第九百三話
「どこを見ても大宮ダンジョンの話題じゃのぅ」
「一般の探索者が初めて設定変更の恩恵を受けられるんだ。それは仕方ないだろう」
夕食後、皆でコンビニスイーツを食べながらニュースをチェックしていた。しかしテレビのニュースは大宮ダンジョン一色で、一カ所だけとあるコンビニが大繁盛しているという情報を扱っていた。
「あのコンビニ、このスイーツを扱っている系列店舗よね」
「たまたまこれらを買ってきた日にそこの話題が取り上げられるとは奇遇じゃのぅ」
母さんが俺を見ながら聞いてきたので、取り敢えずしらを切っておく。特定のコンビニが繁盛しているのと俺が寄り道した事に明確な因果関係は確認されていない。
「SNSではかなり話題になっているのに、テレビでは出ないわね」
「あの系列がスポンサーになっておらぬ局が取り上げて宣伝となるのは問題があろう。特にライバル系列がスポンサーの局は絶対に取り上げぬじゃろうな」
逆に言うと、それを報じていた番組はあの系列がスポンサーになっていると言う事だ。
「玉藻お姉ちゃん、もう一つ食べたいなぁ」
クリームがタップリと入ったシュークリームを食べ終えた舞がおかわりを要求してきた。何故俺に強請っているかというと、買ってきたアイスやスイーツは迷い家の冷蔵庫にしまってあるからだ。
迎賓館の調理場の冷蔵庫に置いてもらうのも悪いので、迷い家の冷蔵庫にしまっておいた。なので俺が迷い家の入り口を開けないと取りに行けないのだ。
今俺が玉藻になっているのは、先程スイーツを取りに行ったのでそのまま戻っていなかったからである。決して母さんと舞、アーシャがスイーツを食べながら尻尾をモフる為ではない。
「まあ、もう一つくらい良いだろう。賞味期限の問題もあるしな」
「お父さん、ありがとう!」
父さんのお許しが出たので迷い家の入り口を開けた。舞とアーシャ、母さんまで迷い家に入っていく。二人もおかわりを持ってくるつもりなようだ。
「甘い物は別腹と言うが、よく入るものだ」
「ニックの意見に同感だ」
父さんとニックは一つで十分らしい。そう言う俺も一つで満足したので、おかわりを取って来るつもりはない。
「それで玉藻ちゃん、次のダンジョンはいつ潜るの?」
「その前にやる事がある故、少々先になりそうじゃ」
両親やニックに素戔嗚命様からされたお願いを言って良いか判断出来なかったので濁しておいた。
舞とアーシャは俺と神々との会話を漏れ聞いて知っているが、親に言って良いか関中佐に確認しておかないといけないな。
両親もニックもそれを口外するような人達ではない。しかし、だからと言って上司の許可なく漏らして良い情報とも思えない。
『・・・これまでの苦労は何だったのかと言いたいですよ。神使様、ありがとうございます!』
テレビの画面の中でインタビューを受けた探索者が階層選択の便利さを熱弁していた。もし水中ダンジョンに素戔嗚命様が潜って設定変更が成されたら、軍が独占している事に非難の声が出そうだな。




