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婚約破棄なんて簡単に言うな!ホントは嬉しいけど、復讐させてもらいます!─女騎士になったとある令嬢の物語─  作者: 大井町 鶴(おおいまち つる)
✦ 第2章 騎士たちの恋心、揺れる想いとすれ違いの予感

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18/22

野駆けに揺れる想い――どうすればいい?

風が頬を撫でて草原の匂いが鼻先をくすぐる。


「なんて言った?」


ギンスがなにやら言ったけど、波の音と風の音が合わさってよく聞き取れなかった。


「もう一回言って」

「……いや、またきちんとした時がきたら言うよ」


ギンスは立ち上がると、手をティニーに伸ばした。


「ここは落ち着くよな。また来ような」


ティニーが笑顔を向けると、ギンスが少し赤い顔でうなずいた。


「なんできちんと返事しないんだよ。うなずくなんて、どこかの令嬢か!」


突っ込むと、ギンスがうるさそうな顔をした。


「たまにはいいだろ。そろそろ行こうぜ」


朝早く出てきたのに、もう太陽は頂点を超えている。帰る頃だった。


――城に戻ると、部屋に手紙が届いていた。


レーガからだった。


「手紙?」


しばらく放っておいてくれといったから、手紙を書いたらしい。


≪ティニーへ


直接話すべきだと思ってはいるが、このままでいるのは心苦しく、手紙を書いた。嫌な気持ちになるかもしれないが、どうか最後まで読んでほしい。


オレは、ドラゴン退治の任務の間、長らく君に会えないことがとても寂しかった。


長い間会えずにいて、君がオレから心が離れないかと心配もした。


だから、戻ってきた君が元気そうで安心したんだ。だが、ギンスと模擬戦をする姿を見て、心は穏やかではいられなかった。


君がずいぶんとギンスに心を許しているように見えたから。


こう書くと、まるで君を責めているようだな……。


フィオナのことはすまない。


彼女とは確かに一時期婚約者としていたこともある。だが、それは正式なものではなく、フィオナのための約束だった。


これは、君と直接会った時に話したい。


オレの行動が君の心に不安を与えたことを痛感している。君を傷つけるつもりは微塵もなかった。


むしろ君を守り、尊重したいと思っている。オレの配慮が足りず、君に辛い思いをさせたことをどうか許してほしい。


レーガ≫


ティニーはその手紙を読み終えると、ベッドに仰向けに寝ころんだ。見えるのは天井だ。


(野駆けの時に見た青い空とは違って爽快感はゼロだな)


今の自分の心みたいだと思えた。


外の風がカーテンを揺らす。


(何が正しくて何を信じればいいのかな)


ティニーは目を閉じ、1日を振り返った。


野駆けに誘ってくれた良き仲間、そして、殿下に紹介され婚約した騎士……


「あーあ、やっぱり結婚なんて面倒だな」


でも、レーガの手紙からは、彼の自分に対する気持ちも少し感じることができて、正直嬉しさを感じた。


「恋愛初心者の私にはよくわからないよ。どうすればいいのか」


ひとりごとが部屋に静かに響いた。


誰かに頼りたい気持ちもあるのに、素直になれない自分がいる。


ふと、窓の外の夜空を見上げると、とうに日は暮れて星は遠くに見えた。


「ダメだな。いつから私はこんなに不安定になった?」


ものすごく乙女な気持ちになっていて、自分で驚いた。


「これって、ちゃんと恋愛してるってことかなあ」


ティニーはそっと目を閉じた。星の光が、遠くから静かに彼女を見守っているように感じられる。


(答えはまだ出せない。でも、誰かを想って揺れる心は、きっと間違いじゃないよな)


今は焦らず、自分の気持ちに正直でいたい。そう思えた。


「……明日も、ちゃんと私でいよう」


ティニーは深く息を吸い込むと、静かに呟いた。


夜は静かに更けていった。

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