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婚約破棄なんて簡単に言うな!ホントは嬉しいけど、復讐させてもらいます!─女騎士になったとある令嬢の物語─  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
✦ 第3章 交差する想い、紡ぐ未来

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ヘンリーニの降伏&感謝とレーガの揺るがぬ誓い

その時、皆の前に颯爽と現れたのは、ヘンリーニとナリオーネだった。


「なにを騒いでいた?」


ヘンリーニが尋ねると、レーガが頭を下げた。


「とある馬鹿者が令嬢に暴力を振るったので、牢屋に連れて行かせたところです」

「女性に暴力など、許しがたいな」

「本当ですわ。きっと、ティニーがかっこよく助けてあげたのでしょう?あなたのファンがますます増えてしまうわね。ただでさえ、ティニーのファンはどんどん増えて私、嫉妬しているのに」


ナリオーネの目がウルウルする。


「いえいえ、私はほとんどなにもしていませんよ」


ティニーはドレス姿のままひざまずいた。


「それよりも、ドレス姿でなければ私もナリオーネ様にダンスを申し込むところですのに」


手を上げられたのがレーガの親類だったと知られない方がいい気がして、ティニーは話をそらした。


「まあ。ティニーったら。私はドレス姿のあなたでもいいわよ。だって、私はもうティニーがどんな姿をしていても好きだもの♡」

「うっ、私の心臓はナリオーネ様に撃ち抜かれてしまいました」


ティニーはナリオーネに合わせて大げさに心臓を抑えた。


「なにを毎回、見せられているんだ、私は!」


いつものごとくヘンリーニが怒っていた。


「ナリオーネ、踊るなら私と踊ろう。ティニー、もう頼むから私の恋人を誘惑しないでくれ」


ヘンリーニはホントに困ったような顔をした。


(へへ、やっと私の女性を魅了する力を認めたか。気持ちいい)


「誘惑なんてしませんよ。ナリオーネ様のお相手は殿下しかいらっしゃいません」

「おお……お前に言われて、なんだか嬉しい気がしてしまうのはなぜだろう」


ヘンリーニは満足げな笑みを浮かべた。


「まあ……私もお前には厳しくしてしまった面もあったが、今となってはナリオーネを大切に守っているし、彼女を誘惑する以外は私には異存ない。これからも頼むぞ」


初めてヘンリーニがティニーに感謝の言葉を示した。


これには思わずティニーも少し、ジーンとしてしまった。


そんなティニーの肩をレーガが優しく抱く。


「私の婚約者はとても素敵な女性でしょう?殿下がナリオーネ様に一途なように、私も彼女に一途に尽くします」


高々と宣言すると、まわりがざわめいた。


「ちょ、ちょっと団長!」

「レーガ、だ。もう団長呼びはしないでくれ」


大勢の前で愛の言葉を宣言するなんて、普段の彼からは考えられなかった。彼は派手なことを好むような人ではない。


「あーあ、オレの入る隙間なんて全くなくなったじゃねえか……」


ギンスが小さくぼやく。


「ギンス、悪いな。隙なんて1ミリもないぞ。諦めろ」

「はいはい、邪魔者は退散しますよ……」


ギンスは肩をすくめると、ワイングラスを持ったまま人混みを抜けていった。背中越しに軽く手を振っている。


「オレたちも踊ろう」


レーガがティニーに手を差し出した。


「はい。何気に初めてですね。団長……いえ、レーガ様とダンスするのは」

「ああ。だから、絶対に誰よりも君と先にダンスすると決めていた」

「……急に積極的ですね」

「あいつのおかげかな」


チラリとやった視線の先にはギンスがいた。彼はワイングラスをあおっていた。


「あいつはまだティニーのことを想っているかもしれない。だが、オレは隙なんて与えない。だってオレは君が好きでたまらないからな」

「レーガ様……!」


急に情熱的に言葉を発するようになったレーガに、ティニーはたじたじになった。


――ギンスはすることもなくなってワインを飲んでいた。


「たく、なんだよ。つまらねえ」

「ねえ、飲み過ぎじゃない?」


声をかけたのはフィオナだった。


「大丈夫。オレは酒に強いんだ。それより、君は大丈夫なの?団長を好きだったわけだろう?」

「もう、それは終わったの。はい、これお水よ。顔が真っ赤だわ」


フィオナから差し出された水のグラスをギンスは受け取る。


「どうも……」


その後、ギンスとフィオナは、互いに言葉を交わしながら静かに話を続けていた。

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