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27 季節は巡って

お久しぶりです。

毎週更新は諦めました。すいません。

不定期更新でも完結まではこぎつけたいと思います。


 今、私は冒険者ギルドの受付カウンター横に絨毯をひいて座ってる。

 いつもなら人形やおままごとが置かれているんだけど。


「ア、ア、アリィちゃん。お、お誕生日、おめでとぅ……そのぅ、これ、プレゼント……」


 頬を真っ赤に染め、震える手で可愛くラッピングされたプレゼントを私は受け取る。


「ありあとぅ!」

「はぅ!」

「だいじょぶ?」

「うん、うん、大丈夫だよ!」

「おちごと、がんばってね」

「頑張るよ、俺頑張るよ!」


 そう言いながらスキンヘッドのおっちゃんは受付カウンターに行き、依頼を受けて、私に手を振って仕事に出かけていった。

 ちなみに、プレゼントをくれるのは一人じゃなくて


「アリィちゃん、これ……」


 おっちゃんの長い列ができていたりする。




 皆さんこんにちは。アリノーリアです。

 実は私。今日二歳になりました。

 え? 展開が早い?

 いや、色々あったんだよ。一年弱経ったんだから。



 毎日毎日冒険者ギルドに預けられた私。

 最初は受付カウンターの中にいたんだけど。

 私としてはマッチョやおっちゃんは生で見たいため、よく脱走してカウンター外で待機をしていたわけで。

 マッチョにもおっちゃんにも泣かない幼児ってことで可愛がってもらったのだ。

 ベルネゼブには加護持ちが送られてくるけど、家族ごと来れる人も少なく。

 使命が魔物退治になっている人も多いため、男性独身率がかなり高い。

 たまに加護持ちの独身女性が来たら即結婚状態で、子供に対する願望と諦めの中、私が冒険者ギルドに預けられたわけだ。

 既婚者でも強面の場合は自分の子でも泣かれるため、赤ん坊時代はさわれなかったと言われたこともある。

 まぁ、ウィンウィンの関係だから問題ない。

 モーさんたちもいるから、危ないこともないしね。

 怖いお兄さんに絡まれたこともあるけど、四つ星の加護持ちと知れると生き仏とか座敷童的な扱いになったし。



 冒険者ギルドは領主館内にある。

 最初に入った正面入口から入るのではなく、裏口から入るとすぐに冒険者ギルドだった。使用人通路は繋がっているから、結構私も移動してる。

 魔物の素材とかはこの町の主要な収入源なので、建て前としては領主が管理しているんだって。まぁ、実際は冒険者ギルドが管理しているけど、領主の名前はやっぱり強いんだとか。

 そんな冒険者ギルドはある意味とっても安全だし、お散歩には領主館前の広場に行けば沢山階段あるし走り放題。

 休みだからっておっちゃん達が交代で面倒見てくれる時もあって、筋肉もおっちゃん成分も補給できたわけですよ!


 ちなみに毎日欠かさず魔力循環をして四つ星の使命も果たしている。

 水の精霊はベルネゼブにも少ないながらもいて、順番に魔力循環している。おかげでベルネゼブの水路には水が流れてるし、トイレの水は茶色くなくなった。

 町の塀の外にある堀にも水が埋まっているらしい。らしいとしか知らないのは、危ないから連れて行ってもらってないからだ。

 そろそろ暑くなるので、みんなそこで水浴びをするんだと。もともと勇者様がこの町を作った時にそういう風に作ったとレオナルドさんに教えてもらった。

 下水が混じったりとかないのかと思ったら、そのあたりも完璧なんだとか。すごいな、勇者様。

 水浴びをしなくても、堀に水があるだけで充分涼しいらしく、それで四つ星が感謝されていると教えてもらった。



「アリィちゃん、これ食べてね」

「ありあとー」


 冒険者ギルドでは珍しいおばちゃんが持ってきてくれたのは新鮮な果物。パッと見は桃。

 前に木の精霊さんにもらった種は無事成長し、今ではベルネゼブの城壁内に畑が出来ていた。

 これに一番喜んだのはレオナルドさんだ。使命でベルネゼブに木を植えていたけど成果が出ていなかったのに、一年で躍進したんだから言わずもがな。

 みんなの意見を合わせると、水の精霊の力が足りたからだろうということになった。

 モーさんたちの助言を聞き、次は鶏などの家畜を城壁内で飼うらしい。植物と動物がいることが精霊の力を高めれるからだとか。



 朝のお勤め、もといプレゼント行列はようやく終わった。

 びっくりするほど積まれたプレゼントに、遠い目になる。

 嬉しいのは嬉しいんだけど、これをどうしろと?


『アリィ。終わたか?』

『あ、うん。みんなは?』

『町ん中を散歩しとるわ。井戸も大体大丈夫やけど、一応見回りはいるからな』

『うん。ありがとう』

『さて。じゃあ行くか』

『うん』


 私はプレゼントをそのままに立ち上がると、受付のお姉さんのところに行く。


「アリィちゃん、お散歩?」

「うん。ひろば、いってくるね」

「気をつけてね。何かあったらすぐ帰ってくるのよ」

「はーい」


 姿を見せたモーさんを頭に乗せてギルドを出る。これが保護者と一緒という合図だ。

 ポテポテと歩くこと10分ほど、広場の真ん中についた。


『モーさん。ここで?』

『目立ちたいわけやないけどな。多分水浸しになんねん』

『室内じゃ悪いし、町の外は無理だもんね』

『いや、それより保護者おらんでほんまにええんか?』

『いいんだよ。今日のご飯の時に全部話すって決めたじゃない』

『多分怒られんで?』

『大丈夫。ベンさんは知ってるから』

『アリィの保護者はレオナルドやねんけどな』

『町のトップの方が冷静な判断が出来るのですー』

『へいへい』


 モーさんは私の頭から下りて、私の目の前に浮かんでいる。私とモーさんは両手を繋いだ。


『いくよー』

『どんと来いやぁ!』


 いつもと同じように魔力循環を始める。でも、いつもと違うのはフルパワーなことだ。

 魔力循環の管は4セット。太さも最大にして速さもあげていく。

 モーさんが苦しげにしていたけど、段々と体が光始めた。


『モーさん、無理なら教えて』

『大丈夫や。わしは壊れへん。体が脱皮するだけや』


 モーさんの気楽な声に励まされながら、ドンドンと魔力循環は進んでいく。

 多分もう周りには何かやっているのがバレているんだろう。視界の端にこちらを指差している大人の姿が見える。

 モーさんの光がいよいよ強くなる。ほんのり水色の光はカテナの精霊さんを思い出す。


『アリィ、すまん。呪文唱えてくれ』

『へ、呪文?!』

『殻がうまく破られへんねん。わしが言うの復唱したらええ! 口に出して言うてや!』

『わかった!』




『我は求める、流るる水の管理者を』


 いきなりむずい呪文きた!


「我は求める、流るる水の管理者を」


 滑舌練習がここにきて役に立とうとは!


『全ての命の源よ、全てを支配する力となり、我に従え』


「全ての命の源よ、全てを支配する力となり、我に従え」


『古き殻を破り、新たな姿を我が前に現せ』

「古き殻を破り、新たな姿を我が前に現せ!」




 私の声が響いた瞬間、水色の光は塊となって天を突き刺した。

 私は眩しさにモーさんとつないでいた手を離して目を庇う。

 ザアァァァァ!と大きな水音が聞こえるが、手を通しても光の強さは変わらない。

 心臓がバクバクする。怖くはない。ただ興奮するだけだ。

 水の音が遠くなり、光も弱くなったのを感じてそろりと目をあけた。




「アリィ、ありがとな。どや、格好ええやろ」




「モーさ……」






 ザァァァアアア!




「……びしょ濡れっす」

「……おぅ」




 何が起こったかというと。


「つまりや。かなりの量、魔力循環したやろ。溢れた魔力がわしから吹き出して水になってん」

「なるほど」

「で、全部上に上がったわけやけど」

「あがったら落ちてきたわけだね」

「そうやな」



 広場に限らず、領主館の屋根までキラキラ輝いている。うん、埃っぽいのはなくなったね。

 周りを見渡せば、こちらに気付いて指差していた人はみんなずぶ濡れだった。

 そしてもちろん私も。


「へくちっ」

「夏で良かったなぁ」

「だねー」




「アリィ!! 何やっているんだい!?」



 領主館から走ってくるレオナルドさんを見ながら私たちは緩く笑った。





ということで、モーさんは中位精霊にレベルアップです。

ほのぼのしたかったんだけどなあと思いますが、さすがに1歳は動かし辛すぎました。1歳てベビーカー乗りますからねえ。かわいいんだけどなあ、ハムみたいで。

とりあえず、レオナルドさんの事情聴取は次回。


進化を超える進化・・・・・・メg・・・・・・おや、誰か来た様だ。

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