第九百十話
会見を終えた俺達は会見が始まる前に居た控室に戻ってきた。ソファーに座り職員さんが出してくれたお茶で喉を潤す。
「随分と強硬な言い方をしておったが、反感を買うのではないかえ?」
「我々は先の騒動で彼らに厳しい処分を下しました。総務省はマスコミ各社の愚行を野放しにしないという方針を態度で示したつもりだったのです」
伊東政務官が怒りを滲ませた声で俺の問に答える。そしてその口調は段々と加速していった。かなりお冠なようだ。
「神々のご依頼に関わる重大事項を裏取りもせずに報ずるとか、頭の中身が合わせ味噌でも詰まっているのではないかと疑うレベルです」
「神敵認定という発言は、今上陛下からのお許しが出た上での物であります。即ち帝国の意思となりますので、何ら問題はありません」
非協力的な者を神敵認定するという発言の正当性を糸政務官が説明してくれた。陛下公認ならばマスコミも文句は言えまい。
「玉藻様、神々がダンジョンの設定変更をなさるのは神々にとって必要という訳では無いのですね」
「その通りじゃ。神々は万が一の場合に備えダンジョンに干渉する術を求めておった。それが確立された以上、現段階で神々がダンジョンの設定変更を行う必要は無いのぅ」
ダンジョンの管理室への侵入法や各種設定変更の方法は皇居ダンジョンにて確認された。大宮ダンジョンでも同じ方法にて行えた為、それが他のダンジョンでも通用する事も証明された。
この時点で神々が俺に依頼して知りたがっていた事は全て知る事が出来た訳だ。今回のダンジョン貸し切り事案はその延長に過ぎない。
「つまり、神々の御不興を買えば今後ダンジョンの設定変更が為されない可能性が高いと言う事になりますね」
「奴らはそこを分かっていません。一度受けた恩恵はその後も受けるのが当たり前、受けられなければ不当だと考えるでしょう」
「その考え方、どこぞで覚えがあるのぅ。一度報道各社の者達の身元を洗い直した方が良いかもしれぬぞ」
今世も同じかどうかは分からないが、他国でそんな考え方をする者達が居た記憶がある。以前関中佐が大陸や半島の者が浸透していると言っていたし、可能性はゼロではないだろう。
「実際、警察内部に半島からの間諜が入り込んでいた前例もあります。警察より身元確認が甘い民間会社ならばその可能性は高いかと」
「司法機関に他国の手が回っていたと・・・我が省内も洗い直した方が良いかもしれません」
関中佐の補足説明を聞き、伊東政務官が考え込んでしまった。これまでマスコミへの対応が緩かった理由、それかもしれないな。
「誤報が思わぬ所に飛び火しそうな気配じゃが、獅子身中の虫を駆除出来るなら良いのじゃろうな」
「玉藻様と陸軍への偏向報道が出るやもしれませんが、徹底的に膿を絞り出す所存です」
ここで総務省が大鉈を振るえば、切っ掛けは陸軍や俺だとマスコミは判断するだろう。となれば自身を正当化し俺達を悪者にして自衛するか。
でも、SNS全盛のこの時代にそんな情報操作が上手くいくのかな?




