表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄なんて簡単に言うな!ホントは嬉しいけど、復讐させてもらいます!─女騎士になったとある令嬢の物語─  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
✦ 第4章 【番外編1】フィオナの婚活編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
35/52

モテすぎ騎士にドキドキしてしまった午後

訓練が終わり、騎士たちは剣や槍を片付けている。


「さて行こうか、フィオナ嬢」


ウルバーノはさりげなくフィオナの横に立った。


「……ええ。散歩でしたよね?」


フィオナは心臓が少し早く打つのを感じながら尋ねた。


「散歩しながらスイーツ店に行かない?たぶん、フィオナ嬢も好きだと思うんだ」

「男性ならばスイーツよりもお肉じゃありませんか?」

「僕は訓練後の甘い物も好きだよ」


楽しげに言う。フィオナはその余裕に少し圧倒されそうになった。


(ウルバーノ様は、やっぱり女性に慣れているんだわ)


道中も通りすがる女性たちに声をかけられていた。その度にウルバーノは笑顔で軽く応えている。


フィオナが立ち止まった。


「どうしたの?」

「ウルバーノ様に女性のウワサが絶えないというのが分かった気がしますわ。私、そのような方はやっぱり伴侶にふさわしいとは……」

「待って」


ウルバーノは寂しそうな顔をしていた。


「僕は女性をたぶらかしたり傷つけたりするのは信条じゃないよ。ただ、冷たくするつもりもないから勘違いされやすいんだ」


(自然とモテてしまうってこと……?)


ため息をついた。人を自然と惹きつけてしまう人は一定数いるのかもしれない。


「今日、1日僕とデートしてみてからでも判断するのは遅くないんじゃないかな?」

「……そうですわね」


ウルバーノは持参してきたフードを頭からすっぽり被ると歩き出した。


「暑いのでは?」

「これを被っていたら、僕だって分かりにくいだろう?」


ウィンクされた。


そのまま、午後の柔らかな日差しの中のスイーツ店へ向かって歩き出す。


自分に対する配慮だと思うと、少しくすぐったい気がした。


――だが、スイーツ店に着いて彼がフードを脱ぐなり、さっそく女性店員たちや客の女性に囲まれていた。


「あら、ウルバーノ様!いらっしゃい~」

「きゃあ、ウルバーノ様とここで会えるなんて嬉しい!」


次々と近づいて来る女性店員と女性客たちに、フィオナは途端に現実に引き戻された。


(なんなのこれ……デートどころじゃないわ)


予想以上の出来事に冷めた気持ちでいると、ウルバーノは彼女たちに言った。


「こちらのフィオナ嬢とデート中なんだ。悪いけど2人の時間を見守ってくれないかな?」

「ええ~!?」

「頼むよ」


困ったように手を顔の前で合わせる彼に、彼女たちはブツブツ言いながら離れていく。


「良かったのですか?」

「どうしてそんなことを言うの?僕たちの時間がなくなってしまうところだったよ。って、僕のせいだね。ごめんね」

「……べつにいいですわ」


ウルバーノはさりげなく椅子を引き、フィオナを座らせた。


「ここはチョコレートタルトがオススメだよ。濃厚でほっぺたが落ちそうになる」

「ならば、それと紅茶を」

「僕はもう1つのオススメのシナモンパイを頼むからそちらも食べてみてね」

「え……」


彼は慣れた様子で注文すると、ニコニコと騎士団の話などをしていた。


「フィオナ嬢って、情に厚いよね。最初はなんだか怖そうな令嬢だなと思ったけど、怪我したヤツの手当も率先してやってくれるじゃない。ステキだなと思って」

「そんなこと……当たり前ですわ」


スイーツが運ばれてくると、ウルバーノは一口分のパイをフォークに取り、フィオナに差し出した。


「はい、あ~ん」

「そんな……恥ずかしいですわ!」

「お願い。食べてみて」


仕方なく口を開くと、ウルバーノが楽しそうにフォークを口に運んだ。


「おいしい……!」

「でしょ?」


女性たちからの視線を感じて、ちょっとした優越感がわいた。


(女性に人気のウルバーノ様にあ~んされるなんて、悪くないわ)


「かわいい」


ウルバーノがフィオナの手を取ると、まわりがざわめく。


「まだ、手を握るのは早いですわ」

「なら、もう少ししたらいいってこと?」

「もう……」


店を出ると日は傾きかけ、柔らかく街路樹を照らしていた。意外と盛り上がって話してしまったようだ。


2人は並んで歩いた。


「美味しかったですね」

「うん、こういうのも悪くないでしょ?」


大人の魅力が漂うウルバーノに、フィオナは思わずドキリとした。


(いやだわ。私、こんな簡単な女じゃないわ)


つかみどころのないウルバーノにペースを乱されつつ、帰途についたフィオナだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ