13 ちょっとそこに座ってください
ぎりぎりセーフ? いや、ちょっと遅刻か!!
文字数少ないですが、とりあえずつなぎ投稿。
でも、大事なシーンではあります。
レナードさんは色々と連絡しに行くんだって。
キースさんは隣の部屋で神殿からの贈り物の整理をするんだって。
『ア、アリィ?』
『ちょっとそこに座ってもらいましょうか』
そう言って私はベッドの上をたしたし叩いた。もちろん私も、ベッドの上に座ってる。
『いやな、話せんことあってもしゃあないって言ってたやろ?』
『ちょっとそこに座ってもらいましょうか』
『……はい』
モーさんは私の前に座った。気分は正座だけどバランスが悪いのでまだ正座は出来ない。まぁそれはいい。
『モーさん。私は確かに話せないことがあるなら仕方ないって言った。言ったけど、それならこちらに漏らさないように工夫するなり何なりしてよ』
『えらいすんません』
『で、漏らしたからにはキッチリ説明してもらいましょ』
私がモーさんを睨むと、モーさんは頭をかいてしばらく考えていた。
『うーん。……もう新たなカードはしばらく出てこんやろうし。……ええよ』
何か諦めたようにモーさんはポツポツと説明しだした。
『はー。なるほどね』
話している時間は大したことなかったけど、中身が濃すぎる。
『大体そんなとこや』
『父親の顔は見たことなかったけど、死んでたかぁ。そして母親が諸悪の根源とは』
貴族の覇権争いとかドロドロ系ではなかったみたいだけど。
『いやまぁ、なぁ』
『産まれてすぐに親の尻拭い。うーん、人生ハードモードだね』
『アリィ。なんでそない冷静なん?』
『現実感がないね。だって幽閉生活からの逃亡生活だよ。精霊の加護持ちだけでもお腹いっぱいなのに、王位継承権まで言われちゃもうね』
ボスンと布団に倒れこんだ。話聞くだけで疲れるわ。一人何役よ。役の割り振り間違えてません?
これってやっぱり転生してるからとかなんかしら? イージーモードでいいんだけどなぁ。
『はぁ。どうしよっかなぁ』
『まぁ、あんまし悩んでもしゃあないで』
『うーん、どうなんかなぁ』
私は足をバタバタさせる。手もバタバタする。
どーも子どもの体というのはバタバタしないといけないらしい。確か前世で子どもの心臓は未発達だから、手足を動かすことで全身に血を送っているとか読んだな。だから、子どもにジタバタして欲しくない時はちゃんと暴れさせてからジッとさせないと、体がムズムズして我慢出来ないんだとか。
ひとしきり手足をバタバタした後、脱力する。
「はー」
ため息のような呼吸をした。ちょっと動いてスッキリした。
『大丈夫かいな』
モーさんが心配そうに話しかけてくる。横を向けばモーさんの目が不安そうに揺れてる。
私は自分のお腹をぽんぽんと叩いた。モーさんが首を傾げる。
『なんや?』
『乗って』
もう一度お腹を叩けば、モーさんがふわりと浮いて私のお腹に着地した。
モーさんの体を手で支えてのんびりと魔力循環を始めた。
『なんやねん、急に』
『手持ち無沙汰だから』
『普通、魔力循環っつーのはもっと集中してやるもんやねんけどな』
『まぁまぁ』
温かで気持ちよいものが体を満たす。ストレス解消に最適だね。使い方完全に間違ってるけど。
『とりあえずさ、私が女王とか無理だし』
『なんでやねん。力あるものが王になって問題ないやろ』
『帝王学とかそういう勉強が嫌なんじゃないんだけどね。こう、他人に厳しくするのって無理』
『ん? 勉強は嫌やないんか?』
『嫌いな勉強は確かにあるよ。でも勉強自体は好きな方。まだ小さいし時間あるから無理な詰め込みしなくてもいいんだし』
『まぁ、大人な分情操教育もあんまりいらんやろうしな』
『うん。問題は罰に対して甘い判断しか下せないだろうなってとこかな。渡り人で、もともと人の生き死にと離れて生活していたからね』
『そんなもん、誰かて最初は無理やろう』
『看守と囚人と同じで、役を割り振られたら案外いけるとか?』
『なしていきなり看守と囚人が出てくるんや』
『あー。昔実験した人がいたのよ。罪を犯してない人たちに一週間看守と囚人になりきって生活してね、って実験でね。別に罪を犯していないのに囚人は囚人らしくなるし、別に強くもないのに看守はえらそうに振る舞うようになったんだって。だから、私も姫や女王の役に割り振られて生活したら案外いけるのか、っという話』
『女王なりたいんか?』
『いや、なりたくないけど』
『けど、なんや?』
モーさんの言葉にしばし考え込む。
『んー……わかんないなぁ。』
『いや、無理に今答えを出さんでもええんやよ』
『うん。それはわかっているんだ。でもね、動くなら早くしなきゃって思うんだよ』
そう、それは婚活すらしなかった前世を思い出して。
自分の性格として、後回しできるものは後回しにしたい方なのはわかっている。
だけど、それは自分のことに関してだけだ。他人が関わることはなるべく早くしたいほうだった。
婚活は周りが関係していたはずなんだけど、結局は自分のことだという認識だったから後回しにし続けていたんだ。
でも、精霊の加護も王位継承権も自分のことという意識はない。
この「アリノーリア」という役に振られた仕事なのだ。
仕事ならば、きちんとしなければ。
『とにかくとっとと湖を作ってしまおう』
ということで、アリィちゃんは一部始終をモーさんに聞くのでした。
自分のことは適当でも、周りが関係すると真面目になるアリィさん。
とっとと湖を作るために、次話からチートじみていただこうかと。
次こそは、次こそは文字数増やしたいと思います。




