不良に絡まれる2
「えっと・・・あの?」
困惑した顔で、吉人は三人を見る。
「なんで囲まれたか、分かってないみたいなんだけど・・・?和」
チャラそうな男が、自分たちの後ろにいる男に視線を向けた。
「なんで、囲まれたか分かってない?」
その言葉に、後ろにいる三人ではなくて、めんどくさいことが大嫌いな男が反応する。
「二人とも・・・、落ち着いて。吉人君。僕、桐坂明。人と話すと眠くなる体質なんだ」
そう言って、少々苛立っている仲間二人を制して、唐突に自己紹介をしてきた。
「なんで、このタイミング?てか、眠たいのはいつもじゃん」
いろいろ、突っ込みたくなったのだろう。嬉々として、チャラそうな男は明に突っ込んだ。
「はあ、まあ、苛立っててもしょうがないよね。俺は、高雅咲。女の子大好きだけど、バイだから、どっちでも好きになったら、逃がさないよ!」
明に次いで、チャラそうな男改め、咲が自己紹介をした。そして、性癖までカミングアウトしてくれた。
「おい、咲。そのカミングアウトはいらんだろ。つーか、俺も自己紹介する流れだよな、これ。たっく、めんどくせえ。俺は、兵藤類。めんどくさいことが大嫌いだ」
大変、めんどくさそうに自己紹介をめんどくさい事が大嫌いな男改め、類はした。
「あとは、俺だな」
三人の後ろにいた人間が口を開いた。
「俺は、如月和哉。不良だ」
類より、短く簡潔な自己紹介をした和哉は、吉人に近づいてきた。
「お前、なんで囲まれてるかわかってないんだってな」
にやりと冷たい笑顔を浮かべる。
「じゃあ、説明してやるよ。俺のダチが、昨日、ぼこぼこにされて病院送りにされた。まあ、不良では良くあることだ。だが、そいつは半端なく強い。俺には敵わないが。しかし、そいつが俺に言った。『吉良沢吉人にやられた』ってな。しかも、聞いてみるといきなり襲われたっていうじゃねえか。確かに俺たちは不良だが、ルールってもんがあんだよ。だから、その不良にのルールを破って、不意打ちしたお前に今度は俺たちが不意打ちして病院送りにしてやろうかと思ってな」
不良の世界は、吉人にはよくわからない。だって、不良になったことが一度もないから。別に、憧れてはいないけれど、嫌悪もしていない。ただ、別の世界の人間なんだと思う時がよくあるだけだ。
しかし、そんな不良にもルールがあるらしい。
なんの、ルールを破ったかは知らないが、吉人には全く身に覚えのないことだ。
「人違いでは・・・」
「他に、このあたりで吉良沢さんを捜したが、吉人君というのはお前だけだった」
捜しまわったらしい。仲間のために。それはそれはいいことだろう。しかし、吉人に取ってみたらいい迷惑なのだ。
「・・・ごめんなさい、人違いです」
「なんで、そう言い切れる?」
すごまれて、泣きそうになったが吉人は泣くのを我慢して、和哉に答えを返した。
「だって俺、昨日はどこにも出かけていないし、それにそのあの、如月さんの友人をみたことありません。最後に、俺、超弱いですから」
自慢じゃないが、これだけは確かだ。家を出ていない証拠がないと言われても言い返せないが、弱いって事なら確実に証明できる。
まず間違いなく、不良の中で弱い人にも一発で倒されるだろう。そんななのに、超強そうな如月の友達に喧嘩を売って勝てるはずがない。ましてや、病院送りなんて、もっと出来るはずもない。
「知るか、そんなもん。お前が別人でもそうじゃなくても俺にはあんまり関係ねえ。吉良沢吉人を倒したってことに意味がある」
そう言って、如月はこぶしを振り上げた。
もう、そこに迷いもなんにも感じられなかった。
「はーい、和ストップ。わざわざ、和の手を汚さなくても。舎弟にやってもらえばいいじゃん」
笑顔で、末恐ろしい事を言う、咲。
「それもそうだな。じゃあ、テメーら、こいつを病院送りにしてやれ」
そう、冷徹な声で命ずると十人ぐらいの白川高校の制服を着た不良が出てきた。
「「「「「了解」」」」」」
元気よく、声を合わせて了承すると、一斉に吉人に向かってきた。
「ごめんね、吉人君~。非常に俺好みなんだけど、和のダチを病院送りにしちゃったからね~」
そう言い残すと、巻き込まれないようにさっさと吉人から離れた。
「吉人君・・・。和を怒らしちゃだめです。僕も側にいたいけど・・・痛いのは嫌ですから」
静かに、何度も何度も吉人の方を振り返りながら明も吉人から離れた。
「たっく、俺は巻き込まれたくないからな。じゃあ、精々死ぬなよ」
類は、吉人にふっと笑うとその場を離れた。
なんか、不良の三人、明、咲、類が悪者に・・・。でも、三人は不良なんですけど、優しい人達なんですよ?本当は。でも、和哉の事が大好きで一番大事な物なんで、こればっかりは非情になるしかないんです。分かってあげてください(>_<)
因みに、咲君はバイですけど、和哉のことは恋愛感情を凌駕した感情なので、恋愛にはなりません。




