第九百七話
「宮内省との話し合いで、正しい内容を公表する事となりました。あちらで会見を開く手筈になっているので、すぐに移動致します」
「神々の御意向が絡むから宮内省主導になりますか。中佐がよろしければ俺は何時でも構いません」
ここでするべき仕事もなく、準備する物も無い。中佐が行けるならば今すぐに行っても構わない。中佐も準備は出来ているとの事で、中佐と二人待機していた車に乗り込む。
どうやら俺が出勤したらすぐにでも移動出来るよう準備をしてあったようで、乗ると同時に車は宮内省に向かって走り出した。
「神使様、関中佐、お待ちしておりました。会見は十時に開始すると通達しておりますので、こちらでお待ち下さい」
宮内省に到着すると、官僚らしき男性が待ち受けていて待機する部屋に通してくれた。ちょっと豪華な応接セットに冷たいお茶と茶菓子が置かれている。
「中佐、神意を伝える会見ならば玉藻で出た方が良いですね」
「玉藻様の姿になるかは神使様のご判断にお任せ致します」
中佐はどちらにしろとは言わなかった。しかし、滝本優の姿で会見するより玉藻の姿で会見する方が効果は高いだろう。
「本日の会見には宮内省と総務省のそれぞれを担当する政務官も同席致します。説明は主に本職が行いますが、補足などありましたら適時お願い致します」
「総務省の政務官は誤報への対応じゃな。この短い期間でまたやらかすとは思うておらんかったのじゃろうが、監督責任は果たしてもらわねばな」
全てのマスコミの行動を毎日欠かさず監視するというのは無理な話だ。なので今回のようなやらかしを未然に防げというのは無茶振り以外の何物でもない。
それに、ついこの間マスコミ各社は厳しい処分を受けたばかりだ。にも関わらず再びやらかす事を予測するのも無理な話である。
ドアがノックされ、高そうなスーツを着こなした男性二人が入室してきた。俺達の前で直立した二人は、深々と頭を下げる。
「神使様にお目通りを許されました事、光栄に存じます。私は宮内省担当の政務官で糸と申します」
「マスコミがご迷惑をおかけした事をお詫び申し上げます。総務省担当の伊東と申します」
二人ともかなり真面目そうな人物だ。しかし糸さんと伊東さんとは・・・狙って任命したのかな?
「丁寧な挨拶痛み入る。妾が玉藻じゃ。二人とも、妾が素戔嗚命様より受けた依頼を承知しておるか?」
「はい。素戔嗚命様が地上に影響が出ても問題ないダンジョンをご使用になりたいと玉藻様に仰られたと伺っております」
俺の問いに糸さんが淀みなく答えた。伊東さんの態度や表情は変わらなかったので、彼の認識と違っている事も無かったのだろう。
「うむ、それで合っておる。会見では関中佐がそれを説明する故、二人には良しなに頼む。それはそうとして、座ってはどうじゃな?」
立ったままの二人に座るよう促す。一応ソファに座った二人だったが、体の各所に無駄な力が入っていて緊張している様子だった。
会見が始まる前からこんな調子で、二人とも大丈夫かな?
尚、この時点ではバーベキュー大会の情報は今上陛下に漏れておりません。




