表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄なんて簡単に言うな!ホントは嬉しいけど、復讐させてもらいます!─女騎士になったとある令嬢の物語─  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
✦ 第5章【番外編】ティニー×ギンス IF

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/52

別れの書簡と騎士の決意

レーガはデスクに座ると、静かにティニーからの手紙をしまい込んだ。


「くっ……」


折れた足がまだ痛む。ドラゴンと対峙した時に受けた傷は数多く、動くたびに痛みが走った。


手紙は、婚約解消を告げられたティニーが、いまだ前向きな内容を送ってきたものだ。


深く息を吐いた。


「……彼女は変わらないな。オレは、心まで折れているというのに」


隣にはフィオナという遠縁の令嬢が座っていた。彼女は、ドラゴン討伐で負傷したレーガの看病に来ている。


幼い頃から懐いてくれているとはいえ、年頃の令嬢をそばに置くのは気が引けた。帰るように告げても、“だって、私はいずれレーガの妻になるんだもん!”と言い張っている。


フィオナは本気でレーガの妻になろうと考えていた。


――正式な婚約解消を記す書類を机に出した。


ティニーときちんと付き合えたのはわずか2週間ほどのことだ。だが、彼女の明るさや逞しさ、輝く笑顔には確かに心を揺さぶられるものがあって、心惹かれてやまなかった。


戦いを終えた後は、当然、夫婦になるつもりでいた。


しかし、全身傷だらけの今、騎士団長としての任務を全うできないばかりか、長期離脱を余儀なくされる状況で兵士としても役に立てない。


そんなことで、ティニーとの婚約を続けるわけにはいかないと思えた。


(ティニーは辺境伯の娘だ。戦闘経験もある。彼女の前では、常に強くありたい)


見栄っ張りかもしれないが、そう考える自分がいた。


だからこそ、こうして婚約解消を正式に記す書類を用意した。


レーガはペンを取ると淡々と記した。封を閉じると、屋敷の者に託した。


「……これで、すべて終わる」


目を閉じると、自然とティニーの姿が浮かんだ。こうしてすぐに彼女が思い浮かぶのに、何を感傷的になっているんだ、と思うと自分が情けなくなった。


その一方で、手紙を託したことで少しだけ安堵している自分もいた。


(オレは……情けない男だな)


自責の念に駆られていると、フィオナが口を開いた。


「レーガ、ため息ついてどうするの? もともとは殿下から押し付けられた婚約でしょう? さっさと解消すべきだったわ。だって私がいるんだし」


彼女はレースのついたピンクのドレスがまだまだ似合う年齢だというのに、腕を組んでもっともらしい表情をつくっている。


「フィオナはそんなことを言う年齢になったのか?」

「もう!そういう年頃なの!」


プリプリと怒る様子に、まだ幼さが垣間見えた。


「頼もしいな。フィオナから見れば、オレはおじさんだろう?」

「ぜんっぜん!レーガはいつだって私の王子様なの!」


彼女の手がレーガの手を握った。


「オレを王子様だなんて……ありがとう」


レーガの口元に、わずかな笑みが浮かんだのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ