第九百二話
店員さんに腕を引かれてやって来た店長さん(仮)も絶叫した後に機能停止してしまった。RAMクリアをかけてROMからデータ転送をかければ再起動するかな?
「済まぬが、アイスが溶ける前に精算して帰りたいのじゃが」
「あっ、す、すいません!すぐに精算致します!」
俺の呼びかけに我に返った店長さん(暫定)がレジに入る。それと同時に慣れた手付きで商品のバーコードを読み取っていった。
「君、アイスが溶けていたらマズイから全部交換して。そのアイスは販売出来ないから」
「わかりました店長!」
店長さん(確定)に指示されて店員さんがアイスだけ別のカゴに分けてアイスの保冷庫に走る。溶けかけたアイスは再度凍らせても口当たりが変わってしまうので、商品として売るには不適格と判断したようだ。
「お待たせしてしまい、申し訳ありませんでしたお支払いは・・・」
「探索者カードの口座から落として欲しいのじゃが、使えるかのぅ」
「勿論に御座います・・・画面の合計金額にお間違いが無ければ確認ボタンをお願い致します」
レジの画面に表示された商品一覧を見て間違い無い事を確認する。数が多いので合計金額が合っているかは確認していないが、商品が間違えていないのだから合計金額も合っているだろう。
不用心と思う人も居るかもしれないが、全部の金額の合計を暗算で計算するなんて面倒でやってられない。スマホの計算機を立ち上げて入力し確認するのも以下同文。
「「ご利用ありがとう御座いました、またのご来店をお待ちしております!」」
店長さんと店員さんの声に送られて店から出る。初動に難ありなお店だったけど、再起動した後の対応は凄く良かった。またスイーツを買いに寄ってみよう。
「おい、あれ、神使様じゃないか?」
「は?お前頭大丈夫か?神使様がそこらのコンビニから出てくるなんて・・・出てきてるぅ!」
自動ドアから出ると、丁度行き合った男性二人組が慌ててスマホを取り出していた。すぐに空歩で上空に逃れたけど、撮影されたかもしれない。まあ、一瞬だろうし問題ないだろう。
「ただいま。帰りにコンビニスイーツを買ってきたぞえ」
「玉藻お姉ちゃんお帰りなさい。あっ、雪融け大福だ」
コンビニのマークが入ったビニール袋を漁り、好きなアイスを取り出して蓋を開ける舞。アーシャは別のアイスを取り出した。
「私はこのビノを貰って良いでしょうか?」
「其々人数分買ってきた故、好きな物を取るが良い」
バニラアイスをチョコレートでコーティングした定番の一品だ。あれも昔からのロングセラーだな。
「玉藻お姉ちゃんがこれ買ったコンビニ、凄い話題になってるわよ」
「店から出てきた所で通行人に撮られたようじゃったが、もう話題になっておるのか」
舞は薄いお餅生地に包まれたバニラアイスを堪能しながらSNSをチェックしていたようだ。俺も懐から玉藻用のスマホを取り出して確認したが、確かに話題になっている。
「まあ、少しの間話題になって売り上げが上がる程度じゃろう」
話題になっているとはいえ、お店はただのコンビニなのだ。そんなに影響は無いだろうと思いつつモナカに包まれたバニラアイスとチョコレートの甘みを堪能するのであった。




