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第023話 おっさん、奴隷剣闘士になる


 時におっさんはこういう性格をしている。


 おっさんは流行に意外とミーハーで、地球にいた頃はネットを通じてその年その年で流行った音楽を蒐集するのが趣味だった。韓流、邦楽、洋楽と、流行の兆しを見せるものにはとんと目がない。


 そういった欲しい! と強烈に思ったものに対しては財布が緩むのだ。


 長老と別れたおっさんは祭りを徘徊していると、その欲しい! 物が目に飛び込む。


「……うーん」

「おう、いらっしゃい、ゆっくり見てってくれよ」

「あの、この楽器って」

「ああ、それはどこかの民族が愛用していた弦楽器さ」

「ちょっと触ってみていい?」


 頼み込むと、店主は眉をしかめる。


 しかし今日は千年祭というお祭りだけあってか、専用の弓を手渡してくれた。


 この独特な四角いフォルムは、恐らく馬頭琴だと思うが、果たして音色はいかに――


「ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイェイェイェッ」

「おお、お前なかなかの腕だな。その妙な口歌さえなければ意外と聞けるぞ」


 いいね! 買っちゃおうかな。


「これ気に入った! いくら?」

「金貨十枚でどうだ」

「ありがとう御座いました」


 おっさんは手にした馬頭琴をススっと店主に返した。


 なぜかって? 現状のおっさんの持ち金は銀貨十枚だから、まるで足りない。


 四号と一緒にロイドくんの授業を受けた所、この世界の通貨の価値がわかった。


 大金貨一枚が金貨百枚の価値で。


 金貨一枚が銀貨八枚の価値。


 銀貨一枚が銅銭十五枚の価値である。


 ぜんぜん足りひんわ!


 それにおっさんにはクラフトという超便利スキルがあるし、馬頭琴の音色はインプット済み。


 いやー、クラフトはおっさんみたいな物欲魔人には打ってつけですわぁ。


 悪魔的頭脳を働かせ、店を後にしようとしたら。


 馬頭琴を手にしたドワーフの目が光った気がした。


「お前さん、見受けた所よそもんだな? ここへは何しに来た」

「ん? んー、要約すると友人の付き合い?」


 ここへなゼルエルや賢者エグゼの意向で出向いたようなもの。


 まぁおっさんはおっさんで商談をまとめられて、ほふほふですが。


 と――誰かがおっさんを後ろから羽交い絞めにしたと思えば。


 おっさん、強烈な眠気に襲われてその場で卒倒してしまう。


 駄目だ、寝ちゃいけないと心で警鐘を鳴らしても起き上がれない。


「よく来た人間、その楽器は餞別代りにくれてやるよ」


 ◇ ◇ ◇


 いい夢とも、悪夢とも取れない微妙な夢を見ていた気がする。


 その夢を検証する前に、寝起きのおっさんは体がバッキバキだよ。


「ん~、よく寝た」

「……お早う、間抜け顔の新入りくん」


 目の前に、麻で出来たぼろ布をまとったオジサンがいた。

 麻布の袋に腕と頭の穴を開け、胴元を紐でしばっただけの貧相な格好だ。


「……あの、ここはどこで?」


 見渡すとおっさん、なんか閉じ込められている気がするんですけど!


 岩壁の部屋に、牢屋のような格子があって、おっさんその中にいた。


「お前、顔だけじゃなく中身も間抜けそうだな」

「いやいやいやいや、状況がまったく飲み込めない」

「ここは奴隷剣闘士の待機所だよ」


 奴隷剣闘士とな?


 なんでそんな所におっさんいるのさ?


 なんで?


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