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第022話 おっさんと彼の息子さんはくりそつ

三日前に公開した第019話から話数表記が抜けておりました。

申し訳ございませんm(_ _)m


 何でも屋を開き、数時間後。


「ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイェイェイェっ!」


 おっさん、飽きた。


 何でも屋にやって来るのは洒落にならない案件ばかりで。

 おっさんは手に余ると思ったから「警察に相談しましょう」と言っておいた。


 今は看板を変え『弾き語り屋』をやっている。


 おっさんに夢中な五号はギターに合いの手を入れる。


 その光景を隣にして六号は恋愛相談をやっていた。

 六号は艶やかな長い髪の毛から大人の香りを漂わせ、その雰囲気で客を獲得。


 今も一人のドワーフの少女の悩みを占って、解決していた。


 そしたら六号は困った表情でこっちを見るんだ。


「ヘイ! ヘイ! ヘイ! ヘイェイェイェっ!」

「……あの才蔵様、こんなこと言うのは心苦しいのですが」

「おお! 六号もおっさんと一緒にハモっちゃう!?」

「商売の邪魔になるので、他所でやってくださいませんか?」


 え……おっさん、真剣な眼差しで六号に聞かれてショックを隠せない。


 一緒の家に暮らしている五号が怒った様子で六号に詰め寄った。


「六号! 才蔵様のお気持ちをなんだと思っているんだ!」

「ですから心苦しいと最初に言ったのです」

「とってつけた様な台詞で才蔵様のお気持ちを煩わせていいのか!?」

「五号、冷静に周りを見てみて?」


 とおっさんと五号は周囲を見渡してみた。


 千年祭を祝い、活気づいていたはずのドワーフが痛い視線を送っている。


「なんだあのオナニー全開の曲」

「商売の邪魔だし、俺あっち行く」


 ……ふ。


 おっさんから少し離れた所で営業していたロイドがやって来て。


「お前、クビ。今日は店畳んで祭り楽しんで来いよ。駄賃やるからさ」

「……ふ、ふ。ふっはっはっはっは!」


 なるほど! 道理で!


 この世界が滅亡したのに理解が行った!


 みんな。


「酷いよ!!」


 おっさん猛ダッシュでその場を立ち去ると、五号の声が聞こえるようだった。


「才蔵様、カムバーック」


 涙しながら祭りの喧騒に向かうと、おっさん迷子になった。


 どうしよう、通りにある店がみんな同じに見えて、でも違う。


 完全に迷子った、と肩を落とせば。


『電子マップのレシピを獲得しました』


 おお、サンクスマイスキル。

 えっと、元居た場所はここからどういう風に行けば?


 などとマップに目が行っていたから、あるドワーフとぶつかってしまった。


「あ、すいません」

「いや、俺もよそ見して……お前か」

「あ、えっと、もしかして長老ですか?」


 長老はおっさんを見つけると、裾を掴んで離さなかった。


「何か用でしたか?」

「俺は大人しくしていろと言っただろ、なのにお前ときたら勝手ばかりしやがって」

「ははは、ソーリー、でもお宅らだって悪いんだ」

「? まぁ、話はこっちで聞く」


 おいおいおい、お、おっさんをかどわかしても、嗚呼、長老ってば強引。


 長老はおっさんを連れてエルドラドの中央公園に向かった。


 育った精霊樹が天井に向かって健やかに青葉を揺らしている。


「にしてもあの精霊樹は大きいですね~」

「そうだな、あれは俺達ドワーフとエルフのいにしえの約束の象徴だ」


 いにしえ、ねぇ?


「懐かしいよ、英雄がまだ若かったゼルエルやアネッタなんかを連れてここに来た日のことが」


 ふーん。


「貴方だから告白しておくと」

「なんだ?」


「おっさんは、その英雄さんに最後の希望として望まれたから召喚されたんだ。本当だったらおっさんはニールデウスのようなワイルドな世界の住人じゃなかった。おっさんは地球って呼ばれる所から来たんだ」


 そう言うと長老は一瞬眉を開くも、すぐにいつもの無骨な顔に戻った。


「異世界人、そう言いたいのか?」

「そだよ」

「その割にはよく働いてるな」

「初めて言われたよそんなこと……あ、そうだ」


 おっさんは忘れ物を思い出し、長老に差し出した。

 長老はおっさんからコネクトロを受け取り、なんだこれは? と不思議がっている。


「コネクトロ、って言えば伝わるんじゃないかと」

「ああ、通信の道具か。貰っておく」


 それとアイテムボックスも一つあげちゃおう。


「貰っておく」


 あ、長老はドワーフ族だし、ドリルもいる?


「貰っておく」


 じゃあ服が汚れちゃうから、自動洗濯機も必要か?


「もういい、お前さんの有能さはよくわかった」

「もっと、もっとだ」

「と言うと?」


 もっと、褒めてくれ……!

 おっさん、さっきハートをズタズタにされたから、承認欲求がパナい。


「ふぅ、お前さん、顔は似てるが中身はぜんぜん違うな」

「何の話だ」


 長老は中央公園にあった岩に腰を下ろし、精霊樹を仰ぐ。

 遠い昔を木の成長と共に思い返しているようだ。


「十年前、魔王は英雄の手によって葬られた。聖戦という奴を知ってるか?」

「ああうん、それとなく」

「聖戦には、俺の息子も出兵したんだ。その息子とお前は顔が似ている」


 へ、へぇ?


 おっさんと顔が? それは不憫だな。


「へらへらとして頼りなさそうで、将来は絶対悪い奴に騙されるって思ってた」

「息子さんとおっさんの両方に謝ってください」

「って思っていた矢先、聖戦に担ぎ出されて亡くなった。英雄に騙されてな」


 なんだろう、これはおっさんの純然たる勘なんだけど。


 長老がおっさん達をここに通したのは息子さんの面影を追ったからか?


「正確には聖戦の後始末していた時に、ヘマしてやられたらしいが。息子をやったのは吸血鬼の手のものだ。それは賢者エグゼやアネッタからの話で理解したよ」


「そう言えばエグゼ様はノーム様と会っているらしいですね?」


「今頃依り代越しにお会いしている頃だろうな」


 にしても吸血鬼か、強いのかね?

 賢者様はあの暗雲さえ払えばどうとでもない相手って言ってたけど。


 長老はおっさんの独り言に耳を貸すと、質問をよこした。


「賢者がそういったのか?」

「ええ」

「あの老いぼれジジイも口車に乗せたがるからな、あんまり信用できん」

「賢者の石って、何か知ってますか?」

「賢者の石? 伝承によると、永遠の命を授かれる」


 う、うーん? その効果だと、暗雲と関係ないんじゃ?


「……あまり考えこむな、それよりもあの娘を大事にしろ」

「ミリアですか? もちのろんです」


 長老はおっさんの二つ返事に気をよくしたのか、重い腰をあげる。


「時間を取らせたな、後は祭りを楽しんで、さっさと帰ってくれ」


 はいはい、あ、でも。


「これからもちょくちょくエルドラドに顔を出しますよ、おっさんはロイドと取引してるんで」


 長老は足を止め、偏屈な顔で返事した。


「勝手にしろ」



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