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20 おんすてーじ

前回間違えて日曜日の15時に投稿しておりました。

月曜日の15時投稿は基本的に変えずに守っていきたいと思っています。

よろしくお願いします。


 疲労困憊で倒れている木の精霊さん。


『だ、大丈夫かな?』

『何でやねん。いつもアリィがわしにやっとることやろ』


 モーさんはぷりぷり怒ってる。でも、目が本当に恨めしそうにこちらを睨んでいるので、私は居心地が悪くなる。


『いや、自分がやる分には加減が分かっているというか、何というか』

『大丈夫じゃ。これは魔力循環ではなく魔力譲渡になる。器に入りきらなんだ水はこぼれるだけじゃ』


 苦笑しながらリューちゃんが説明してくれた。うぅ、リューちゃんが心の癒しだよ〜。


『じゃあ木の精霊さんが疲れたのは?』

『小さなコップに大量の水が一気に注がれれば驚くものじゃろう』

『なるほど』


 この世界について理解が進んでいるとは言い難い。断片的にしか情報が出てこないからかなぁ。

 とにかく魔力循環が出来るのが精霊で、出来ないのが妖精ってことかな。なぜ精霊だけが循環が出来るのかはさておき。

 知識をどうやって得るかなと考えていると、木の精霊さんがむくっと起き上がった。


『あ、起きた』

『むはー! スゴいねスゴいね! ビックリしちゃったよ!』

『元気そうじゃな』

『うん! とっても元気だよ! これで元気じゃないとか有り得ないね!』

『水の魔力だけでそれほどとは』

『もともと水より土の方が強かったぐらいだしね。いやぁ、何でも出来そうな気分だね』


 早口に木の精霊さんは話すとニコニコと私に笑いかけた。


『アリィ。何してもらうんや?』

『え、何かしてもらえるの?』


 特に私は何もしていないんだけど、魔力譲渡をしたから何かお礼がもらえるんだろうか。


『うん。何かない? トマト美味しくしたり、キャベツを甘くしたり』

『甘いキャベツは嫌かなぁ。メルヘンなのはお菓子の木とか、パンの木とか?』


 一体何がしてもらえるかもよくわからないので、適当に提案してみた。が、木の精霊さんはわかってないなぁと首をすくめた。首ないけど。


『それは無理だねー。そもそも新しい種を作るまでは僕では無理だし』

『木の精霊にもえらい人がいるの?』

『もちろん! それで、どうする?』

『うーんうーん。ちょっと待ってね』


 私は腕組みをして考えをまとめる。

 木の精霊さんができることはやはり植物関係だろう。

 今植物について困ってることはない。将来的なことを考えると……


『あのね。ベルネゼブって精霊が弱いんだよね。じゃあ食べ物ってどうしてるの?』

『さてな』

『ベルネゼブでも育てられるぐらい強い植物の種っていうのはどうかな。もし必要がなくても種なら邪魔にならないし』

『ええんちゃう? 妥当なとこやろ』

『種ならすぐ出来るよ〜。僕が気合い入れておけば強くなるはず〜』


 そう言うと、木の精霊さんは踊り始めた。

 どじょうすくい……いや、あれは土を耕しているのか? でもやっぱりどじょうすくいにしか見えない。


『気合いをいれて〜、いっちゃういっちゃう〜♪』


 木の精霊さんはツッコミを入れたくなるようなことを言うと、両手を頭の上で合わせてくるくる回り始めた。


『タケノコにょっきにょき♪ グングンにょっきにょき♪』


 この世界にタケノコってあるのかなぁ。

 どんどんシュールな雰囲気なのでぼんやり眺めていると、最後の仕上げとばかりに、頭を地面につけてグルグル回りだした。

 ああ、あるよねあんなダンス。なんだっけ、ヘッドなんちゃら。

 頭の上の花は大丈夫なのかと思うけど……


『フーー!』


 フィニッシュは今は亡き黒くて白くなったダンサーの決めポーズでした。

 花は無事でした。どういう仕組みになっているのかは不明だ。

 何となくパチパチしておきます。


『ああ、いい汗かいた。さて、いでよ種!』

『さっきのが魔法じゃないの!?』

『うん』


 えー、ダンスを見せられたのは単なるステージだったのか。色々混ぜすぎてえらいことになっていたけど。


『アリィ。一応あれな、魔力を馴染ませてたんで、意味はあったんやで』

『よかった。意味はあったのね』


 雑談はさておき。

 木の精霊さんの手からぽろぽろと大量の種が零れ落ちていく。

 あっという間に私の目の前には色とりどり、形も様々な種がこんもりと山になっていた。


『じゃーん』

『おお、さすが木の精霊さん』

『えへへー』

『で、この種はどれが何の種なの?』

『えー、わかんなーい』

『はぁ!?』

『植えたらわかるからいいじゃない』

『いや、蒔く時期がわからないと無駄になるし』

『なるほどー。じゃあそれだけ分けるね〜』


 木の精霊さんはそう言うと無造作に山を分けた。


『できた』

『いや、適当すぎない?』

『大丈夫大丈夫。こっちは春、こっちは秋ね』

『……木の精霊さんも連れて行って見分けてもらうとか?』

『僕は別についていきたくないからヤダ』

『そっかー』


 勧誘失敗。まぁ仕方ない。

 というか、この木の精霊さんがずっと一緒というのも疲れるだろうな。木の精霊さんがみんなこんなタイプではないかもしれないけど……そう願おう。


『まぁ、種をもらえただけでも、めっけもんやろ。気にしたらあかんで』

『らじゃ』


 別に落ち込んでいたつもりはなかったんだけど、モーさんに慰められました。優しいんだよねー、何だかんだ言っても。



 種はキースさんに袋に入れてもらった。

 種の出どころはモーさんやリューちゃんに説明してもらった。キースさんいわく

「アリィのことで、驚くのはやめにしたんだ」

 と言われた。うん、いいんだ別に。



木の精霊さんは仲間になりませんでした。

ドリアードって、もっと穏やかなイメージがあったはずなんですけどね。

なんかウザイ仕様になってしまいました。


まったりほのぼのを目指しておりましたが

このままベルネゼブに行くまでだらだら書いてもつまらんなと思うので

次は別視点で一気に話を進めちゃおうと思います。

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