私と鎮魂歌と思い出と...
大変お待たせいたしました。
第十章までお付き合いいただき、誠にありがとうございます。
活動報告でもお伝えしましたが、この作品は今月の中旬から末までの完結を目指しております。
ここまで来たら、ぜひ最終章までお付き合いいただけますと幸いでございます。
それでは、物語の世界へ行ってらっしゃいませ。
私はどうしたいのか、何を思うのか、感じるのか、今の私にとって、これらは私の意志のようで、そうではなくて。
もはや何がしたいのか自分でもわからない。周囲の流れに身を任せて、ただそこに漂うだけの存在であるかと思えば、急に感情が込み上げてくる。
私の目が完全に閉じそうになるたび、地面の振動で瞼が跳ねる。どんどん振動が強くなり、私の体はさらに締め付けられる。
懐かしいその振動は、私を氷漬けにしようとする彼女の冷たい温もりから、私を解放しようとしているのだろうか。
(ようやく死ねる?いや、まだ生きていたい。どっちなの?どっちも。まだ生きてる?わからない。これが死なの?そうだといいね。)
その場を離れようとは思わなかった。その場に生える草木のように、ただただその場にいるだけだった。
何も考えすに踏みつぶしてくれればよかった...。
その時だった。鼓膜が破れるほどの爆音と、世界がひっくり返るような衝撃が背中を打った。同時に、レナの腕が引きちぎられるように私の体を離れる。
どうやらその理不尽な一歩は、私を踏みつぶさなかったようだ。
凍り付きそうだった私の体は、ゴロゴロと転がる。
「ブオー(???)」
私の目を覚まそうとしているのか、強烈な咆哮が私の耳にとどめを刺そうとする。
「待って!! ナオ!!嫌だ!! 行かないで!! そばにいてよ!!(レナ)」
彼女の声が追い打ちをかけた。
感情が滝のように口から流れだしている。"あれ"から逃げる焦りと、私を失う恐怖なのだろうか。
しかし吹き飛ばされた私たちの間に、なぎ倒されたのであろう木々が飛ばされてくる。私たちを引き離すかのようにして、道をふさぐ。
地面だけではなく、この空間そのものが揺れているような衝撃がすべてを包む。
私はただの肉塊となって、暗闇の中へ放り出された。そんな私の体を、生暖かい吐息が包む…。
冷え切った私の体に、ほんの少しだけ熱が戻ったような気がした。その瞬間、さらに私の体を粉々に粉砕するかのような衝撃が、地面から伝わる。
「ナオ!!どこ?!!今行くから!!ナオ?!!返事して!!ナオ!!(レナ)」
「グルァァァァァ!!(???)」
耳が壊れそうだ。
その声を聴くだけで、彼女が完全に取り乱しているのがわかる。
私の体は、暗闇のさらに奥へと吹き飛ばされる。ごろごろ斜面を転がり、また吹き飛ばされる。
しかし私の体は、それまで転がっていた斜面から完全に離れた。地面に叩きつけられるはずの体は、まだ落下し続けている。全力で奈落の底に引っ張られ、下からの風圧との間で挟まれた。
体のすべてが締め付けられる。まるで、捨てる前のゴミを小さく丸めているかのように。
急速に体にかかる圧力が強くなっていく...。
すると一瞬ドッ!!と体全体にとてつもなく大きな衝撃が走ったかと思えば、さっきまでの引力や風圧が完全に消えていた。
長かったようであっという間だった...。
私の体はまだ存在しているだろうか。
何も感じない...。
「ゴフッ…(私)」
口と鼻が、強烈な鉄分の臭いで覆われた。
一瞬だけ体に熱がこもったかと思えば、次の一瞬で体が冷え切る。
すると、スゥーっと口から空気が漏れる。同時に、臭いが消え、音が消え… 私という存在が消えていくのを感じる。
その過程で、最後に頭の中で、ここまで生きてきた人生のエンディングが流れ始める…。
幼いころから、私はよく、友達はいるのかと心配された。私はもともと一人でいることが多かったため、特に一人でいることに問題はないと思っていたが、周りの大人からすれば、一人ぼっちの可哀そうな子供だったのかもしれない。
しかし当の本人は決して苦しんではいなかった。また一人かと思いながらも、誰にも迷惑をかけない安心感や、自分が自由でいられるという開放感が好きだった。
一人で好きなだけ考え事をして、場合によっては相棒に一方的に話しかけて。
そういう、一人でいるからこその私の楽しみが、至福の時間に感じていた時があった。もちろん、人と全く話をしないわけではない。学校のグループワークや、部活動、習い事など、当然"友達"と話をする機会は何度もあった。
それでも、自分から積極的に人と関わることは望まなかった。期待をされたり、ガッカリされたり、そういうのは本当に嫌だった。
彼らは本当に見る目がない。私という人間を、いつも見誤る。
勝手な期待をして、勝手に裏切られる。
しかし、悪者はいつも私のほうだ。
できない私が悪い。
期待を超えられない私が悪い。
だから私は、誰からも期待されないように、ただただ一人で、自分のペースで進んでいく道を選んだ。
しかしそんな至福の時間は、とある三人によって破壊された。
彼女たちは突然現れた。
怖かった...。
彼女たちはあまりにもキラキラしていて、とても同じ世界で生きている人間とは思えなかった。
なぜ私なのか。こんな私といったい何がしたいのか。他の子ではだめなのか。
当時の私の頭の中は、そんな自己嫌悪の言葉でいっぱいだった。
しかし彼女たちの侵攻は止まらなかった。
むしろ、より一層私の時間に彼女たちがやってくるようになった。
それだけではない。三人は私といる時間をすごく楽しんでいた。
中でも一人、ムードメーカーのような彼女は、とにかく楽しそうに、何気ない話をし続けていた。
内容だけでいえば、本当にどうでもよくて、わざわざ聞く必要もない話だ。しかしいつも、気が付けば私は彼女の話にのめりこんでいたことを、今でも鮮明に覚えている。
あまりにも明るく、楽しそうに話す彼女の姿を、いつしか私のほうから求めるようになっていた。
二人目の彼女は、なぜか私をすごく慕ってくれていた。私たちは皆同い年だが、どことなく彼女には、年下の可愛さのそれがあった。
自然と私は、彼女のためにいろんなことをしてあげていた。自分でも不思議だった。
楽しかったからだ。
彼女はいつもサンキュ!!と私にお礼をしてくれた。
そのたびに、人に貢献できた喜びを感じ、自分の存在意義のようなものを感じることができた。
人に頼ってもらえることが、こんなにもうれしいことであると、彼女は私に教えてくれた。
そして三人目の彼女だ。私たちの中でも、目立って大人びていた彼女は、私たちのことをおそらく一番理解していただろう。
優しく、どこか面倒を見るかのように、宿題の提出期限のリマインドや、重要な持ち物の連絡、時間割変更など、とにかく私たち三人のことを常に気かけてくれていた存在だ。
彼女に出会ってからというもの、私の悩みや不満などは、自然と彼女に聴いてもらうようになっていた。
安心するからだ。
一人で抱えて、自分をせめて、自分を嫌いになって、消えてしまいたくて、でもできなくて...。
そんな私の気持ちをわかっているかのように、彼女は全てを受け止めてくれた。
それからというもの、私は自ら、大学で彼女たちと話すようになった。
探すようになった。
そして今、私は暗闇の中でたった一人だ。彼女たちは、突然私のもとからいなくなった。ようやくかつての"至福の時間"が返ってきた…
そしてその"至福の時間"でさえ、もうすぐ終わる...。
ようやく私は終わる...。
(長かくて...あっという間だった...)
読んでいただきありがとうございました。第十章いかがでしたでしょうか。
感想やアドバイスお待ちしております。
反省点
第六章以降、事前に制作していたシナリオを見直し、新しいシナリオのもと勢いで書いておりますが、序盤にあった「丁寧な描写」を失いつつあるように感じております。(作品を読み直して感じました。)また、早く作品を書き上げようとする気持ちが、物語を急展開にしてしまっているようにも感じます。長く引き伸ばしてもしょうがない分、ちょうどいい進め方を今も模索中です。
第十一章も現在制作中です。
今後とも応援よろしくお願いします。




