第九百十九話
念の為某局のクルーと陸軍部隊を広げた尻尾で守っておく。指向性を持たせるので彼らに被害はいかない筈だけど、コントロールしきれない神気が漏れるかもしれない。
「たっ、玉藻様。尻尾で隠すのは奴らに見えなくして俺達を処分する気じゃ・・・」
「そなたらを処分するなら神敵認定すれば済む話じゃ。妾が態々手を下す必要もあるまいて。彼らを神気から守るだけじゃよ」
仮にも神の使いに対して何て疑いかけるのか。マスゴミ潰すならコソコソやらずに表で堂々と潰してあげるよ。
今の不敬な発言も君等を潰す理由の一つになるから、その時を楽しみに待っていてほしいな。などと考えつつも神気の抑制を緩めていく。
「なっ、何だこの感じは!」
「えっ、ちょっ、待って待って!」
指向性の神気を浴びたマスコミは異常を感じて慌てだした。しかし何をしようと症状は軽減されないし、逃げる事は許さない。
「どうしたのじゃ?僅かに妾の神気を漏らしただけじゃぞ。まだ序ノ口とも言えぬ程度でその醜態かえ」
取材陣の面々は俺の煽りに何も返さない。神気に耐える事で精一杯で、言い返す事が出来ないのだ。そんな事はお構いなしに神気の抑制を更に下げる。
「情けないのぅ、妾の一割にも満たぬ神気を浴びただけで動けぬか。素戔嗚命様の神気は半神たる妾の比ではないぞえ。そなたらがまともに受ければ魂が消し飛ぶやもしれぬな」
顔を蒼白に染めて震えるマスコミ達。俺の脅し文句が効いているのか、神気に耐えられないのか、はたまたその両方か。
「彼らがそなたらを止めた理由、理解できたかの。純粋にそなたらの身を案じた者達を妬むその性根、人として恥ずかしいと思わぬか?」
と偉そうに説教垂れてみたものの、対象であるマスコミ達は誰一人としてそれを聞いていなかった。神気に耐えられず、全員が失神していたからだ。
「神使様は神気を彼らにだけ向けられたそうだが、それでこの重圧か・・・」
「済まぬな、神気の制御が完璧ではない故漏れてしもうたようじゃ。気分が悪くなった者はおらぬか?」
マスコミへの苛立ちが強かったせいか、神気のコントロールが少々甘くなってしまったみたいだ。取り敢えず神気は完全に抑えておこう。
「ご心配をおかけしてしまい、申し訳ありませぬ。任務に支障を来す者はおりませぬのでご安心を」
「ふむ。では奴らの処理も含めて後を頼むぞえ」
想定外のトラブルで少し時間が押している。失神した連中の始末を含めた処理を彼らに丸投げしてダンジョンに向かう事にした。
ちなみに、半神とはいえ五尾になっている俺の神気は決して弱い物ではない。しかし三貴子の一柱である素戔嗚命様とは雲泥の差があるのだ。
それに、素戔嗚命様はダンジョンで神気を抑えず行動されると俺は踏んでいる。そんな所に只人が居れば間違いなく魂は無事に済まない。
と言うより、下手すると俺も無事ではないかもしれない。素戔嗚命様、俺が居る事忘れないでくれると助かるなぁ。




