表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄なんて簡単に言うな!ホントは嬉しいけど、復讐させてもらいます!─女騎士になったとある令嬢の物語─  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
✦ 第5章【番外編】ティニー×ギンス IF

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/52

涙とビールと真っ直ぐな告白

ギンスの言葉に驚いていると、ギンスはビールをグイと飲んだ。


「……もう、酔ってる?」

「酔うか。飲み始めたばかりだ」

「ギンスが言う“好き”は、友としてとか仲間としてという意味だろ?気にしてくれるのは嬉しいけどさ、そういう言い方はよくないよ」


さっき、ギンスはグシャグシャになった手紙を見ていた。なにかを察したのは間違いない。


(私を慰めようとしているのだろう)


「あのな、前に野駆けした時、オレはお前に告白したんだぞ。風のせいで聞き取れてなかったみたいだけどな」

「あの時……」


風が強く吹いた時にギンスが何か言ったのは覚えている。だけど、些細なことだと思って大して気に留めなかった。


「あんた本気?」

「本気。だから、なにがあったのか聞きたい」

「……」

「また、だんまりかよ」


ギンスはまたビールを飲んだ。もうジョッキに残ったビールは少ない。


「おかわりするけど、どうする?」

「私はまだいいよ。あんただけ頼んで」


店員に追加のビールを頼むとギンスは話し出した。


「実は、団長が大怪我してから軍を辞めるかもしれない、という噂を聞いたんだ。だから、お前とのこともどうなってるのかと気にしていた。……ベッドに置いてあった手紙、団長からだろ?よくないことが書いてあったんだよな?」

「……そうだよ」


泣いていた顔を見られているからごまかせない。


「いずれ皆にも知られることだろうからきちんと話すよ。……レーガ様から婚約解消を提案する手紙だったんだ」

「……なんでそんなことに?」


ティニーがレーガの意思を話すと、ギンスが複雑な顔をした。


「同じ騎士としてはわかる気もするけれど、一方的に決めるのはよくないよな」

「私、どうしたらいいんだ……」


下を向いたティニーにギンスは言葉を飲み込んだ。


そこに、新しいビールを店員が持ってきた。ギンスはビールをグイと飲んだ。


「もどかしいよな」


ティニーはうなずいた。


「……やっぱり2週間の付き合いじゃ、分かり合うことなんて難しかったんだよなあ」

「人によるんだろうが、難しいだろうな」


ギンスの言葉が終わりを明確にするようで心臓が痛んだ。


「お前は諦めるつもりでいるのか?」

「……あんたはそれを望んでいるんじゃないの?」

「ティニーがそれを望んでいるなら、オレとしてはもちろんその方がいい。だけど、くすぶる気持ちがあるなら解消しなくちゃいけないだろ」


優しくギンスが微笑んだ。


「あんたってお人好しでもあるね」

「だろ。こんないい男、なかなかいないぞ」

「そうかもしれない」


自然とおかしい気持ちになってティニーは笑った。


「私、手紙でレーガ様に自分の気持ちを伝えたけれど、伝えきれなかったのかもしれない。だから……私はやはり現地に行かなくちゃいけない気がしてる」

「そうか……」

「ごめん。あんたがその私に気持ちを伝えてくれたのに」

「言ったろ。くすぶる気持ちがあるままじゃいけないって。すっきりしたらオレが受け止めてやるからさ」

「……重ね重ね、申し訳ないな」


ティニーが謝るとギンスが手を振った。


「やめろよ。ところで、どうやって行くつもりだ?殿下に頼むのか?」

「うん。ナリオーネ様にも力になってもらうよ」

「ナリオーネ様はお前のこと、大好きだからな」


ヘンリーニはナリオーネに甘いから、いいように取り計らってくれるかもしれないと、淡い期待を抱いている。


「じゃあ、そろそろ帰ろうぜ。少しは落ち着いたか?」

「うん。あんたのおかげ。何をしなくちゃいけないか、わかったよ」

「よかったな」

「うん」


2人は店を出ると、夜風に吹かれながら並んで歩いた。街灯の下、ティニーの足取りは少しだけ軽くなっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ