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そばにいてね  作者: ニシン兄


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10/11

私と鎮魂歌と思い出と...

大変お待たせいたしました。

第十章までお付き合いいただき、誠にありがとうございます。

活動報告でもお伝えしましたが、この作品は今月の中旬から末までの完結を目指しております。

ここまで来たら、ぜひ最終章までお付き合いいただけますと幸いでございます。

それでは、物語の世界へ行ってらっしゃいませ。

私はどうしたいのか、何を思うのか、感じるのか、今の私にとって、これらは私の意志のようで、そうではなくて。


もはや何がしたいのか自分でもわからない。周囲の流れに身を任せて、ただそこに漂うだけの存在であるかと思えば、急に感情が込み上げてくる。


私の目が完全に閉じそうになるたび、地面の振動で瞼が跳ねる。どんどん振動が強くなり、私の体はさらに締め付けられる。


懐かしいその振動は、私を氷漬けにしようとする彼女の冷たい温もりから、私を解放しようとしているのだろうか。


(ようやく死ねる?いや、まだ生きていたい。どっちなの?どっちも。まだ生きてる?わからない。これが死なの?そうだといいね。)


その場を離れようとは思わなかった。その場に生える草木のように、ただただその場にいるだけだった。


何も考えすに踏みつぶしてくれればよかった...。


その時だった。鼓膜が破れるほどの爆音と、世界がひっくり返るような衝撃が背中を打った。同時に、レナの腕が引きちぎられるように私の体を離れる。


どうやらその理不尽な一歩は、私を踏みつぶさなかったようだ。


凍り付きそうだった私の体は、ゴロゴロと転がる。


「ブオー(???)」


私の目を覚まそうとしているのか、強烈な咆哮が私の耳にとどめを刺そうとする。


「待って!! ナオ!!嫌だ!! 行かないで!! そばにいてよ!!(レナ)」


彼女の声が追い打ちをかけた。


感情が滝のように口から流れだしている。"あれ"から逃げる焦りと、私を失う恐怖なのだろうか。


しかし吹き飛ばされた私たちの間に、なぎ倒されたのであろう木々が飛ばされてくる。私たちを引き離すかのようにして、道をふさぐ。


地面だけではなく、この空間そのものが揺れているような衝撃がすべてを包む。


私はただの肉塊となって、暗闇の中へ放り出された。そんな私の体を、生暖かい吐息が包む…。


冷え切った私の体に、ほんの少しだけ熱が戻ったような気がした。その瞬間、さらに私の体を粉々に粉砕するかのような衝撃が、地面から伝わる。


「ナオ!!どこ?!!今行くから!!ナオ?!!返事して!!ナオ!!(レナ)」


「グルァァァァァ!!(???)」


耳が壊れそうだ。


その声を聴くだけで、彼女が完全に取り乱しているのがわかる。


私の体は、暗闇のさらに奥へと吹き飛ばされる。ごろごろ斜面を転がり、また吹き飛ばされる。


しかし私の体は、それまで転がっていた斜面から完全に離れた。地面に叩きつけられるはずの体は、まだ落下し続けている。全力で奈落の底に引っ張られ、下からの風圧との間で挟まれた。


体のすべてが締め付けられる。まるで、捨てる前のゴミを小さく丸めているかのように。


急速に体にかかる圧力が強くなっていく...。


すると一瞬ドッ!!と体全体にとてつもなく大きな衝撃が走ったかと思えば、さっきまでの引力や風圧が完全に消えていた。


長かったようであっという間だった...。


私の体はまだ存在しているだろうか。


何も感じない...。


「ゴフッ…(私)」


口と鼻が、強烈な鉄分の臭いで覆われた。


一瞬だけ体に熱がこもったかと思えば、次の一瞬で体が冷え切る。


すると、スゥーっと口から空気が漏れる。同時に、臭いが消え、音が消え… 私という存在が消えていくのを感じる。


その過程で、最後に頭の中で、ここまで生きてきた人生のエンディングが流れ始める…。


幼いころから、私はよく、友達はいるのかと心配された。私はもともと一人でいることが多かったため、特に一人でいることに問題はないと思っていたが、周りの大人からすれば、一人ぼっちの可哀そうな子供だったのかもしれない。


しかし当の本人は決して苦しんではいなかった。また一人かと思いながらも、誰にも迷惑をかけない安心感や、自分が自由でいられるという開放感が好きだった。


一人で好きなだけ考え事をして、場合によっては相棒に一方的に話しかけて。


そういう、一人でいるからこその私の楽しみが、至福の時間に感じていた時があった。もちろん、人と全く話をしないわけではない。学校のグループワークや、部活動、習い事など、当然"友達"と話をする機会は何度もあった。


それでも、自分から積極的に人と関わることは望まなかった。期待をされたり、ガッカリされたり、そういうのは本当に嫌だった。


彼らは本当に見る目がない。私という人間を、いつも見誤る。


勝手な期待をして、勝手に裏切られる。


しかし、悪者はいつも私のほうだ。


できない私が悪い。


期待を超えられない私が悪い。


だから私は、誰からも期待されないように、ただただ一人で、自分のペースで進んでいく道を選んだ。


しかしそんな至福の時間は、とある三人によって破壊された。


彼女たちは突然現れた。


怖かった...。


彼女たちはあまりにもキラキラしていて、とても同じ世界で生きている人間とは思えなかった。


なぜ私なのか。こんな私といったい何がしたいのか。他の子ではだめなのか。


当時の私の頭の中は、そんな自己嫌悪の言葉でいっぱいだった。


しかし彼女たちの侵攻は止まらなかった。


むしろ、より一層私の時間に彼女たちがやってくるようになった。


それだけではない。三人は私といる時間をすごく楽しんでいた。


中でも一人、ムードメーカーのような彼女は、とにかく楽しそうに、何気ない話をし続けていた。


内容だけでいえば、本当にどうでもよくて、わざわざ聞く必要もない話だ。しかしいつも、気が付けば私は彼女の話にのめりこんでいたことを、今でも鮮明に覚えている。


あまりにも明るく、楽しそうに話す彼女の姿を、いつしか私のほうから求めるようになっていた。


二人目の彼女は、なぜか私をすごく慕ってくれていた。私たちは皆同い年だが、どことなく彼女には、年下の可愛さのそれがあった。


自然と私は、彼女のためにいろんなことをしてあげていた。自分でも不思議だった。


楽しかったからだ。


彼女はいつもサンキュ!!と私にお礼をしてくれた。


そのたびに、人に貢献できた喜びを感じ、自分の存在意義のようなものを感じることができた。


人に頼ってもらえることが、こんなにもうれしいことであると、彼女は私に教えてくれた。


そして三人目の彼女だ。私たちの中でも、目立って大人びていた彼女は、私たちのことをおそらく一番理解していただろう。


優しく、どこか面倒を見るかのように、宿題の提出期限のリマインドや、重要な持ち物の連絡、時間割変更など、とにかく私たち三人のことを常に気かけてくれていた存在だ。


彼女に出会ってからというもの、私の悩みや不満などは、自然と彼女に聴いてもらうようになっていた。


安心するからだ。


一人で抱えて、自分をせめて、自分を嫌いになって、消えてしまいたくて、でもできなくて...。


そんな私の気持ちをわかっているかのように、彼女は全てを受け止めてくれた。


それからというもの、私は自ら、大学で彼女たちと話すようになった。


探すようになった。


そして今、私は暗闇の中でたった一人だ。彼女たちは、突然私のもとからいなくなった。ようやくかつての"至福の時間"が返ってきた…


そしてその"至福の時間"でさえ、もうすぐ終わる...。


ようやく私は終わる...。


(長かくて...あっという間だった...)


読んでいただきありがとうございました。第十章いかがでしたでしょうか。

感想やアドバイスお待ちしております。


反省点

第六章以降、事前に制作していたシナリオを見直し、新しいシナリオのもと勢いで書いておりますが、序盤にあった「丁寧な描写」を失いつつあるように感じております。(作品を読み直して感じました。)また、早く作品を書き上げようとする気持ちが、物語を急展開にしてしまっているようにも感じます。長く引き伸ばしてもしょうがない分、ちょうどいい進め方を今も模索中です。


第十一章も現在制作中です。

今後とも応援よろしくお願いします。

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