソチラニオクッテアゲル!」
黒い塊が姿を変える。少女の形がいびつに盛り上がる。ぼこぼこと音を立てて四肢が膨張する。膨らみきった身体を揺すると、その表面に黒糸縅しの甲冑が現れた。鬼の角を象った前立てに、武悪の能面。その姿は、甲斐の聖杯で観た、鎧武者のイドラとそっくりだった。
「グフフゥッ!」
イドラは長大な刀を掲げて、ルーティに切りかかる。
しかし、真っ白な雲の左手が現れて、刀をはじき返した。それと同時にルーティの前に飛び込む影。伊奈だ。
刀を抜き、すれ違いざまにイドラの胴を斬る。
「グゥッ!!」鎧武者が膝をつく。
伊奈が、ひゅうん、と冷たく鋭利な音をさせて、刀をかまえる。
「その姿になったからには」普段の伊奈とは異なる、感情の乏しい声。「容赦しません」
伊奈は、先ほどの斬撃で刀が吸収したイドラ・アドミレーションを拭い、短刀にする。そして、黒く禍々しいそれをお腹に突き刺した。
彼女の全身から黒い輝きがあふれ、ちらりと覗く左目からは怪しい妖気が立ち昇る。
鎧武者のイドラから恐怖のような感情が伝わってきた。
あれは、姿を真似た偽物なのだろう。甲斐の記憶で間近にした威圧感には遠く及ばない。
「アアァ……コワイ、コワイヨ! タスケテ、タスケテ」
フーアが、不快に響く声を上げて後ずさろうとする。しかし、
「ニゲラレナイ……? ソウカ! ハラキリ!」
伊奈の刮目で、彼女から目をそらせなくなったイドラは、逃げることが叶わず、子どもが駄々をこねるように巨大な刀を振りまわす。
「黙れ」
横合いからの声。同じ方向から甲斐の矢が、イドラの四肢に一本ずつ的中した。その矢から臙脂色の何かが染み出し、漆黒の鎧に浸透する。途端にイドラの動きが鈍くなった。
「ウ、アァ……」刀を取りおとしたイドラは宙を掻き、たえだえに叫ぶ。「ヴィヴィアン、サマ、コチラデス! タスケテクダ――」
「覚悟しぃ」環が躍り出る。
身動きできないイドラに向けて、逆袈裟懸けで薙刀を振り下ろす。環が付けた傷跡に疑似聖杯が浮かんできた。
刀を鞘に納めて、伊奈が間合いを詰める。鯉口を切り、柄に右手をそっと乗せた刹那、
蒼い閃きが視界を焼いた。
「タ、タスケ……」
イドラのうめき声を余所に、伊奈の刀が、パチンと鞘に納められる。
鎧武者の身体ごと疑似聖杯が上下に断たれ、砕け散った。泣き別れた骸は、広場の真ん中でぐずぐずと溶けはじめる。
伊奈が大きく深呼吸をしたあと、振り向いた。こちらにやってくる彼女に、黒いアドミレーションでハラキリをしたときの雰囲気はない。甲斐と環もルーティのもとに集まってきた。
「ありがとう、伊奈。それから甲斐と環さんも助かりました」
「ルーティ……大丈夫?」
甲斐に精一杯の笑顔を向けてうなずく。そして、胸に手を当てた。
どこかに彼女がいないだろうか、そう思いながら聖杯の中を確かめる。しかし、見つからない。瞳を閉じて、かみしめるようにルーティがつぶやく。
「さよう――」
「待ちなさい」背筋に悪寒が走る。耳の傍で冷たく暗い囁き声が聞こえた。
那由多の三人が輝化武具をかまえて、一斉に声を上げた。
「ヴィヴィアン・サーペンド!」
ルーティは、後ろから抱きしめられた。
「あれは、ただのイドラ。リアは、まだここに眠っている」ヴィヴィアンが左胸に触れて、愛撫するようにさする。「大切にしないと……ダメじゃないか」
「うっ! ぐぅっ……」
聖杯に対して何かをされた。ずきん、と重たい痛みが底に溜まる。
「あの人を取り戻したい。それが私の望みだ。私はそのために戦っている。お前もいっしょに戦って、リアを取り戻さないか?」
「死んでしまった人を……どうやって取り戻すの……?」
朦朧とする意識の中、必死に言葉を返す。
「安心しなさい。ノヴム・オルガヌムならそれが叶えられる」
――言葉が……体も動かない……
甲斐の矢が飛んでくる。杭で感覚している知覚では、ヴィヴィアンを狙ったものだ。しかし、彼女に的中する直前、矢が掻き消えた。
「ひさしぶりだな。那由多の環、甲斐、伊奈。二年ぶり、かな?」
「この機会を待っていた」
甲斐の言葉に、ヴィヴィアンが「ふふっ」と笑う。
「実は、私もなんだ」
「へぇ、そらうれしいわぁ!」
環が薙刀をかつぎ、伊奈が抜刀した。二人からヴィヴィアンに向けて殺気が飛ぶ。
ルーティは那由多の三人の後ろにある脅威に気が付いた。
「み、んな……うし、ろ……」
ヴィヴィアンが右手の指を鳴らす。その驚異の気配が増大した。
仇に向かって踊りかかろうとする三人の背後で、残っていたフーアの残骸が爆発した。広場から土煙があがり、イドラ・アドミレーションも拡散する。
三人の姿が見えないが、彼女たちの声が聞こえてきた。無事のようだ。
「ルーティ。あなたをとっておきの場所に招待しよう」ヴィヴィアンが宝玉を輝化する。そして、大きな声を上げた。「ボガート!」
土煙とイドラ・アドミレーションが渦巻く領域から小さな子供がやってきた。
「は~い。ここにいますよ~」
「招待状はちゃんと置いてきた?」
「ばっちりです~」
甲斐の聖杯で一度観た、灰色の三角帽子に灰色のスモックを身につけた、鎧武者へと変化する子どもだ。杭の観察によると、この子も妖精型イドラだった。
「では、行くぞ」ヴィヴィアンが宝玉から黒いアドミレーションを放出すると、それがボガートの身体にまとわりついていく。「彼女をお連れして」
「わかりました~」
黒い輝きの中で、幼い子供だった姿が、大人の背格好に変わっていく。三つ揃いのスーツで顔にはのっぺらぼうの真っ黒な仮面をつけている。
ヴィヴィアンの腕の中から解放され、今度は変身したボガートに両手で横抱きにされる。
「それでは行きましょう」マーリンの声だ。ボガートは誰にでも変身できるのだろうか。
「逃がさへんっ!」
イドラ・アドミレーションの靄を切り裂いて、那由多の三人が追ってくる。しかし、ヴィヴィアンとボガートは宝玉の力で開かれた空間の穴へ既に侵入していた。ヴィヴィアンの口もとが吊り上がる。
「おもてなしの準備をして待っているよ」
その言葉を聞いたのを最後に、ルーティは抗えない眠気に呑み込まれた。
【登場人物紹介】
■アヴァロン・プロダクション
〈キャメロット〉
ルーティ・ブルーム
[青色/杖/魔法使い/ランク3rd]
十八歳。主人公。情報処理能力を高めて、戦術を立案する。
■ISCI(国際対イドラ現象機関)
〈那由多〉
小松 伊奈
[空色/刀/侍/ランク2nd]
十七歳。相手の意識を引き付けて、ヘイト操作を行う。
成田 甲斐
[臙脂色/和弓/長弓兵/ランク2nd]
十八歳。遠距離攻撃を絡めとり、自身の攻撃手段に変える。
細川 環
[白色/薙刀/行動阻害役/ランク4th]
二十二歳。汎用性に富んだ粒子を操り、舞台を掌握する。
〈プロデューサー〉
ジュリア・ヴィジレイト
ISCIの要職にある。那由多の担当プロデューサーを兼務。
■ノヴム・オルガヌム
ヴィヴィアン・サーペンド
[黒い青色/宝珠/ゲームマスター/位階第三位]
二十四歳。イドラと会話して、意のままに操ることができる。
ボガート
ヴィヴィアンの使い魔イドラ。シェイプシフター
■その他
リア・ブルーム
ルーティの義理の妹。児童養護施設「ブルーム寮」で暮らす。




