24 ご飯を食べながら事情説明
遅刻遅刻も大遅刻。
月曜更新て言うたのは誰だと問いたい!!
申し訳ございません。何とか形になりました。
とりあえずもう一話も書けているのはちゃんと予約投稿で月曜日に上げます!
「湖を作る……」
「勇者の再来か?」
半ば呆然としながら呟く男二人に対し、エイダさんはあっけらかんとしている。
「あらあら、アリィちゃん大変ねえ」
「エイダ……そんな簡単に」
「いいじゃない。湖が出来たらみんな喜ぶんだから」
「地形が変わるんだぞ」
「そうねぇ。で?」
「ベルネゼブの仕組み自体も変わるだろう。人も増えるかもしれん」
「そうねー。でもそんなの大人の仕事だわ。アリィちゃんの本当の仕事はすくすく大きくなることよ」
改めてみんなの視線が私に集まる。緊張しちゃってお尻がむずむずするわ。
「領主で叔父であるあなたが引き取るのは何の問題もないでしょ」
「いや、しかしエイダにも仕事が……」
「じゃ、私にも赤ちゃんができれば問題ないわね」
「いや、そういうことじゃなくて」
「アリィちゃんも妹か弟欲しいわよね〜」
え、こっちに振ります? 振っちゃいます?
ここはもう、わかってない子どもの振りをするしか……
「あぃ〜」
モーさんたち精霊が生暖かい目で見ていた気がするけど、私は負けずにかわいく頷いた。
「細かい話はまた今度。で、二人はどうするの?」
エイダさんは話を切り上げる気だ。まぁ、町についたばかりで気を遣ってくれているのかもしれないけど。
「今は王都に戻れないので、我々もベルネゼブに滞在したいと思っていますが……」
「あー。そんなことだろうと思ったが、実はベルネゼブは今人口過密なんだわ。かなりの加護持ちが送り込まれてきていてなぁ」
レナードさんの希望を潰してしまったのはベンさんだ。
「二人は加護持ちじゃないんだよね」
「残念ながら……」
え、じゃあレナードさんやキースさんとここでお別れ!? それは寂しいんですけど!
私がおろおろと二人の顔を見れば、二人も悲しげな顔で私を見ていた。
「……え? あら。そっちの金髪のお兄さん、風の加護持ちらしいわよ」
いきなりエイダさんがそんなことを言った。
「な!?」
そんなことが分かるんだ〜と私が思ったけど、レナードさんとキースさんは驚いているみたい。普通はわからんの?
と、今度はレナードさんの目の前にボッと火の玉が出た。一瞬で消えたそれにみんな反応できなかった。
「あー。レナードも火の加護持ちやってことやろうなぁ」
モーさんが解説してくれた。アっちゃんもうんうん頷いている。
「レナちんの周りに今、ちょー火の精霊集まってるよ〜。あのおじちゃんに寄ってきてたやつが出番だ! みたいな感じで〜」
「こんなことってあるのかい?」
「寄ってきてたて、俺は餌かなんかか」
「魔力なかったら、アタシたち生きていけないんだし、ご飯って間違いじゃないよネ〜」
わちゃわちゃとした雰囲気でみんなが話す。
慌てているのはレナードさんとキースさんもだ。
「どうしましょう。神殿に行かなくてはならないんですよね」
「今日にでも出た方がいいのか。アリノーリア様に災いを振りまくわけには」
「落ち着くのじゃ。何もそこまで急く必要はないじゃろう。わしらも驚いてはおるが、まぁ火や風の精霊たちの気持ちも分かるのぅ」
そこに穏やかに話しかけたのはリューちゃんだ。みんなが口を閉じてリューちゃんに注目する。
「呪い持ちになるのはあまりに精霊を無視し続けるからじゃ。今初めて加護に気付いたそなたらが今日明日に呪い持ちになることはあるまいよ」
「そうか」
レナードさんは浮かしかけていた腰をソファに落ち着けた。
「そこな加護持ちが強いから、火や風の精霊たちも加護を教える余力があったにすぎん。そなたら自身」がそこまで強い加護ではあるまい」
「そうであるな。精霊としては目覚めた加護持ちに増えて欲しいのである。身を削ってまで伝えはできんが、近くに他の加護持ちがおるならば伝えるぐらいはするのである」
カエちゃんもうむうむと頷いている。
「じゃあ、一週間ぐらい休んで神殿に行ってきてもらえばいいのかな?」
「それがいいと思うのである。アリィと縁がある故、ベルネゼブに戻る可能性があると思うのである」
その言葉にレナードさんもキースさんもホッとしたようだ。
「今日はもう遅い。アリノーリア王女も二人とすぐに離れたくないだろうし、三人で領主館に泊まってくれるかな。食事はもうすぐ隣に持ってくるはずだから」
「ありがたくお言葉に甘えます」
こうして挨拶は終了したわけです。
ちなみに話の間中食べていたクッキーでベタベタになった手は、キースさんに丁寧に拭いてもらいましたとさ。
ご飯です。さすがにレナードさんのお膝には乗れないし、応接室の隣の食堂には子供用の椅子が用意されとりました。
私の前にはお子様ランチならぬお子様プレートが。ミネストローネにハンバーグ、クリームパスタにロールパン、しかもジュース付き。
めっちゃ豪華。ベルネゼブに来る直前の数日は結構粗食だったから、余計に美味しそうに見える。
「うわぁ……」
「沢山食べてね」
「あい!」
大人も結構みんな美味しそうなもの食べているみたいだけど、とにかくこちらは綺麗に食べることに必死。
『あぅぅ、みんなごめんねぇ』
レナードさんやキースさんに代わって今日はモーさんたちが食事の世話をしてくれている。
『しゃあないやろアリィ。まだ赤子やねんから』
『そだよ〜。ずっとレナちんやキスキスが陣取ってたしさぁ〜。やっとアリきゅんのお世話出来てウレシいんだよ〜』
『ほれ、アリィ。頬についておるぞ』
『しっかり食べて大きくなると良いのだ』
「これはまた……」
「絵本の世界のような光景だね」
「アリィちゃん可愛いわねぇ〜」
保護者たちには生暖かい目で見られながらも、完食目指して頑張るよ〜。
「レナード君。食事はどうかな? こんな僻地だけど食事には自信があるんだよ」
レオナルドさんがレナードさんに話をふった。
「はい。美味しくいただいています。正直意外でしたが……」
「あはは。そうだよね。周りに何もないからねぇ」
「この町はギルドの町でもあるんだ。魔物の素材で潤っているからな。カテナ周辺の野菜の半分ぐらいはこの町に運んでいると言っても過言じゃないな。輸送の関係上、ベルネゼブに住める人数が決まってくるんだ」
「ですが、ベルゼネブに着くまで商人などとすれ違いませんでしたよ」
「ああ。魔物が出るからな。ひと月に一度隊商を組むんだ。あっちの方でも荷を途中まで運ぶ手筈になっているから、魔物が出ないバッフマの村までは荷を運んできてくれるんだ」
「バッフマの村が栄えそうですけど」
「まぁなぁ。でも月に一度じゃさすがに栄えられん。買い付けも選んでじゃなくて、まるごと買い付けだからなぁ。商人の腕を生かす機会がないんだとよ」
「ほとんどの食料を輸入に頼るからね。商人が介入して値がつり上がったりすればベルゼネブが干上がってしまう。だから領主間で契約を結んでいるんだ。ひと月にこれだけ買いますってね」
ベンさんの説明をレオナルドさんがフォローする。先物買い付けの考えか。昔の勇者様が考えたんだろうな。
「ベルゼネブは住むところはあるんだが、食料事情がその辺悪くてなぁ。賄える人数が決まっているんだ。だから加護持ち以外はあまり増やしたくないんだ」
なるほど、人口過密ってそういう話なのか。別に街中に人が溢れている漢字はしなかったものね 。もぐもぐ。
「魔物を討伐する人数が増えても」
「買い付けられる量を急には増やせんからな。しかも中央が混乱しているから、みんな食料を抱え込みたい時期だからな」
食事中でもお話は難しいわ。でもこれって。
『ねえねえ、ベルゼネブでお野菜採れたら解決するってことだよね』
『まぁな。この前、木の精霊にもろた種やろ?』
『うん。役に立つかな?』
『そやな。まぁ伝えとくのは悪ないか』
「あんな……」
「アリきゅんからみんなへのサプライズプレゼントー! なんと、木の精霊からもらった植物の種! ちょースゴくない!?」
あ、アイリスが言っちゃった。モーさんが地味にイラっとしてるわ。
「それは本当? アイリスちゃん」
「えー、アイリス嘘なんてつかないしー。疑うなんてちょー気分悪いしー。極悪って感じー」
極悪て。すごい言い回しもあったもんだ。
「あらら。気分悪くなっちゃった? 悪気はないのよ、許して?」
エイダさんは気にした様子もなく謝ってくれた。
「まぁ、驚くのも無理はないよねー。アリきゅんってばすごいからー。種はねー、アリきゅんが木の精霊を助けてあげたお礼にもらったんだよー。ちょービックリじゃないー?」
私もビックリだわ。私別に助けてないし。
「うん。もうビックリしちゃったわ〜。で、どんなのか教えてくれる〜?」
「キスキスが持ってるはずなのよー。ねー、キスキスー」
「だからキスキスは止めてと何度言えば……」
「アイリスに言うても無駄やで。諦めぇ」
「……そうだねモリッツ。種はあります。今は食事中ですし、また折りを見てお渡ししますので」
「木の精霊の力がどれほどかはわからぬからのぅ。すぐに育てるのがいいとは言えんじゃろうな」
「それでも、新しい一石は投じられるからね。良いものをありがとう」
大人たちの話が終わる頃には無事お腹いっぱいになりましたとさ。
「すまないが、最後に聞きたい」
食事の最後にお茶を飲みながら、レオナルドさんは話を切り出した。
「何でしょうか?」
「王妃は……姉はどうなったのだろうか?」
レオナルドさんの目には心配の色とは違う色が見える。
レナードさんとキースさんは顔を見合わせた後、頷いた。話すことにしたんだろうな。
「カテナ神殿で巫女も交えて話した結果、今回の騒動の原因は王妃様が呪い持ちになったからではないかと考えられます」
「本当か?」
「やはりか」
驚くベンさんに対し、レオナルドさんはため息をついた。予想していたのか。
「おい、レオ」
「今回の騒動は色々変だっただろう? 死んだのは前国王陛下一人。他は怪我人だけだ。新王即位も驚くほどスムーズだった。理由は南領伯の横恋慕だというのにだよ。その話は伏せられた風でもなくベルネゼブまで届いていた。おかしいじゃないか」
「まぁ、確かに……」
すごいよねぇ。他人の妻に横恋慕して国王倒しちゃうんだから。
ベンさんは納得してないようだけど口を閉じた。
タイミングを見計らったようにレナードさんが続きを話し出す。
「王妃様が呪い持ちになったために、代わりとしてアリノーリア様が生まれ、本来王妃様の使命であったベルネゼブに来ることになったのだろうと我々は考えました。我々がカテナを出る時に、信頼が置けるものを王城に派遣しカテナ神殿までお連れするように申しつけてあります。責任は私の貴族の名のもとに」
これって多分攫ってでも、が着くんだろうな。つか、レナードさん。実は結構上のほうの貴族でした? でもレオナルドさんは頷くだけだ。
「うん。それが最善手だっただろうね。すまない」
「いえ、我々は……」
「本当は姉が加護持ちだと気付いていたんだ。姉自身も分かっていたはずなんだけど。姉は前国王陛下に執着していたからね。愛していたと姉は言ったけど、依存や執着の方が合っていると思う。加護持ちとして王都を離れるなんて姉には出来なかったんだ。前国王陛下が亡くなっても、まだ気付けないほどのお馬鹿さんなんだよ」
レオナルドさんの独白に理解する。レオナルドさんはやりきれないんだろう。心配じゃなく、諦めと侮蔑と後悔と。そんな気持ちで話を聞いていたんだろうな。
「アリィのおかんは呪い持ちになってもうた。王都の呪いを解かなあかんからな。もうベルネゼブには来んよ」
「そうか。姉はやっぱり王都に縛られるんだね」
そう言うと、レオナルドさんは静かにお茶を飲み干した。
お話し合いはこれで終了です。
種に関しては植えてみないとわからない。ので、後々に話がわかるようになるはず。
次はお母ちゃんの話を別視点にて。




